移住という人生の大きな決断をして、鹿児島の最前線で活躍する地域おこし協力隊が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『地域おこし協力隊図鑑』
今回のゲストは、鹿児島市喜入のグリーンファームで地域おこし協力隊員として働く橋口亮さんです。
#4では、2021年12月5日までで地域おこし協力隊としての任期が終了する橋口さんに、今の生活や仕事について、お話を伺いました。
<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase編集者)、森満 誠也(KagoshimaBase取材者)>
橋口亮さんのプロフィール
鹿児島県鹿屋市出身。
高校までを鹿児島で過ごし、琉球大学を経て、東京の民間企業に就職。
13年間の東京生活を抜け出し、自然あふれる環境で子育てをするため、鹿児島への移住を決意。
2018年に鹿児島市初となる、地域おこし協力隊として着任。(12月5日で任期終了)
横浜市から鹿児島市喜入一倉町へ家族で移住し、喜入グリーンファーム(以下「グリーンファーム」)で、企画・運営・広報の担当として、体験プログラムやイベントの企画を行う。
2021年、グリーンファームの園長に就任。選手兼監督ならぬ、協力隊兼園長という、あまり聞かない出世を果たし、グリーンファームを拠点に喜入地域を盛り上げるため、日々奮闘する。
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100029637884283
今の暮らし方
育休って何それおいしいの?
久しぶりですね。
上木さん、顔色がいいですね!
ありがとうございます。
育児休暇に入って、5カ月が経ちましたよ。
いま何やってるんです?
『子育て』ですよ!!!
それ、育児休暇中の人に聞いたら一番ダメなやつですよ!笑
笑笑
今日は、何でしたっけ?
いや、橋口さんはもう、地域おこし協力隊の任期が終わるじゃない?
それで、話を聴きに来ました。
前の記事がすこぶる評判良くって!
あのグダグダの内容の記事が。笑
その後の、筋肉の人の方がいいと思ったんですけど。笑
鹿児島県庁を辞めてリクルートで働いてる徳田君の記事ですね。
あ~、徳田さんと橋口さんでは立ち位置が違うから!
同じ方向を目指しちゃだめですよ!
見る層が違うから!
いうなら、あちらは若い人、こちらはおじさん向けですね!笑
地域おこし協力隊を卒業した後について
いよいよ、地域おこし協力隊としては卒業を迎えますね。
2021年の12月5日までが任期です。
地域おこし協力隊を卒業しても、特に橋口さんの生活は変わらないですか?
グリーンファームには、園長として残るので、何も変わらないですね。
ただ、地域おこし協力隊員として色んな所に行かせてもらっていたんですが、そこは今までよりは少し制限しようかと思っています。
協力隊って、ある意味『何でも屋』として色んな場に呼ばれるし、色んな所に行けて、当然良い面もたくさんありますけど、家族と過ごせる時間は少なくなるから、これからは家族との時間は増やしたいとかはあるんですよね?
そう思ってますね。
妻からめっちゃ言われますもん。
「なんで、私ばかり家事しないといけないの?」って。
それは…実際そうなんですよね?
はい!
コロナのワクチン接種の2回目の後、特に身体だるくもなかったんですけど、家事するの面倒なんで、「身体がだるい。。」って言って、家事から逃げたりもしてました。
何やってるんですか!!
伝説をつくりたかった
笑笑
たしかに、家族の時間はなかなか取れてないですね。
11月が、グリーンファームはイベントだらけになってしまって。
コロナで夏にイベントできなかったので、11月にたくさんやることになったんです。
それって、鹿児島市の方から『やってください!』って言われたんですか?
いやっ、自分で『イベントやります!』って、言っちゃったんですよ。
「月間来園者記録作ろぜ!」「伝説作りましょう!」って。
めちゃくちゃ気合入れたんですね。
でも、しょっぱなのイベントでこの大雨。
さっき、会場行ったらカッパ着たおじさんが2人しかいませんでしたよ。笑
受付の方に聞いたら、雨で「13時でイベント終了しました」って言ってたし。
今日、寒くて、寒くて。
昨日まで天気予報は『晴れ予報』だったのに。。
まあ、橋口さんらしいですよね。
本来ならもうすぐ協力隊の任期も終わるので、この3年間のまとめや振り返りに時間を使おうかと思っていたんですけど、それどころじゃないっていう。
12月5日が任期だったら、11月で振り返っとかないと、ササッと終わっちゃいますもんね。笑
ただ、そのバタバタも自分で言いだして11月忙しくなってるわけでしょ?
秋だし、行楽シーズンだし、本気を出したらどんだけ人呼べるんだろうというのが知りたくて。
それを、協力隊終了時期と重なる今年やっちゃうという。
ありがとうは魔法の言葉じゃなかった!
あっという間の3年間
あっという間でしたよ。協力隊員としての3年間は。
育休もあっという間だと思う。
そうですよね。
ただ実際、育休入ってからも、起きる時間と寝る時間は今までと一緒だし、子育てでバタバタしてて。
一日があっという間なので、仕事してる時と同じような感じで過ごしてるんです。
ちゃんと『子育て』もしてるんですね。
さっきから、『育休の核』になるところに、まっすぐな質問をぶつけてきますよね。笑
奥さんも育休中でしたよね?
めちゃくちゃいいですね。
時間たくさん作れますよ。
ずっと妻と一緒に居るんですよ。
朝から晩まで。
はぁ~.....
なんですか、今の「はぁ~」は。笑
自分も、妻をキャンプとか趣味に誘ってたりもしてるんですけどね。
里君という部下兼相棒
だって、あれですよね。
橋口さんの場合、イノシシ狩りに連れて行くとか言うんですよね?
里君もいやいやでしょ?イノシシ狩りに行くのとか。
僕は喜んで行ってます。
先週、里君と30キロのイノシシをさばいたんですけど、夜19時~1時ぐらいまでかかりましたよ。笑
前にも、橋口さんの狩ったイノシシをごちそうになったんですけど、食べる直前に「これ、野生のものだから食べるの自己責任でお願いね」って言われました!
自己責任。笑
橋口さんの奥様的には、イノシシの肉ってどうなんですか?
もう、慣れた感じ?
全然、だめですね。
「同じまな板を使わないで!」って言われます。
それはそうですよね。
普通、「魚でも一緒のまな板は嫌だ」って言う人もいるわけじゃないですか。
それが、イノシシでしょ。
『けもの』でしょ。
家帰ったら、『けもの』の一部がキッチンに置いてある的なのは困りますよね。
思い描いてた暮らしが出来てる
たしかに。笑
でも、橋口さんとしては、関東に住んでいた時に思い描いてたような、まさに『やりたかったこと』が出来ているわけですよね?
そうですね。
なんとか、出来てますね。
合羽橋に出刃包丁買いに行ったところから始まってるわけですもんね。
それが、里君という『思いを共にする人』を見つけて。
里君は、よく橋口家でご飯をごちそうになったりしてるんでしょ?
はい!
よくご馳走になってます。
その時も、橋口さんの奥様がご飯作ってくれるんですよね?
はい、でも、その時もチクチク言われるんですよ。
「あんたは飲んでばっかりいるけど、ご飯作ってるの私なんだからね!」とか。
その通りですよね!
あれ、橋口さん。
今、ビックリした顔しましたけど。
はははははは。笑
そうですね。そうですよね。笑
だから、『ありがとう』って言ってます。
ただ、最近は、ありがとうを簡単に言いすぎて、「ありがとうって言えばいいと思ってるんでしょ?」って言われます。。
すごいですよね!
ありがとうって魔法の言葉じゃないですか、その魔法が効かなくなってきてる。
虫と慣れ
でも、横浜から移住して3年で、奥様もかなり鹿児島に慣れてきたんじゃないですか?
そうですね。
家に虫が出すぎて、虫にもだいぶ慣れてきました。
子どもたちも慣れてきて、「今年の夏は虫を触れるようになろう!」って目標を立てたら、友達と虫取りに行ったりして、虫が触れるようになってました。
今では、家にクモがでても、つかんで外にポイってしてます。
子供の成長力ってすごいですね!!!
環境って大事!
園長としての顔
園長としては、里君のことをどう評価されてます?
えっ?里君?
えっと~。。
すごい人当たりがいいなとか...。
今のは何も考えていなかった人が急に聞かれた時のリアクションですよね!
里君は、グリーンファームでやりたいことができてる?
出来てますね!
トライしてみたい野菜の栽培が難しいって聞いて、やるかどうか迷ったりしたんです。
でも、園長から「やってみないと始まんないよね」って言われて。
園長の友達のところ行って勉強したり、僕自身も知り合いの農家さんのところに栽培方法を聞きに行ったりして、やっています。
そういう意味では『草刈りツーリズム』とかもだけど、橋口さんが色んな所に連れ出してくれるから、そこでいろんな人と知り合えて、いいね。
そこから、枝分かれで新たな知り合いができたりしてます。
良いこと言いますね。
「草刈りとかめんどくせーなー」って思ってたけど「園長が行けっていうからしょうがないな」って思って行ってみたら、意外と良いことがたくさんあったっていう話でしょ?
いやいやいやいや。笑
里君は勉強中なので。
まだ、知識が足りないところもたくさんあるし、失敗もたくさんしてるんですけど、グリーンファームはチャレンジするには良い環境だと思います。
グリーンファームは農業以外のこともたくさんしてるので、色んな事を学べるし、チャレンジしやすい環境ですよね。
今年、里君は思いっきり失敗もしてるんですけど、新たな体制で初めてのことばかりなので。
失敗をしながら、来年以降にしっかり活かしてもらえればなって思っています。
成長する上での失敗は、悪いことじゃないですもんね。
まとめー前半ー
「やってみないと始まんないよね」
この言葉が、橋口さんの生き方そのものを表しているような気がします。
上司から部下に伝える言葉として、ありふれているようで、実はなかなかかけてもらえない言葉だったりするような。
笑って、背中を押してくれる橋口園長。
もしかしたら何も考えないで背中押してるかもしれないけど。笑
「やってみないと始まんないよね」
いい響きの言葉ですね。
その通りだと思います。
改めて、橋口さんの不思議な魅力を感じました。
#5では、橋口さんの「これから」についてお伺いします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ではまた次回、お会いしましょう!
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