最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、鹿児島市役所の中央保健センターで栄養士として働く、西牟禮慶子さんです。
後編では、中編に引き続きプライベートで行った活動や理想の未来についてお話を伺いました。

西牟禮さんの姿をとおして、普段日の目を見ることが少ないけど、必死に働いてる公務員の姿を少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。
<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
いち個人といての顔
きっかけはイベントに持って行った手土産

2018年は、映画上映会やデザインスクール、かごしまswitchへの参加と、かなり忙しく活動されていたと思いますが、2019年はどんな感じでした?

2019年の3月に、喜入で開催されたペチャクチャナイトを見に行ったんだけど、ここからつながったクッキーづくりをメインに活動してたかなぁ。

クッキーづくり?

喜入のペチャクチャナイトっていうイベントに行くって決めた時に、何か手土産を持っていきたいなぁと思って。
何を持って行こうか悩んだ結果、「キイレンダーのクッキーを作って持って行こう!」って考えたの。


「手土産を持って行きたい!」っていう思考になるところが、西牟禮さんの長所だと思います。笑

ただ、クッキーの型があるわけじゃないから、作るのにめちゃくちゃ時間かかったの!笑
なんとか当日間に合わせて、手土産としてペチャクチャナイトの会場に持って行ったら、初対面の人ばかりだったのに、皆すごく喜んでくれて。
「キイレンダーのクッキーを作ってきてくれた人がいるわよ!!」って。


喜入に住む皆さんの『喜入愛』って半端ないですもんね。
キイレンダーもまちの皆さんから愛されてるイメージ。
そりゃ喜ぶよなぁ。

同じタイミングで鳳凰高校の中村先生って方がペチャクチャナイトに来てたから、話しかけたんだよね。
「キイレンダーのクッキーを作るのにすごく時間がかかるから、3Dプリンタで型って作れないですか?」って。
そしたら「作れますよ!」って言われて。

そこで話しかけるのも、西牟禮さんの長所だと思う。
手土産のクッキーが商品化されることに

キイレンダープロジェクト実行委員会の方からも、会場でクッキー制作の話を頂いて。
「キイレンダーのお菓子か何かを作りたいと思ってた!」と。
それで、私がクッキーのレシピを提供し、中村先生がクッキーの型を提供、指宿の障害者福祉事業所の方がクッキーを作って販売するっていうプロジェクトがスタートしたんだよね。

怒涛の展開すぎて、話について行けてないんですけど。。
ペチャクチャナイトにクッキーを差し入れで持って行ったら、商品化する話になったってことですか?

そうそう!笑
クッキーが販売できるタイミングで、南日本新聞が記事にしてくれて。


3月にペチャクチャナイトへクッキーを持って行って、7月に商品化って。。
さらっと言ってますけど、すごいスピード感ですよね。。

そうだね。
ただ、南日本新聞で大々的に取り上げてもらった時は、嬉しさと同時に責任を感じて、かなり焦った。笑

大々的に取り上げられると、責任も大きくなりますしね。
モノを売ることの難しさ

商品開発自体も試行錯誤の連続だったから、かなり難しさを感じたし。
金額設定とかも難しいなぁって思って。
今振り返ると、もっと違う売り方があったんじゃないかと思ったりするけど、体験しないとわからないことばかりだから、良い経験をさせてもらったなぁ。

モノを作って売るって、公務員やってるとなかなかできない経験じゃないですか。
それこそ金額設定ひとつとっても、買う側の気持ちに立ちながらも、仕入れ値と粗利のバランスを見て…みたいなことを経験したことがあるかどうかって、めちゃくちゃ大きな差だなと感じてるので、素晴らしいなぁと思います。
3Dプリンターのスキルを取得したい

もうちょっとプライベートな部分を聞きたくて。
最近、興味があること、やってみたいことはあります?

あります!
とりあえず3Dプリンタを習得しに行こうかなと思ってる!
近場で教えてくれる人いないかなぁ。

おお。。
なぜ3Dプリンタを?

3Dプリンタが習得できたら、ゆるキャラのクッキー作り放題じゃん!
そう思いません?

そ。。そうですね。笑

キイレンダーのクッキーを作った時に思ったの。
クッキー自体を売るより、クッキーを作るための型を売った方がいいなって。
もっと言うと、クッキーの型を売った方が、再現性高いし、ニーズあるんじゃないかって。

たしかに、型があれば家で作ったり、親子で作ったりもできますもんね!
3Dプリンタ、面白いかも。
好きなもの・ことについて
でこん丸が好きすぎてラインスタンプを作ってみた

2020年、鹿児島市役所内の職員提案に2つの企画を出したと聞きました。
内容を見させてもらったら、提案書の中で、でこん丸のラインスタンプを見かけたんですが。
あのラインスタンプって、売ってるんですか?

売ってない売ってない。笑

でこん丸とは
平成22年に食育推進事業の一環として、ゆるキャラ「でこん丸」が誕生した


でこん丸をもっと活用してほしくて、職員提案のテーマにひっかけて『でこん丸のラインスタンプ』を出してみたんだけど、優秀賞はとれなくて。

このラインスタンプって自分で書いたんですか?

書いた!
タブレットでお絵描きしながら楽しく作ったよ。
初めてタブレットを活用できた!笑

めちゃくちゃ良く出来てますよね!
売ればいいのに!
一緒に、人事課に確認しに行きましょうよ!

売っていいなら売りたいよね!笑

ラインスタンプ以外にも、クッキー作ったり、缶バッジ作って配ろうとしたり、以前からでこん丸愛がすごいなぁと思ってるんですけど、ずばりでこん丸のどこが好きですか?


とにかく可愛いところ!
あとはでこん丸をきっかけに食育のことを考えたり、ホームページを覗いたりしてほしくて色々作ったりしているところもあるかな。
そもそもゆるキャラ全般が好きなんだよね。笑
ゆるキャラって何かをPRするために生まれてきてるから、私もそれを応援したくなる感じ。

テレビがきっかけで大島紬に魅了された

話は変わりますが、Facebookの投稿を見てると、着物を着てる写真が多いなぁっていう印象を受けました。
昔から着物が身近にあったんですか?


社会人になってからかな。
テレビ番組でたまたま大島紬が特集されてて、つくる工程の複雑さとかを知るうちに興味がわいて。
大島紬と身近な鹿児島という場所に住んでいながらも、全然知らないことばかりだったのよ。

たしかに、普通に暮らしてると大島紬との接点ってほとんどないですもんね。
僕は大島紬に触れた経験すらないかも。。


みたいな話を家族にしたら、「うちのタンスにも大島紬あるわよ」って言われてさ!笑

実家のタンス。笑

でもね、よく話を聞いたら、「昔は着物を一着つくりましょう」っていう文化があったみたいよ。
だから、鹿児島の人は、家に大島紬を持ってる人も結構いるみたい。

そうなんですか!?

織元さんと話をしたことがあるんだけど、鹿児島の人は既に家に着物を持ってる人が多いから、「着物を買ってほしい!」っていうより、「名刺入れとかマフラーみたいな小物類を手軽に身に着けて、身近に良いものがあることをまずは知ってほしい」って言ってて。
たとえばこれ☟とか。


これも大島紬なんですか?
見ただけでは全然わからないですね。。
大島紬を通してのコミュニケーション

大島紬、触ったことある?

あるかなぁ…ないかもです。。

サラサラ感のある触り心地で、軽くて暖かいんだよね。
軽いから着物の着付けもしやすくて。


たしかにサラサラしてる!

この前、このマフラーを着けて歩いてたら、女性の方に呼び止められて。
「あなた素敵よ!」って言われたの!笑
その方も大島紬が好きな方で。
ふつう、そんな経験できないじゃない?

できないですね。
というか、そもそもパッと見ただけで、大島紬かどうかわかるものなんですか!?

わかるわかる!
私も、大島紬の小物とかつけてる人がいたら、全然知らない人だったとしても「それ良いですね!」って言っちゃうもん。
そういうコミュニケーションが楽しい。

大島紬をきっかけとしたコミュニケーションって面白いなぁ。
大島紬っていう共通の話題があるから、すぐ打ち解けられそうですしね。

私の中の軸

最後に、理想の未来について伺いたくて。
コロナ禍以降、大きく変わる社会情勢の中、鹿児島市長も変わりましたよね。
働き方も含めて大きく見直されようとしている中で、「こんな風に働きたい!」みたいな思いってありますか?

自分がどう働いていきたいかねぇ。。
その場しのぎで生きてるからなぁ。笑

一緒です。笑
僕で言うと、このカゴシマベースというWEBメディアを使って、公務員しながらリモートワークがしたいっていう目標があって。
そのためには鹿児島市役所から価値があるメディアだと認めてもらわないといけないから、鹿児島に必要だよねって思ってもらえるメディアに育てるために、こうしてインタビューさせてもらってます。
ありがとうございます。笑

私の場合は、与えられた仕事をきっちりこなした上で、+αとして自分が好きで、かつ周りから求められてることをやっていきたいかなぁ。

なるほど。
自分が好きなことで周りが喜んでくれたら、めちゃくちゃ嬉しいですもんね。

そうそう。
インタビューを受けながら、ちょっと思い出したことがあってさ。

何でしょう?

私、小さい頃の夢が『お菓子屋さんになること』だったんだけど、それって今思うと、自分が好きなお菓子を作るということで、人が喜んでくれるって、なんてすばらしい仕事なんだ!と思ってて。
それでお菓子屋さんになりたかったのね。

なるほど。

だから、今、ゆるキャラのクッキー作ったりしてるのも、自分が好きなことで、人が喜んでくれるのが嬉しいっていう思いがあるから、多分やってるんだと思う。
だからありがとうね。


いや、こちらこそ!!
長時間のインタビュー、ありがとうございました!

ありがとうございました!
まとめ
自分が好きなことで人が喜んでくれるのがうれしい
この言葉に、西牟禮さんの人柄や行動の源流がすべて詰まっていると感じました。
自分が好きなことで人を喜ばせられたら嬉しいという思いは、僕自身このカゴシマベースを運営しながら感じていることでもあって。
西牟禮さんの場合は、『与えられた仕事をしっかりこなした上で』っていう前提を外してないところも、公務員として信頼できるポイント。
栄養士という職種の持つ高いポテンシャルや面白さと、西牟禮さん自身の魅力が、少しでも多くの人に知ってもらえたらうれしいです。
ということで、前編中編後編の三部作でしたが、最後までお付き合いいただいてありがとうございました!
では、また次回!
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