最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、鹿児島市役所で働き、育児休業中(10ヶ月間)の上木寿人さんです。
第4話では、 育休×夫婦の関係性について 、お話を伺いました。
<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
育休について
夫婦の関係性について深く考える時間が今まで無かった

育休を取ってしみじみ思うんだけど、今まで生きてきて、こんなに深く家族のことや夫婦関係のことを考える機会って、無かったよなって。

うんうん。

仕事をしてると、仕事のことで毎日いっぱいいっぱいじゃない?

間違いないです。

家族のことって、自分の人生においてかなり重要なことのはずなのに、そこに割く時間が今まで後回しになってたなぁって。
そういう意味でも、今回育休を取ったことは、僕の人生にとってプラスだったって感じてるよ。

いやーほんとにそうですよね…
一番大切なのものに時間を使わない

前に読んだ本の中で、ある人が死ぬ間際に、死神が出てきて話をするってのがあるんだけど、その言葉が、すごく印象深くって。
『人間は、すごく不思議な生き物だ。大変だ、辛いといい言いながらも仕事にはたくさんの時間かけるのくせに、一番大切なもののために時間をかけようとしない。そしてそれを後悔しながら死んでいく』って死神が言うのよ。

あ…

『一番大切なものに一生懸命になったり時間を割かないくせに、仕事には膨大な時間を使う』って。
ほんとそうだよな…って思って。

なるほどなぁ。。
なんのために仕事をしてるのかっていう話ですね。

ほんとそうなのよ。
幸せになるために仕事をしてるはずなのに、仕事をして不幸になっていく。
そんなの嫌だ!と思って。

胸が痛いです。笑
育休を取らせてくれた職場に感謝

でもさ、やっぱり改めて思うんだけど、育休を取れるって幸せなことだよなって。
こんなに家族と一緒に時間を過ごせて、毎日幸せだもん。

うんうん。

こうやって長期間の育休を取らせてくれた職場に感謝だよね。
こういう幸せな機会を与えてくれた鹿児島市役所のために、復帰してからまた頑張ろうって思うよ。

めっちゃ良い話。

っていうのを、記事の一番良いところで書いてね。笑

笑笑
「絶対に書いてね」まで込みで、記事にします。笑

笑笑

でも、間違いないですよね。
自分の幸福度が高くないと、そもそも良い仕事できないですし。
周りの民間で働くの友人と話をしてても、育休を長期間取ることに対して驚かれることが多いので、役所は恵まれてるんだなと感じます。

そうだよね。
そもそも、育休を取った後って、仕事に対するやる気が無くなるもんだと思ってたのよ。

うんうん。

でも、今は『仕事がしたい!』って、やる気が出てて。
良い循環だなって思う。

ですね。
ただ、僕は育休が終わる時に、仕事へのやる気が全く起きなかった側の人間なので、そこに関しては何も言えないです。。笑

笑笑
夫婦の関係性について
妻の言うことは100%聴く

少し話を変えて、上木家の夫婦の関係性についてここから少し深堀りしたくて。
一緒に生活してて感じる、奥さまのすごい所ってどこですか?

あー、そういう質問、大事よね。笑

ですよ。笑

そうだねぇ、、例えばさ、僕が「〇〇しようと思ってるんだよね」って妻に言うとするでしょ?
それに対する妻の返答がいつも的確なのよ。

ほうほう。笑

「そこは○○じゃなくて、△△した方がいいんじゃない?」みたいな。
で、全部奥さんの言うことが正解なの。

奥さまが全部正解持ってるんですね。笑

そうそう。
だから、うちの妻が言うことは100%聴こうと思ってる。

100%!?笑

何でかって、今まで妻の言うことを聴かなかった時に限って、失敗してるのよね。
一番近くにいる他人

めっちゃ分かります!
僕もそうなんですよ!笑

だってさ、そりゃそうだよなって。
妻って、僕のことを一番近くで見てくれる他人なわけだから。

!!
たしかに!

血が繋がってたら余計な感情が入ったりすることもあるかもしれないけど、妻は一番近くで僕のことを客観的に見てくれてるわけだからさ。
その人の言うことを聴くのが一番良いよね。

めっちゃ響きました。
正直、僕は心が痛いです。
僕も同じように「○○しようと思うんだよね!」って妻に話をしたら、「私それ3年前に何度も言ってたんだけど」って言われるみたいなことがよくあって。

わかるわかる。笑

「何回言っても聴いてくれなかったよね」って言われて。
「え…ごめん…」って。
そういうのが一回や二回じゃないんですよね。笑

僕もそれでたくさんの失敗をしてきました。
だから、妻の言うことは全部聴こうって思ったのよ。笑

なるほどなぁ。
その時は分かんないんですよね。。

奥さんの方が先を見てるのよね。
客観的に見えてるんだと思うよ。
それってさ、僕には出来ないことだから。
出来ないことは出来る人に頼ろっと思ってる。笑
育休中の上木さんに対する奥さまの評価

たしかになぁ。
ここからは少し核心に迫っていこうと思うんですけど、育休を取って生活する中で、一番重要な部分は妻からの評価だと思ってるんです。
奥さまは上木さんの育休に対して、どんな反応ですか?

先日、妻に聴いてみたんですよ。
「実際、育休取った僕、どんな感じですかね?」って。

うんうん。

そしたら『色々なものがやっと同じ視点で見れるようになったよね』って言われて。

同じ視点?

最初はどういう意味か分からなかったんですけど、結婚してから僕が育休を取るまでの間、ずっと妻が家事育児を主担当でやってくれていたんです。
我が家は共働きなんですけどね。

うんうん。

その状況から、育休を取った僕が家事育児の主担当になった。
そして、家事育児をし始めた僕は最初の1ヶ月で悩み始めるわけですけど、その悩みとか愚痴って、妻からすると、自分が昔感じてた悩みや愚痴と同じことだと思ったみたいで。

例えばどんな悩み?

『さっき掃除機かけたばっかりなのに、もう汚れてるよ!』とか、
『今日の夜ご飯何しようかなぁ。。』とか、
『人が作ってくれたご飯って美味しいよね!』とか。

なるほど。笑

そこから段々と慣れ始めて、いい意味で手を抜けるようになってきた。
ご飯も適当に作るようにしたり、毎日やってた掃除を2-3日に1回にしたり。
で、妻からすると、『手を抜き始めた内容も、昔の私と同じようなルートをたどってる!』って。笑

おもしろいなぁ。

それって、『やっと夫婦で同じ立ち位置に立てたってことなんじゃないかな』って、妻から言われて。
たしかにそうだよなって思いました。

めちゃくちゃ深い話。

僕ね、完全に育児休業をなめてたんですよ。
休みだから、週に二回ぐらい、朝から酒でも飲もうかなぁって思ってたの。笑

わかります。笑

でも全然違って。
やることが多くて、1日があっという間に過ぎて。
もはや、晩酌をすることさえハードルが高くなってしまって、もう家でお酒を飲まなくなっちゃいましたもん。
家でお酒を飲むの、好きだったのに。笑

笑笑
育休の本質は夫婦の関係性

前もちょっと話したかもしれないんだけど、男性育休の本質ってやっぱり奥さんとの関係性なのかなって思う。

なるほど。

子どもの存在って、夫婦にとって究極の共通課題じゃない?
その課題を一緒にクリアしていくことで、夫婦の絆が深まる。

たしかに!
一緒にクリアするミッションが多い方が絆深まりそう!
でも、どうしても僕の場合は子どもたちに対して怒っちゃうんですよね。。

わかるよ。
子どもに対して怒る行動って、ハードルがめっちゃ低いじゃん?

なんですよ!
ついつい、言わなくていいことまで言ってしまうというか。

あとで「あー、言いすぎちゃったなぁ…」って後悔するのよね。
『気を付けないと!』って思ってるのに、つい言っちゃう。

でも、子どもって、けろっとしてるじゃないですか。
「うわーん!!」って泣いた5秒後に「あそぼー!」みたいな。
だからこそ、更に『自分マジで何やってんだろ』って思うっていう。
長期の育休はメリットしかない

だよね。
それも、しっかり向き合った結果、生じてることだからさ。
こうやって、子どもや奥さんとじっくり向き合えてるのって、長期間の育休を取ったからじゃない?

たしかに。
みんな経験したらいいのにって、最近特に思うんですよ。
長期間がっつり家事育児に向き合わないと分からないことが、想像以上にたくさんあるから。

実際、長い期間育児休暇取ってみて、人生観が変わったし、自分の人生にとっても物凄く貴重な期間になってるもん。

育休中に起きた「いい変化」が仕事とか、ほかのことにもいい影響を与えて、より良い人生になっていく、素晴らしすぎますね。
相手の居場所に入っていくことで分かることがある

お互いに思ってることをぶつけ合って、コミュニケーションを密に取ることで、お互いの理解が深まって、歩み寄れる。
夫婦ってさ、お互いに育った環境も違うわけで、最初から理解し合えるわけが無いんだもん。

たしかになぁ。

育児にしてもさ、辛いことがたくさんあるじゃん。
大変なことばっかりな中だと、普通、相手のことを思いやる余裕も無くなる。
ただ、それでも相手の居場所に入っていくことで、分かり合えることがたくさんあって。
僕の場合は、育休での毎日を通して、今までとは比較にならないぐらい、妻に対して歩み寄っていけるようになった。

深い話。
育休取って良かったですねほんとに。

ほんとよ。
死ぬ前に、この一年間は絶対思い出すからさ。
楽しかった思い出として。

子どもたちが巣立ってからも、美味しいお酒のツマミになりそうですよね。
だって、家族の思い出が何倍にもなってるわけじゃないですか。

がっつり家事育児をした夫婦として、会話が出来るからね。
「あの時あんなことあったよねぇ。大変だったけど、楽しかったよね。」って、うそ偽りなく夫婦で会話ができるって、最高だよね。

たしかに!
いやーなんか最後の方は良い話ばっかりだったなぁ。
また、3月末にでも、育休の総括としてインタビューさせてくださいね!
ということで、本日はありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!
まとめー#4ー
相手の居場所に入り込むことで、分かり合えることがたくさんある
上木さんにインタビューをする中で、『育休』って子どものために取るって言う側面より、夫婦の関係性をより良いものにする側面が大きいなぁと感じました。
今まで奥さんの主戦場だった家事育児に踏み込んで、自分もそのフィールドで戦うことで、どれだけ大変なことをやってくれていたか、理解する。
今までよりもコミュニケーションの頻度が増え、理解すること、理解してもらうことを繰返しながら、お互いに歩み寄れる。
それって、育休期間が終わってもずっと残っていく、上木家のかけがえのない財産だと思います。
ということで、#4では、育休×夫婦の関係性について、お話を伺いました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ではまた次回、お会いしましょう!
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