最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、枕崎市役所で働く永迫昌之さんです。
後編では、一般社団法人枕ラボ!が立ち上がるまでの背景や今後の展望について、お話を伺いました。
永迫さんの姿をとおして、普段日の目を見ることが少ないけど必死に働いてる公務員の姿を、少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。
<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase取材者)、森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
枕ラボ!のメンバーはほとんどが市役所職員
一般社団法人枕ラボ!を今年の6月に立ち上げて、これからどんどん活動していきたいとおっしゃってましたが、そもそも枕ラボ!のメンバーってどんな人たちで構成されてるんですか?
今は9人で活動しています。
ほとんどが市役所職員です。
ほとんど市役所職員なんですか!?
すごい!
ありがたいことに、民間の方でも枕ラボ!の活動に興味を持ってくださってる方が複数人いらっしゃって。
もしかしたら今後どんどん増えていくかもしれないです。
一緒にやりたい人をメンバーに引き込んだ
メンバーのほとんどが市役所職員ということでしたが、なぜそのメンバーでやろうという話に?
ありがたいことに最近は「一緒に活動に参加してみたい!」と申し出があるのですが、最初は僕が声をかけてまわったんですよ。笑
なるほど!
良いですね!!
僕が『一緒にやりたい!』って思った人に声をかけてまわったんですけど、ありがたいことに全員が賛同してくれて。
感謝です。
すごいなぁ。
その人たちと一緒にやりたいと思った理由があれば、教えてもらえますか?
このメンバーだったら一緒にやって楽しそうだとか、この人と一緒にやれば自分が思ってもみない景色が描けるんじゃないかなって。
かっこよく言えばそんな感じです。笑
誘うために声をかけた時って、それぞれどんな反応をされました?
嬉しかったエピソードがあるんですけど、誘った時にメンバーの何人かが「待ってました!」って言ってくれたんですよ。
へぇー!
すごい!!
「前からこんな活動がしたいっていう構想は聴いてたけど、やっと動き出すんだね!」って。
そんな風に言ってもらえたのは、本当に嬉しかったです。
年齢層とか男女比ってどんな感じです?
全員30代以下で、男性4人、女性5人です。
バランスがめっちゃ良いし最高じゃないですか!
一歩目を踏み出せるきっかけの組織にしたい
もう少し突っ込んだ話も聞かせてほしいんですけど、これから枕ラボ!をどんな組織にしていきたいですか?
非営利法人でありながら、持続できる組織に。
そして、アメーバ状の組織にしたいなって思ってます。
アメーバ状?
取り組む内容や事業に応じてメンバーの形が変わっていくような組織が理想なんです。
枕ラボ!のメンバーとしてがっつり関わる人もいれば、事業によって出たり入ったりする人もいる。
内容ごとに形を変えながら、柔軟に変化していけるような組織にしたいですね。
めちゃくちゃ良いですね。
『がっつり関わる人以外は認めない!』みたいな体育会系な感じじゃなく、やりたいことベースで出たり入ったりできる組織ってなかなか無いので、それができる組織って魅力的だと思います。
そこは大事にしたいと思ってるんです。
『まちづくり』自体に興味はあるけど関わり方が分からないっていう人、結構たくさんいるんじゃないかなと思っていて。
枕ラボ!の存在が、そういう潜在的なプレイヤーに刺激を与えていけたら良いなっていう想いもあるので。
なるほどなぁ。
枕崎の人がやりたいことの一歩目を踏み出せるような、そういうきっかけの組織になればいいなって思います。
一歩目を踏み出しやすい場が増えることでまちの魅力も自然と高まっていくと思うので、素晴らしいと思います。
そうですね。
もう少し組織として成長したら、頴娃おこそ会みたいな、プロジェクトごとに勝手に自走していくスタイルが理想だよなって思っています。
頴娃おこそ会っていう目指すべきチームが近くにあるからこそ、良い部分をどんどん真似して枕ラボ!に取り込んでいけば良いと思う!
枕ラボ!の「ラボ」の部分には、自由な切り口で社会実験としてどんどんやっていきたいっていう意味を込めたんです。
だからどんどん実験して、トライアンドエラーを繰り返しながら成功に近づけていきたいです。
仕事と枕ラボ!がバッチリ噛み合ってる
さらに突っ込んだ話を聞いてもいいですか?
枕ラボ!の熱量が高いからこそ、仕事を辞めたくなったりしません?
『仕事してる時間も枕ラボ!の活動に充てたい』みたいな気持ちが芽生えそうだよなって、勝手に思っちゃうんですが..
いやっ、それがですね、、仕事も楽しいんですよ。笑
仕事が..楽しい..?笑
本業の仕事を楽しくやりながら、公務員としての仕事でカバーできない部分を枕ラボ!で楽しみながらやっていこうという感覚なんです。
所属してるのが企画調整課っていう部署だからこそ、成立してる感情なのかもしれないんですけどね。
仕事とプライベートの活動がバッチリ噛み合ってるわけですね?
噛み合ってます!
行政として各計画に携わりながら、枕ラボ!としても地に足をつけた活動をみんなで汗かきながらやる。
この両輪が大切だと感じてます。
すごいなぁ。
今までいろんな人にインタビューしてきましたけど、仕事も充実してて外部の活動(まちづくり)も楽しむって、初めてのパターンです。
どっちも200%で頑張っていこうと思ってます。
『枕崎の地方創生に携わる部署の僕が、先頭に立って地域で活動することは意味がある』と思ってるんです。
間違いないです。
そういう人が関わる計画は、説得力が全然違いますもんね。
男女の出会いの場をつくるイベント
そう言えば、先日、枕ラボ!としてのイベント『まくコン』を開催してたと思いますけど、やってみてどうでしたか?
サークルだった枕ラボ!が法人化した次の日に開催したイベントだったんですけど、感触的には良かったですね。
男女の縁の入り口をつくることが目標のイベントだったんですが、男女比もちょうど良く、かなりたくさんの方がマッチングされて。
男女の縁の入り口をつくるイベントを開催しようと思ったきっかけって、何なんでしょう?
「人と人の出会いを後押しできたら純粋に嬉しいよね」みたいな部分からスタートしたんですけど、枕崎という場所で出会ったことが枕崎の関係人口だったり、人口増に間接的に貢献することに繋がったらさらに嬉しいよなぁという想いもありましたね。
なるほどなぁ。
自分達が楽しいことを実現する
まくコン以外にも、枕ラボ!としてこれから色々なことにチャレンジしていくわけですよね?
もちろんです!
定期的に定例会をしながら、メンバー各々がやりたいことを実現していけたらいいなって思ってます。
自分のことは後回しで良いので。
素敵。
イベントを開催することが目的にならないよう焦らず、楽しいことやニーズがあることを入り口にしたいですね。
それが関係人口だったり、何かしらの課題解決や枕崎の発展に寄与することであれば、それだけで充分にやる意味はあると思ってます。
最高ですね。
姉妹のパパとしての顔
最後にご家族の話を聞かせてください。
娘さんいらっしゃいましたよね?
5歳と3歳の娘がいます。
今日も「お昼ご飯はそうめんが食べたい!」って言うから、天ぷらを揚げて来ました。笑
良いですね!
ちゃんと仕事や枕ラボ!だけじゃなく、家族ともしっかり向き合おうとされてるんですね!
土日の家事は基本的に僕の担当なんですけど、忙しい時は手を抜いたり、妻がご飯を作ってくれたりして助けてもらってます。
自分の家事育児のタスクが引くほど少ない
妻に対しては、申し訳ないなぁって思っていて。。
僕が担当してる家事育児のタスクが少ないので。。
そういうの、どんどん言った方がいいですよ。
対面ではなかなか言い辛いと思うので。笑
平日なんか、僕が帰ると子ども達はみんな寝ていて、皿洗いぐらいしか出来ることがなくて。
だから、生活の面は任せっきりなんです。
うんうん。
休日も仕事や枕ラボ!の活動がちょこちょこ入ってくるので、その場合は妻に子ども達のことをお願いしていて。
だから、自分が家事や育児としてこなしてるタスクって少ないよなって。。
分かる。
僕も仕事以外の活動がフィーバーしてた時は全く同じ状況だったので、めちゃくちゃ分かります。
だから反省することばかりですね。。
まちづくり活動で決して家族には迷惑をかけない
それこそ永迫さんの場合は、外に出ていく機会がこれからもっと増えると思うんですよ。
夫婦の関係性によっては、奥様から「なんで家のことせずに外の活動ばっかりするの!?」って言われちゃうんじゃないかなって思ってて。
そのあたりは奥様とはどんな話をされてます?
いやー..どうなんですかね..
「まぁがんばってね」ぐらいの感じなので。。
なるほど。笑
枕ラボ!のルールとして『家族優先!仕事優先!』っていうものがあるんですけど、そこはしっかり守りながら活動していきたいなって思います。
最高です。
家族より優先すべきまちづくり活動なんて、この世に存在しないですからね。
夫婦でコミュニケーション取る時間が増えたら、人生めちゃくちゃ豊かになるので。
僕たちは育休がきっかけで夫婦のコミュニケーション量が増えたんですけど、そのおかげで夫婦関係が良好になったんです。
夫婦関係が良くなると人生豊かになるから、もっと夫婦で話せる時間が増えると良いなぁと思いました!
たしかに。
もう少し子ども達が大きくなったら、家族時間として子どもたちと一緒に活動できることもあるかもなぁと思ってて、それも楽しみなんですよ。
いやぁ、なんか..良いですね。笑
最高ですよね。
永迫さんの前だけを向いて突き進もうとしてる感じが、沁みますよね。
どうせ色々考えたって分からないことばかりなんだから、とにかく前だけを向いてやれることをやっていくって、一番正解だと思います。
成果は後付けできますからね。笑
ということで、長々とありがとうございました!
めちゃくちゃ勇気と元気をもらえました!
こちらこそ、枕崎まで足を運んでいただいて、ありがとうございました!
まとめー第3話ー
自分のことは後回しでいいから、メンバー各々がやりたいことを実現していけたら嬉しい
まちづくり活動についてお話を伺う機会って結構多いんですけど、抽象的な話に傾いてしまいがちだと思うんです。
『枕崎を良くするためにはこんな活動が必要だ!』とか、『関係人口を増やすために外から人を呼び込まなければ!』みたいな。
今回、永迫さんの話が僕らの胸にスッと入って来た理由は、自分たちが楽しむことが大前提としてスタートラインにあって、その先に抽象的な話が後付けとしてある。
だからこそ、熱量高く話せるんだろうし、他のメンバーも楽しそうに活動を続けられているんだろうと思いました。
足元を見つめながら、地域でしっかり汗をかける永迫さんみたいな公務員は、本当に貴重だし、尊い。
これからもずっと応援していきたいなと思える、素敵な方でした。
ということで、今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました!
また次回、お会いしましょう!!
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