【後編】この地域で子育てして良かった!と思える環境をつくる【日置友幸|南九州市議】

公務員図鑑

最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』

今回のゲストは、南九州市で市議会議員として奮闘する、日置友幸さんです。

この記事は7分で読めます^^

後編では、発信に対する考え方や、今一番熱量のある取り組みについて、お話を伺いました。

日置さんの姿をとおして、普段接する機会が少ない議員という職業を、少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。

<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

発信の手段について

複数の発信手段を使いこなす理由

森満
森満

日置さんの日頃の活動を見ていて、多様なメディアで情報発信をしているイメージを持っているんですけど、いかがですか?

日置さん
日置さん

そうですね。

使えるものは全部使おうと思ってます。笑

2020年末に開催したZOOMを使ってのウェビナー
森満
森満

僕が把握してるだけでも、youtube、note、twitter、facebookを使ってますよね。

これは、なぜですか?

『誰にどのメディアが刺さるかわからない』っていうのと、『より多くの人に情報を届けるため』ですかね。

森満
森満

どのメディアが刺さるかわからないっていうのは、すごく分かります!

鹿児島市も『市民のひろば』っていう広報誌を全世帯配布してるんですけど、僕ら世代以下の若い人たちって、ほとんど広報誌読まないじゃないですか。

鹿児島市の広報誌。中身は面白いので、見てみてね!
日置さん
日置さん

ポストに入ってるチラシと同じ扱いみたいなね。笑

森満
森満

そうそう。笑

広報誌で届く人には広報誌でいいんだけど、紙で届かない層にどうアプローチするかが課題だなって感じています。

日置さん
日置さん

その課題を共有できる人が市役所にいるっていう素晴らしさを、今実感してる!

森満
森満

ありがとうございます。笑

日置さん
日置さん

広報媒体のデジタル化の議論で良く言われるのが、「デジタル化にすると見れない人がいるからダメだ!」っていう意見で。

森満
森満

よく聞くやつですね。

日置さん
日置さん

でも、そうじゃなくて。

リーチできる人に届けるっていう意味では、広報媒体は紙だけじゃなくて、複数あった方がいいわけで。

デジタル化を進めるってことは、別に紙を全否定しているわけではないんですよね。

紙で届く人には紙で良いし、デジタルで届く人にはデジタルで良い。

ウェビナーの様子。新しいものをどんどん取り入れる姿にいつも刺激をもらってます。
森満
森満

心から共感します。

どの媒体で届くか分からないからこそ、日置さんが複数の発信手段を使っていることって素晴らしいなと感じています。

一方で、最近色々な自治体が公式アカウントを使ってSNS発信してるじゃないですか。

あの運用について、個人的にもっとやれることがあるんじゃないかなと思っていて。

日置さん
日置さん

市公式アカウントで発信する場合に、ある程度守りに入らないといけない状況はすごく分かるんです。

担当者がリスクを背負う必要もないと思ってます。

森満
森満

たしかに。

日置さん
日置さん

例えば、首長名でアカウントを作って、そこで発信をする時に、市公式アカウントよりは突っ込んだ内容を言いやすいみたいな攻め方は、一つの手段として有りなんじゃないかと思ってます。

森満
森満

なるほど。

千葉県知事(元千葉市長)の熊谷俊人さんとか、福岡市長の高島宗一郎さんみたいに、首長名で面白い発信してる人、全国的には居ますもんね。

日置さん
日置さん

自治体がSNSで発信をするっていうこと自体が新しい分野だから、やってみないと分からないことばかりだと思います。

森満
森満

そこの一歩を踏み出せるかどうかですよね。

やりながら柔軟に変化させることが出来てる自治体もあるので、その運営をやってる中の職員は素晴らしいなぁと思う。

日置さん
日置さん

僕自身、市役所の人たちと付き合う中で、なぜ役所の人がリスクを取りたくなくなるのか、すごく理解できるようになりました。

だって、頑張ったところで給料が変わらないわけじゃないですか。

森満
森満

(うんうん)

日置さん
日置さん

自分が頑張ったとしても、成果が出たところで次の部署に行かされる。

仕事上の利益も、経済的な利益も得られない。

そりゃ保守的になるよっていう。

森満
森満

そうなんですよね。。

日置さん
日置さん

そのシステムを変えずに、公務員個人の資質に落とし込むのは、違うよなぁと感じています。

でも、そう思えるようになったのは、僕自身が市役所の中に入り込んで、全体を俯瞰して見れるようになったからだと思います。

自治体間の人材交流というエンタメ

森満
森満

なるほどなぁ。

インタビューをしておきながら、ご相談みたいな形で恐縮なんですけど。。

もっと主体的に人材交流が出来たら楽しいよなぁと思っていて。

例えば、移住ドラフト会議の公務員版をやれたらいいなぁって。

移住ドラフト会議とは

プロ野球のドラフト会議に見立てて、移住者を募集する地域を「球団」、移住を検討する人を「選手」として年に1回の指名会議を行うイベント。

2016年に鹿児島で始まり、2019年は鹿児島・熊本・宮崎の南九州3県を舞台に、全国各地からの移住希望者・移住検討者と熱いドラマを繰り広げました。約半年をかけてオープン戦→キャンプ→指名会議→ペナントレース→クライマックスシリーズへと続く「ほぼプロ野球だけど、全然野球関係ない」イベントです。

引用:九州移住ドラフト会議2021 https://npb-iju-draft.jp/about-draft

昔々、森満も移住ドラフト会議に出させていただいたことがあります。未だに南九州市とのご縁を感じています。
日置さん
日置さん

もう少し掘り下げて教えてもらっても良いですか?

森満
森満

例えば、鹿児島市役所とか南九州市役所を球団側職員を選手に見立てて。

職員が「私はこんな特技があって、こんな働き方がしたい!」ってアピールする。

球団側は、求めてる人材に適した職員を指名する。

言ってしまえば人材交流ですよね。笑

日置さん
日置さん

すごく良い!

システム的に見ても、自治体間で合意さえ取れとけば、職員交流という枠で出来ると思います。

首長の理解さえあれば、全然できると思います!

森満
森満

ですよね!(うれしい‼)

日置さん
日置さん

僕は議員だから、どうしても政治側の視点に立ってしまうんですけど、表ではドラフト会議に仕立てて、裏では自治体間の合意が取れていれば全く問題ないと思います!

もっと言うと、これを組織が是とするなら、役所内でやっても良いですよね。

森満
森満

そうなんですよ!

攻める部署守りが得意な人が配置されたり、守る部署攻めが得意な人が配置されたり。

それってお互いに不幸だよなと。

なんかもっと主体的に、公務員も適材適所で楽しく働いてもいいんじゃないかなって。

日置さん
日置さん

たしかに!

人事が降ってくるものではなくなるっていう意味でも、すごい良いことですよね。

森満
森満

全員でやろうって話じゃなくて、やりたい課とやりたい職員がやればいいと思ってます。

デジタルと紙の話じゃないけど、選択肢があるって幸せなことだと思うので。

日置さん
日置さん

なるほどなぁ。

夢みたいな話だけど、いつか僕が首長になったとしたら。

『鹿児島市役所の森満さんを、僕の自治体の広報にヘッドハンティングする』みたいなことが出来ると思うんですよね。

森満
森満

リモートが一気に進んだから、働く自治体に住んでないと仕事にならないみたいなこと、どんどん減ってますしね。

攻める部署なら尚更。

日置さん
日置さん

そうそう!

内部だけじゃなくて、外部からも登用するみたいな。

人事のそういうシステムみたいなことを考えるの、結構好きなんです。笑

森満
森満

最高ですね。

いやー話してよかったです。笑

最近特に感じるのが、「この人面白いな!」って人ほど、人事の不一致が起きた時に我慢して公務員にしがみつく必要がないから、どんどん辞めていくんですよ。

それって、自治体という組織からすると、損失でしかないじゃないですか。

日置さん
日置さん

この人頑張ってるなぁと思ってた職員が、東京で起業するって言って辞めちゃったりしてましたね。。

森満
森満

ですよね。

『熱量のある職員が持ち合わせるパワーを発散できる場』を早急に作らねばと思っていて、今準備してます。

やりきったと思えるまで努力する

森満
森満

完全に話が反れてごめんなさい。。

話を元に戻して。。

議員としての今後の展望を教えていただけますか?

日置さん
日置さん

議員として、やりきったと思えるところまで努力する!

これに尽きますね。

二期目の選挙ポスター
森満
森満

なるほど。

日置さん
日置さん

議員はやれることが多いんですよ。

色々な資料も取ることができますし、有識者や住民の皆さんに話を聞かせてもらいやすい立場にいる。

自由度の高い場所にいるという自覚があるだけに、もっとやれることがあるはずだと思っています。

森満
森満

(うんうん)

日置さん
日置さん

やればやるだけ、自分の権限でやれることが増えていくし、自分でやれることが見えてくる。

その上で『やりきった!』と思えた時は、次のステージに行くタイミングなんだと思っています。

今、一番熱いテーマ

子育てして良かったと思える環境

森満
森満

最後に、一個人の日置友幸さんとして、今一番熱いテーマ(熱中していること)は何ですか?

日置さん
日置さん

私は今、川辺町の勝目小学校区というエリアに住んでいて。

このエリアの住民が、子育てして良かったと思える環境にすることが、僕の中で一番熱いテーマですね。

森満
森満

なるほど!

そのために、今行っている活動がありますか?

日置さん
日置さん

夏休みに子どもを対象とした『なつやすみワークショップ』という活動をしています。

2020年はコロナの影響で出来なかったですけど。

なつやすみワークショップの様子
森満
森満

具体的にはどんなことを?

地域住民は皆何かしらのプロ

日置さん
日置さん

夏休みに子どもを預けられる場として、ボランティアスタッフを中心に運営していて。

地域にはプロがたくさんいるんです。

踊りのプロに遊びのプロ。

色んなプロである住民に先生となってもらい、子どもたちが体験する機会を作っています。

森満
森満

面白い!

開催したときのポスター。宿題の見守りからギターまで幅広い内容。
日置さん
日置さん

2021年は、VR体験を子どもたちにさせたいなぁと思っていて。

デジタルがどういうものなのか、子どもたちに体験させたいんですよね。

他にも、和菓子作りをしたり、星空観察をしたり、花火をしたり。

この勝目小学校に通ったからこそ、こういう体験が出来たんだって、そう思ってもらえるような地域にしていきたいんです。

森満
森満

最高ですね。。

宿題の見守りまでやってくれるの、神じゃないですか。。
日置さん
日置さん

どうせ我が家の子どもたちも勝目小学校に通わせるわけなので。笑

森満
森満

やりたいことが自分ごとになってて、最高だと思う!

日置さん
日置さん

自分自身で出来ることを、どんどん外に出していくことを意識しています。

そうすることで、仲間も増えますしね。

学生時代に熱中したギターがここで活きてくるのか…‼
森満
森満

我が家の子どもたちも、ふらっと遊びに行かせてください!

今後の展開にも期待してます!

ということで、インタビューは以上になります。

長時間のインタビュー、ありがとうございました!

日置さん
日置さん

こちらこそ!

ありがとうございました!

まとめー後編ー

高校時代、筑波大学、青葉出版、議員としての顔、パパとしての顔、こどもワークショップ。

日置さんの歴史を振り返ってみると、すべての話がシームレスに繋がっていて、終始ぶれない軸が通っているなぁと、そこに凄みを感じました。

定期的に行っているZOOMでの市政報告会も、すごくカジュアルに参加できる様子なので、日置さんのFacebookをチェックして、一度覗いてみてください!

ということで、最後までお読みいただき、ありがとうございました!

また次回、お会いしましょう!

コメント

  1. カワバタ ショウコ より:

    私も「本当の豊かさとは、量ではなく、選択肢の多さだ」と考えているので、今回の記事、頷きながら読んでいました!
    次回も楽しみにしています。

    • kagoshima-base より:

      カワバタさま
      いつも感想を共有いただき、本当にありがとうございます!
      連載をする上で、すごく励みになってます!
      読んでいただく方に、働き方や生き方の選択肢を複数提示できるよう記事を更新していきますので、今後ともよろしくお願いします!

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