最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、鹿児島市役所で働き、育児休業中(10ヶ月間)の上木寿人さんです。
第3話では、育休を取って半年間が経過した今の気持ちについて、お話を伺いました。
<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
上木さんのプロフィール
1980年生まれ。
鹿児島県徳之島出身。
鹿児島市役所のグリーンツーリズム推進課で働く41歳。
2021年5月に第二子が産まれたことを機に、2021年6月から2022年3月まで育児休業を取得中。
家族との時間を大切にしながら、育児&家事に奮闘している。
育休生活について
育休を取って半年。どんな感じですか?
育休生活がスタートして半年が経過しました。
率直に、育休生活はどんな感じですか?
”今は”楽しいよ!
”今は”?
今は楽しいと思えてるけど、育休取って最初の1ヶ月は、めちゃくちゃ悩んだのよね。
ほぉ!
その辺の話を詳しく聴かせてほしいです!
やっぱりさ、家事育児って、やることが多すぎるのよ。
そもそも、今までずっと仕事が中心の生活だったわけじゃない?
そうですよね。
そこから家庭中心の生活に切り替わるわけから、まぁ自分の思うように動けない毎日で。
仕事でいうと、部署異動したばっかりの頃みたいな感じ。
なんていうか、こう、、どう動けばいいのかがそもそも分からないみたいな。
なるほど。
授乳以外は全部やる
上木さんの家庭は夫婦で育休を取ってると思うんですが、育休を取った後の生活って、どんな感じで役割分担してるんですか?
育休を取る時に僕が「授乳以外全部僕がやるから!」って言っちゃったのよ。
え!?すご。。笑
それ、本当にやってるんですか?
やってるつもり。笑
「全部僕がやる!」って妻に言っちゃってるから。
完全に勇み足よね。
笑笑
めちゃくちゃ大変じゃないです?
いや、大変なのよ。
本気で家事育児をやると、遊びに行く暇なんて全くてさ。
それこそ、最初は『夫婦で家にいるんだから、今までよりも生活のクオリティを上げるぞ!』と思ってて。
掃除も毎日ピッチリやってたし、毎回頑張って自炊してて。
いやーめっちゃ分かります。。
僕も育休取ってた1ヶ月目、それで病みました。
最初の2週間ぐらいは頑張れるんですけど、だんだん辛くなってくるんですよね。。
そうそう!
どれだけきれいに掃除しても、子どもがすぐ汚すでしょ?
そうなんですよ!
思い通りにいかないことに疲れるわけ。
「さっき掃除機かけたばっかりなのに、、もう汚れてるよ。。」みたいな。
洗濯物もエンドレスで干さないといけないし。
うんうん。
なんだかんだ1ヶ月間ぐらいは辛い毎日だったけど、育休入ってすぐにドラム式乾燥洗濯機を買って。
これで家事がずいぶんラクになったよね。
ドラム式乾燥洗濯機、最高ですよね…‼
ドラム式乾燥洗濯機と食洗機で、森満家の平和が保たれてると思ってます。笑
ほんとに最高で、もう前の生活には戻れないもん。笑
家事の負担が大幅に減るから。
洗濯と皿洗いを家電を任せることで、悩みが減っていきました?
そうだね。
あとは、家中心の生活に慣れ始めて、少しずつ手を抜けるようになった。
これが大きいかな。
手を抜けるように?
掃除も、毎日やってたのを2~3日に1回にしたり。
食事も完璧を求めずに作るようにしたり。
なるほど。
『クオリティを上げねば!』っていう考え方を止めて、『今までの生活と同じレベルを保っていければいいじゃん』って思うようにした。
自分がラクになる方向に舵を切ったことが、結果的に『育休楽しい!』って言えるようになった理由だと思うよ。
育休取って良かったこと=夫婦でコミュニケーション取る時間が増えたこと
今回、『育休取って良かったー!』と感じる部分はどんな所ですか?
うーん、まずは子どもの成長をそばで見れたことかなぁ。寝てるだけだった子が、右手を見つめるようになって、その手が口元に届いて舐め始めたり。子供の成長の瞬間、瞬間にたくさん立ち会えて。でもこれって想定内に良かったことで、想定外に良かったこともあって。
夫婦で一緒に過ごす時間が長くなるから、会話をする機会が増えるじゃない?
夫婦で思ってることをしっかり伝い合えるようになって、より深くお互いを理解することができるようになった。
これは育休とって一番良かったことかなぁ。
なるほど…‼
たまーに喧嘩もするけど、そうなった時も、すぐにお互いが歩み寄れるようになったもん。
だって、いつもコミュニケーション取ってるわけだから。
良い関係性。
まぁでもさ、すぐに歩み寄るのって、いつもコミュニケーション取ってるのもあるけど、すごく長い時間を一緒に過ごすわけだからさ、喧嘩したままでいられないわけよ。笑
たしかに。笑
(ここ、もうちょっとぶっこんでいきたいんだけど…でもこれ以上言ったら喧嘩になっちゃうから、この辺で折れとくか。。)
みたいな。笑
笑笑
夏休みの1ヶ月間、故郷の徳之島に帰った
話は変わりますけど、8月ぐらいに家族で徳之島の実家に帰ってましたよね?
帰った帰った!
1ヶ月間ぐらい。
働いてたら、1ヶ月間も実家に帰れないですもんね。
孫の顔をゆっくり親に見せることができる。
これも育休のメリットのひとつかもしれないなぁと思って。
そうだよね。
1ヶ月間実家にいるなんて、僕にとっては中学卒業以来だったのよ。
高校入学と同時に島を出たからさ。
なるほど!!
20年ぶりに長期で実家に帰った感覚はいかがでしたか?
島のこと、僕は大好きなんだけど、25年間も鹿児島市で暮らしてると、なんか、、
そわそわしたよね。笑
そうか。
徳之島に居た期間よりも、鹿児島市で暮らしてる期間の方が長いわけですもんね。笑
そうそう。
でも、両親とゆっくり話したり、90歳を超えたばあちゃんにひ孫の顔を見せられたり
すごく充実した日々だったよ。
子どもは、島での生活に対して何って言ってました?
小学1年生の上の子にとっては、夏休み1カ月の島生活って、ある意味、現実と夢の狭間にいたような期間で。
青い海、白い砂浜、大きな夕陽、心地良い風、トロピカルな果物とか挙げればキリがないんだけど、鹿児島とは全く違う島での生活を全身で感じていたよ。
いいですね。。
島で育った僕からしたら普通の環境なんだけど、子どもたちからしたら非日常な空間なわけで、
僕にとっても新鮮な1カ月だった。
徳之島で過ごした1ヶ月って、子どもにとっても良い思い出になってると思うなぁ。
ひとりの時間と家族の時間
ごめんなさい、また話変わるんですけど、僕の悩みを聞いてもらってもいいですか?
どうした?
僕、一人の時間がないと息苦しくなるんですよ。
家族とずっと一緒に居られるってすごく幸せなことのはずなのに、それでもたまに一人の時間が欲しくなる。
そんな自分に自己嫌悪してて。
あー、なるほどね。
上木さんも、一人で飲みに行ったり、一人旅したり、割と一人の時間が好きなタイプだと思うんですけど。
その辺って、どうやって折り合いつけてますか?
僕もね、何年か前に『一人時間を大切にしたい自分ってダメなのけ…?』って悩む時期、あったよ。
おお!
でもさ、『別に良いじゃん。しょーがないじゃん。』って思うようになって。
そこからは、気にしなくなったよね。笑
ほう。。
僕、完全にその時期ですわ。。
『家族でいる時間が一番楽しいはずなのに、ひとりの時間がほしいと思ってしまう自分って、なんてダメなやつなんだろう…』っていう時期。苦笑
あるある。
でもね、家の俺もいるけど、外の俺もいるから。
どっちも自分だからさ。
外俺、いますよね。笑
育休を取って最初に落ち込んだのは、外で一人の時間が持てなかったことも理由のひとつなのよ。
コロナ禍で気軽に外出できなかったし、毎日家事育児に追われてるから、ひとりでふらっと外に出られず。
うんうん。
そういうのが、ちょっとした息苦しさに繋がっててさ。
家庭にどっぷり入り込むと、逃げ場がないですもんね。
逃げ場がないから、ふさぎ込んじゃうのよね。
僕らでさえそうなんだから、育児家事+授乳をひとりでしてるママなんて、毎日ほんとに大変だと思うなぁ。。
いや、ほんとにそう。
僕なんか、一人目二人目の時、その負担を全て妻に背負わせてしまってたので…。
しかもこの『逃げ場がない感覚』って、言葉だけじゃ伝わらないのよね。
実際に体感しないと伝わらない、なんとも言えないしんどさがあるからさ。
まとめ #3
育休を取ったパパが悩む
家事育児に全力で取り組もうとする人ほど、自分の思い通りにいかない状況に戸惑うんじゃないかなぁと思います。
私自身も、育休とった最初のころは『毎日のタスク』とか作って完璧にやろうとしてましたもん。
ただ、いくら掃除してもご飯の度に子どもに汚され、皿と洗濯物は容赦なくたまっていく。
子供の送り迎えもあるし、お昼ご飯食べながら夜ご飯を何にしようか考え。。
そこで、完璧を追い求めてもきりがないこと&今までパートナーがしてくれてたことの偉大さに、気づくわけですよ。
上木さんのインタビューの中であった、『自分たちがラクになる方向に舵を切って、夫婦でしっかりコミュニケーションをとりながら暮らしてるという話』は、まさに育休の本質の部分だなと思いました。
ということで、#3では、育休を取って半年間が経過した今の気持ちについて、お話を伺いました。
#4では、育休×夫婦の関係性について、お話を伺います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ではまた次回、お会いしましょう!
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