「対話と挑戦の文化をつくる」がキャッチフレーズの、鹿児島にあるまちづくり団体テンラボ。
そんなテンラボが鹿児島県くらし共生協働課と組んで、2012年から行っている講座があります。
その名も「本気の地域づくりプロデューサー養成講座」
毎年、鹿児島県内の各地で活躍する人材を輩出するこの講座の受講生たちに、定期的にインタビューをして、受講生が年々変化していく様子を応援しようという本企画。
今回のゲストは、鹿児島市の桜島で地域おこし協力隊として奮闘する押川蓮斗さんです。
前編では、桜島での暮らしや大学時代の話を中心に伺います。
<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
押川蓮斗さんのプロフィール
鹿児島県日置市出身。
高校生までを日置市で過ごし、九州大学やドイツへの留学でデザインを学ぶ。
新卒で東京の大手広告企業「株式会社ADKホールディングス」へ入社し、マーケティングに関する業務を担当するも、どうしてもまちづくりに関する仕事がしたいと、地域おこし協力隊になることを決断。
会社を辞め、2020年10月より鹿児島市のさくらじま地域おこし協力隊として活動を始める。
NPO法人桜島ミュージアムに籍を置く形で協力隊としての活動を行い、得意なデザイン領域を活かしながら、イベントや観光事業開発等、現場の最前線で桜島の地域づくりに奮闘している。
Facebook:https://www.facebook.com/rento.osikawa
桜島での生活について
桜島に来て半年を迎えた感想=最高
今日はよろしくお願いします!
こちらこそ、よろしくお願いします!
取材場所に選んだここ☟のスペースって鹿児島市役所のロビーなんですけど、人が居なくて好きなんですよね。
WiFiとデスクと電源があれば、市役所との打ち合わせ前後で使えて良いのになぁって勝手に思ってます。笑
たしかに!笑
CITYWiFiとか使えそうですけどね。
出身って鹿児島でしたよね?
現在は桜島の地域おこし協力隊ということですが、今は桜島に住んでるんですか?
鹿児島県の日置市出身で、今は桜島の西道町ってところに住んでます。
桜島のフェリーターミナルから車で10分ぐらいの場所ですね。
2020年10月に着任して、今(2021年3月)で半年ぐらい経ったと思います。
率直に、今どんなことを感じていますか?
最高ですね。
おお!
とにかく最高です。笑
先日、両親や姉家族が来て、僕の家の庭でBBQをしたんですよ。
(うんうん)
背後に桜島、目の前は海みたいな状況で。
雄大な景色を前に、溶岩プレートで焼いた肉を食べれる幸せといったらもう。
それは。。最高ですね。。
父親はお酒大好きなので、肉食べ終わった後も、キャンプ用チェアに座って、桜島を眺めながら飲みまくってましたね。
「こういう場所、別荘としてほしいわー」って言ってました。笑
想いを持ってやってることを家族が喜んでくれるって、何よりも嬉しいですよね。
本当ですよ。
こういう暮らし、最高だなーって改めて思いましたね。
桜島ビジターセンター所属
今って、どこに所属して活動してるんですか?
所属としての大元は地域振興課なんですけど、そこから桜島ミュージアムに派遣される形になっています。
なので、桜島ミュージアムが所属先ですね。
桜島ミュージアムに派遣っていう形なんですね!
地域振興課が大元なのが意外!
そうなんですよ。
地域振興課が企画して予算取りしてっていう苦労をされていて。
で、僕ら(※)を採用していただいてるっていう。笑
※同じタイミングで2人同時に、さくらじま地域おこし協力隊として活動を始めている
なるほど。
2021年4月からは、地域振興課ではなく、桜島支所の方に移るんですけど。
地域振興課で僕らの担当をしてくれた方は、桜島出身の方で。
すごく親身にサポートしていただいて、めちゃくちゃ助かりましたね。
協力隊としての働き方について
桜島ミュージアムに所属して働いているということでしたが、毎日どんな感じで働いているんですか?
着任したての頃は、桜島ミュージアムの職員の方に同行させてもらうことが多かったですね。
「ちょっと外に出るけど、一緒に行かない?」って声をかけてもらう形で。
なるほど。
地域に連れ出してもらう毎日を積み重ねて、そこで地域の方との顔つなぎをしていただいた感じです。
おかげさまで、最近は単独で地域活動をすることも増えてきて。
そこは、桜島ミュージアムに所属する形にした大きなメリットかも。
桜島ミュージアムが地域住民と積み重ねてきた信頼を、フルに利用させてもらった形ですね。笑
めちゃくちゃ良い関係性だと思います!
市役所⇔住民の関係性と、桜島ミュージアム⇔住民の関係性は絶対的に違いますもん。
桜島ミュージアムの方が、地域にどっぷり入り込んでますし。
その通りで、本当にありがたいです。
いち個人として受け入れてもらってる
ちなみに桜島の住民の方は、押川さんが地域おこし協力隊だって理解されてますか?
鹿児島市としては地域おこし協力隊制度を導入してまだ日が浅いから、協力隊に馴染みがない人も多いんじゃないかと思ってて。
協力隊の押川ではなく、いち個人の押川として受け入れてもらってると思います。
「協力隊の押川ですー!」って自己紹介してるんですけど、「なんのこっちゃ?」って感じだと思いますね。笑
ですよね。笑
桜島には「桜島しまおこし隊」っていう団体もあるので、島おこし協力隊って言われたり、桜島おこし隊って言われたり。
そこら辺の認識はぼやっとしてると思います。笑
そこって逆にすごいなと思ってて。
住民の方は、協力隊という看板を背負ってる押川さんだから一緒に活動してるっていうわけじゃないってことですもんね。
いち個人の押川さんとして受け入れてもらえてるって、すごく価値のあることだと思います。
見ました!
めちゃくちゃ素敵な情報誌ですよね!
同じタイミングで協力隊として着任した増留さんが作ってくれてるので、僕は何もしてないんですけどね。笑
徐々に協力隊であるってことも認知してもらえれば嬉しいなって感じています。
大学時代の話
インダストリアルデザインを学んでました
少し遡って、大学時代のお話を伺います。
九州大学に通っていたとのことですが、大学時代は具体的に何を学んでいたんですか?
芸術工学部っていう、デザインと工学が混ざった学部に所属していました。
いくつかの専攻がある学部だったんですが、僕は工業製品をつくるようなインダストリアルデザインの専攻で、プロダクトをつくることをテーマに学んでいましたね。
へぇー!
そこから大学院に行くんですか?
そうです。
九州大学の大学院で、統合新領域学府っていう、当時出来たばかりの専攻に通っていましたね。
統合新領域学府?
まちづくりに興味が湧いた大学院での学び
農業、工学、心理学、デザイン等、いろんなジャンルが混ざった総合的な学問を学べるように、当時、大学が立ち上げたばかり学府で。
例えば、農業の人がデザインを活かしつつ新たなモノを生み出すみたいな。
なるほど!
面白い!!
色んなジャンルが複合的に横断することで、まちづくり的なことも学べる場所だったんです。
その時に、まちづくりの分野に関わりたいなって思いました。
僕はデザインを学んでいたので、デザインを活かしながら出来ることがあるんじゃないかって。
その時点の思考が、今の働き方にうっすら繋がってるんですね!
そうかも。笑
デザインを学びにケルンへ
大学院の途中で留学も経験してますよね?
ドイツのケルンにある、『ケルンインターナショナルスクールオブデザイン』っていう国際大学校に留学しました。
そこは、デザインを学ぶために、色々な国の人が集まってる学校で。
すごい!
まぁ、デザインを学ぶだけでは無かったりしたんですけどね。
ちなみに、今振り返ってみた時に、ケルンに行って良かったと思うことは何ですか?
「無知の知」です。
自分が外の世界のことや世界の人のことを知らずに生ていたんだと。
なるほど。
鹿児島や福岡、一部の環境下での知識&価値観の中で生かされていたことに気づけたことは、脳天を叩き割られたかのような衝撃でしたね。笑
ビーチラグビーにハマった
深いですね。。
ちなみに、大学時代は、部活とかやってました?
ビーチラグビーをやってましたね。
ビーチラグビー?
浜辺でラグビーをするんですけど、アメリカンフットボールとラグビーを掛け合わせたような競技なんです。
通常のラグビーよりもフィールドが小さいんですが、5対5でやる競技なんですよ。
人数は、1チーム10人。
フットサルみたいに交代自由で。
そんな競技があるんですね!
なぜビーチラグビーをすることに?
大学一年生から始めたんですけど、もともとは小中高とサッカーをずっとしていて。
大学ではフットサルでもやろうかと思ってるんですけど、先輩から誘われて、気づいたらビーチラグビーをすることになってましたね。笑
何かのご縁だったのかも!
やってみたらすごく楽しくて。
海×浜辺×夏
ビーチラグビーには、青春の全てが詰まってましたね。笑
最高。
先日、ビーチラグビーの後輩たちが桜島に遊びに来てくれたんです。
その時に、桜島のレインボービーチでビーチラグビーをやってみたんですよ。
これは念願だったので、感動でしたね。。
まとめー前編ー
一番最初に「桜島の生活はどうですか?」って聞いた時、
最高です。
って食い気味におっしゃっていたことが、すごく印象的でした。
大企業を辞め、桜島の地域づくりに飛び込んだ押川さんの思いと、受け入れる地域住民や桜島ミュージアムの思いが、ガッチリかみ合っているんだなぁと。
それだけで、もう十分なんじゃないかと思って。
ということで、前編では、桜島での暮らしや大学時代について、お話を伺いました。
後編では、社会人時代の話や、桜島で仕掛けようとしていることを中心にお届けします。
ではまた次回、お会いしましょう!
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