こんにちは!
鹿児島市役所で建築技師として働く森満(@seiya_mitchy)です。
2021年2月20日にオンラインで開催された「公務員フェスmini-鹿児島で公務員として働く魅力課-vol.01」に参加してきました!
公務員フェスminiとは
「熱い公務員がもっと溢れる未来を作りたい」
そんな思いから生まれた、先輩公務員を囲んでざっくばらんに対話の時間を過ごす「公務員フェス」。
そのイベントの規模感を、スマートかつオンラインで毎月開催していこう!という趣旨で生まれたのが「公務員フェスmini」です。
毎回、鹿児島で活躍する公務員の方を数名ゲストにお呼びして、前半は各回のテーマに関するゲストトーク、後半には少人数に分かれた対話の時間を通してゲストに学生の率直な質問にもお答えいただきながら直接繋がる時間を設けます。
当日のスケジュール
19:30 運営側あいさつ、ルール説明
19:40 参加者自己紹介
19:55 ゲストトーク①上原順郎
20:20 ゲストトーク②森満誠也
20:35 休憩
20:40 個別質問ー上原課長編ー
21:10 個別質問ー森満誠也編ー
21:30 おわりのあいさつ
社会人側の参加メンバー

中俣智貴(以下「シチョー」)。
鹿児島大学4年生。
本イベントの発起人。
2021年4月から鹿児島県庁で働くことに。
熱い思いを持った公務員であふれる未来のために奮闘する。

園翔太(以下「のんちゃん」)。
鹿児島大学4年生。
本イベントの発起人。
2021年4月から鹿児島県庁で働くことに。
鹿児島に航空会社をつくるために、ファーストキャリアとして鹿児島県庁を選択。
世界に貢献できる「鹿児島」を目指す財団を作るため、クラウドファンディングに挑戦中。

上原順郎(以下「上原さん」)。
鹿児島県くらし共生協働課長。
多岐にわたる業務実績や自身の人生経験をもとに、公務員の仕事を語る。

森満誠也(以下「みっちー」)。
鹿児島市役所で建築技師として働く。
もやもやを抱えながら仕事をしている事実をもとに、公務員の仕事を語る。
公務員フェスminiスタート!
19:30 運営側あいさつ、ルール説明
今回のイベントは全てオンラインでの開催。
学生、社会人併せて13名が集まりました。
まずは、主催者であるシチョーのあいさつ。

今日の流れやルールについて、シチョーが丁寧めに説明しています。

このイベント自体、今回が初開催ということで、運営の二人も手探りな感じが、逆に新鮮で良き!
19:35 チェックイン(1人ずつ自己紹介)
ホテルにチェックインするイメージで、この場への参加を表明する、自己紹介のお時間です。
①普段やっていること(学部学科or職務内容)
②呼ばれたい名前(ニックネーム)
③今の気持ち
この三点を踏まえて、一人ずつ簡単な自己紹介をしていきます。
学生向けなイベントなだけあって、ゲストの二人以外は全て大学生。
鹿児島の学生だけでなく、県外からの参加者もいるのがオンラインならでは!
緊張、ワクワク、楽しみ、不安。
参加者は、色々な思いが入り混じった様子でした。
19:50 公務員フェスの目的を共有する時間
運営側から、このイベントをなぜ行っているのかについて、説明がありました。
公務員フェスの4つのテーマがこちら☟


熱い気持ちを持った公務員の溢れる鹿児島にしたい!
と語る、シチョーの言葉が印象的でした。
公務員フェスminiは今回を皮切りに、毎月一回のペースで開催していくみたい。

このイベントは公務員になることを押し付けるものではないということも、のんちゃんから補足説明。

公務員というものを知って、自分の選択に確からしさを持つことが大事
導入部分の説明が終わったところで、いよいよゲストトークに移ります。
19:55 ゲストトーク①上原順郎×鹿児島県庁
タイトル
おーそうだったのか!県庁のお仕事ーオジサン行政マンの経験からー
目次
①おまえ誰?(プロフィール)
②なんで公務員になったの?
③公務員とは
④これまでの職場での経験事例
⑤まとめーやりたいこと、できること、求められることー
①おまえ誰?-プロフィール-

生まれてから今まで、引っ越しを16回してるぐらい、鹿児島のあちこちに住んできました。
小さいころ、親から言われて特に印象に残っている言葉があって。
鹿児島はすごいんだぞ。
人は良いし、自然は豊かだし、ご飯も美味しい。
なによりも、今の日本をつくったのは鹿児島だ!
こう言い聞かされて育ったことが、私の鹿児島愛の基礎になっているかもしれません。
今でも日本の47都道府県の中で、鹿児島がNo.1だと思ってます。
②なんで公務員になったの?
「高校を卒業したら東京に行くぞ!」っていう東京への憧れがあって、東京都内の大学に進学しました。
大学四年生の8月まで部活に明け暮れていた頃、世間はバブル期の直前。
同級生は金融とか流通とかに就職が決まっていく中、僕だけが就職が決まらなかったんです。
そもそも、就職して自分が働くっていうイメージがわかなかった。
そのうち、大学に行かなくなり、留年をすることに。
人生初めての挫折でした。
悶々と過ごす日々の中で、自分と向き合う時間だけはたくさんあって。
自分自身にずっと問いかけてました。
お前は何者なんだ?
なぜ生まれてきたんだ?
どう生きていきたいんだ?
色々な本を読んだり、思考したり。
そんな中で、

特定の分野や利益にとらわれず、ただ純粋に、大好きな鹿児島のために働きたい!
こう思うようになって。
数字や利益を追い求めるだけではなく、「大好きな鹿児島の土地、弱い立場や困ってる人も含めて、鹿児島の人のために働こう‼」と決心して、公務員になったんです。
昔、上司に言われた言葉で、今でも大切にしている言葉があります。
家族を愛し!職場を愛し!地域を愛す!
③公務員とは
公務員のことを良く知るために、地方公務員法第30条は知っていてほしい。

疫病発生時(コロナ禍、鳥インフルエンザ)や災害時(台風、地震等)に、懸命に働いている公務員がいます。
それが公務員になるということ。
職務の遂行に当たっては、「全力を挙げて専念」しなくてはならない
という、義務規定になっていることが特徴かもしれません。
また、公務員の服務規律についても知ってほしい。

服務規律っていう制限が課されている一方で、身分保証もされている。
犯罪等よっぽどのことが無い限り、民間企業と違ってクビを切られることがないのも、公務員と特徴です。
④これまでの職場での経験事例
屋久島環境文化村構想ー公務員としての働き方の原点ー
環境政策課で、屋久島が日本初の世界自然遺産登録に繋がる、基本構想を担当していました。
ここでの経験は、私の公務員としての原点となる仕事です。
私がこの仕事をしていたのが1990年あたりで、私は25歳ぐらい。
世間はバブル最盛期。
この構想を策定する上で、当時の日本を代表する有識者によって懇談会が行われました。
そこでどんな話が繰り広げられてたかっていうと、
共生と循環
世間がバブル最盛期のイケイケだった時代に、共生と循環についての議論が繰り広げられていたんです。
自然や歴史、文化を担当する中で、私自身、図書館に毎日通って、屋久島について徹底的に調べるぐらい、がむしゃらに仕事をしていましたね。
肥薩おれんじ鉄道の設立
新幹線を鹿児島に誘致していた時期に、肥薩おれんじ鉄道の設立に関する仕事をしていました。
この時は、とにかく働いてて。
残業時間が200時間前後の月もあったので、子どもたちにも会えない日々が続き。。
この話だけでも2時間は語れるので、詳しくはこちら☟の記事をご覧ください。。
屋久島の世界自然遺産、肥薩おれんじ鉄道や新幹線開業は、鹿児島県の歴史に残るようなダイナミックな仕事です。
こういう大きな規模の仕事も、鹿児島県庁に入ったら出来る可能性があります。
裏ではめちゃくちゃ泣きながら仕事をしてましたけどね。笑
南薩地域振興局時代の話
今まで所属してきた全14課の中で、一番楽しい職場が南薩振興局でした。
この時は係長として働いていて、よく係の職員に対して言っていたのが、
金を出せ!金が無ければ知恵を出せ!知恵が無ければ汗をかけ!
という言葉でした。

この金、知恵、汗って、結局循環しているんです。
私の持論ですが、一番大事なのは『汗をかけ』だと思っていて。
なぜなら、公務員の仕事は住民の生活に密着しているもので、真実は現場にあるから。
具体的な仕事内容としては、高齢化率85%の集落に入り込んで居場所づくりや都市農村交流をしたり。
大学生と田植えをしたり、集落の90歳ぐらいのおじいちゃんにインタビューをして集落の歴史を残す作業をしたり。
他には、観光課と南薩をつないで、事業を創設したり、いろんな部署を連携させて仕事をしたり。
民間の方や地域住民の方と一緒に動くことが多くて、楽しかったですね。
他にも観光課でインバウンド関係の担当をしてた時は、海外旅行客の誘致をしたり。
南さつま市へ出向してた時は、インバウンドの恩恵を経済的に地元へ還元させるために動いたり、逆に地元資源を海外へ売り込みに行ったりしていました。
⑤まとめーやりたいこと、できること、求められることー

地域活動をする中でよく言われるのが、『やりたいこと、できること、求められること』の重なり合う部分が一番良いとされています。
一個人として活動する場合は、『やりたいこと』の熱量が高いものの方が、継続できる。
でも公務員として働くと、どうしても『求められること』の割合が大きくなります。
そこにズレが生じるから、悩むんです。
その時、自分を支えてくれるものは、自身の根底にある『地域愛』だと思っています。
辛い時、「鹿児島の人のために!」っていう根底にある思いが、私を支えてくれています。
20:20 ゲストトーク②森満誠也×鹿児島市役所
タイトル
組織に所属することで自由を手に入れる
自己紹介

目次

①志望動機と公務員
僕は大学生のころまで、とにかく鹿児島が嫌いでした。
小さいころから生まれ育った鹿児島の見慣れた風景に飽き飽きしていたし、「こんな日本列島の隅っこで一生を終えるのなんてまっぴらだ!」と、強く思っていました。
という思いとは裏腹に、大学生の頃、就活で迷走します。
どうしても建築を学びたかった僕は、大学の途中で土木学科から建築学科に転学科をします。
しかし、周りの建築学生の美的センスや設計力に圧倒され、早々に設計のジャンルで食べていくことをあきらめることに。

せっかく建築学科に移ったのに、僕は将来どうやって食べて行けばいいのだろう。。
大きな挫折を経験し、迷いに迷った結果、

公務員になれば、設計、都市計画、工事、法律と、様々なジャンルを体験できる。
30歳ぐらいまでに自分の進みたい方向性を見極められれば…‼
と考え、鹿児島市役所に入ることを決めます。
2021年になり、鹿児島市役所に入って9年が経ちました。
建築職の様々なジャンルの業務を経験し、プライベートでもDIYを経験。
一級建築士の資格も取った上で、今、僕は、
建築にそこまで興味がなかった
という現実に、正面から向き合うことになります。
②やりたい業務と公務員
次に、市役所に入ったらやりたいジャンルの仕事ができるのか?という部分についてお話します。
市役所には攻める部署(観光、広報等)と守る部署(生活保護、建築指導等)があると思っていて。
市役所の組織って、僕の感覚だと、攻め1:守り9ぐらいの割合です。
というのも、行政の最大の役割は、
生活基盤を整えて、安心安全な最低限度の生活やサービスを住民にお届けする
これ☝だから、守る仕事が多くなるのも理解できます。
一方で、向き&不向きがあるよな、とも思っています。
個人の特性として、攻めが得意な人もいれば、守りが得意な人もいる。
攻める課に守りが得意な人が配置されたり、守る課に攻めが得意な人が配置されたり。
鹿児島市役所みたいに、職員が数千人規模の組織だと、人事で絶対に不一致は置きます。
これはしょうがないことだと思っていて。
結論としては、たとえやりたい仕事のイメージを持って市役所や県庁に入ったとしても、自分のやりたいこととドンピシャな業務ができる可能性は低いということ。
これが現実です。
僕自身、攻めが得意な人間だと思ってるんですけど、建築指導課っていうゴリゴリに守らないといけない課で働いてますしね。笑
③副業と公務員
ここからは、やりたい仕事が業務としてできない中で、どうやって突破するのかっていう話をします。
僕が今現在出した答えは、
やりたいことは副業としてやる
これです。

公務員って副業したらダメなんじゃないの?
って良く言われるんですけど、全然ダメじゃなくて、やり方次第だなと思ってます。
僕の事例を二つだけ紹介させてください。
①珈琲スタンドがやりたい!
いきなり公務員と関係ない話で申し訳ないんですが。。
僕の趣味は、珈琲を淹れて、人に「美味しい!」と言ってもらうことなんです。
丁寧にドリップした珈琲を飲んだ人が、僕に向かって「美味しい」と言ってくれること、これが至福の喜びなんですよ。
最初は妻や親、友人に飲んでもらってたんですけど、だんだんと欲が出てきて。

マルシェに出店してみたい!
と、思うようになるんですけど、ここで問題が。
出店して、珈琲を売って利益を得ると、人事課と調整をするのが面倒くさいし、そもそも僕より美味しい珈琲を淹れる人なんて出店者の中にたくさんいる。
そこで、物々交換で出店すればいいんじゃないかと思ったんです。
今、『Barter Coffee Stand』という屋号、つまり『物々交換珈琲スタンド』として、イベント等に出店しています。
物々交換ってあんまりイメージがわかないかもしれないですけど、具体的に言うと、
僕の淹れる珈琲と、あなたのおすすめのモノを交換してください
っていう形式でやってます。
すると、Tシャツや焼酎、隣のブースで売ってるパン、本等、色々なモノを交換してくれます。
モノを持ってない人には、『あなたのおすすめの情報をノートに書いてください』って言っていて。

この情報を交換するスタイルの良いポイントは、たくさんあるお店の中から美味しかったお店の情報を、書いてくれる人が頭の中でピックアップして書いてくれる。
それを鹿児島県内各地で出店して積み重ねると、本当に美味しいお店の情報だけが集まった、オリジナルの観光ガイドマップが出来るんです。
出水市に行ったらお昼ご飯はここ、鹿児島市の伊敷に行ったらここのパン屋さんのメロンパンを買おう、みたいな。
家族で出かける時に、めちゃくちゃ活用できる。
僕の珈琲が家族の笑顔に還元されるんです。
これだったら、貨幣を介してないから、いわゆる副業には該当しないですし。
何よりも、無料で珈琲を飲めるってことで、珈琲の味に対するハードルが下がって、ほぼほぼ「美味しい!」って言ってもらえるんですよ。
②広報の仕事がしたい
二つ目は、広報の仕事について。
先ほど、建築に興味がないことに気づいたって言ったんですけど、建築に興味がなくなったっていうより、広報の仕事への関心が高まったっていう方が正確かもしれません。
というのも、鹿児島市のSNS運用やマーケティングを見てて、

僕だったらもっとこんな企画の打ち方をするのに!
Facebbook、インスタ、twitterの発信の仕方はこうした方が面白いのになぁ!
みたいな思いが年々強まってきて。
広報系の部署に行きたいと、色々な人や部署へアプローチしてみたけど、僕はそもそも建築職。
事務職しか枠がないから、異動する余地がないと一蹴されました。
だったら自分でやるしかない!と一念発起して、今、公務員特化型のWEBメディア『KagoshimaBase』を立ち上げ、運営しています。
2020年10月にリリースし、約半年が経ちましたが、やってみて率直に『向いてるな』という確信があります。
とにかく楽しい。
仕事の時間と家事子育ての時間以外、全てを注いで記事を書いてるといっても良いぐらい、のめり込んで更新していますし、KagoshimaBaseに記事を積み重ねることが、確実に鹿児島のためになると思って続けてます。
仕事としてやりたいことが出来ない時は、外で出来ることから始める。
なんだかんだ動いていたら、たまにメディアに露出するようになり、それを見てくれた攻める部署の職員が連絡をくれたり、単発だけど攻める仕事を依頼してくれることもあって。
組織外での動きで認知を取ることで、組織内に伝わって業務になるみたいなことも、実際に起きてるから面白いですよね。
④まとめ
時代は過渡期で、副業が解禁される流れがあったり、テレワークの流れもある中で、公務員という看板は、間違いなくオイシイと思っています。
正直、公務員になってもならなくても、どっちでもよくて。
面白いことをどんどん仕掛ける仲間が、鹿児島でもっと増えたらいいなと思ってます。
今後、何か仕掛ける時は、是非KagoshimaBaseで取材させてください!
20:40 個別質問ー上原順郎編ー
短期間で分野を横断して異動することも多いと思いますが、自身のキャリアプランについてどう捉えてますか?

公務員として働くと短期間で部署の異動があると聞いています。
色々な部署を経験することになると思うのですが、自身のキャリアプランについてはどう整理されてますか?

例えば『環境の部署』で3年間仕事をしていたとして。
「異動です」って言われたと思ったら『土木の部署』に配属になるみたいなことが公務員(特に事務職)だと普通に起こるんですよ。
その時に、「私が今まで積み上げてきた環境分野での3年間は何だったんだろう」って思う。
その気持ちは絶対ある。

(うんうん…)

ただ、事務職としてのベースになるところ、例えば許認可とか補助金の流れとか決裁処理とかのスキルは、確実に積み重なっていくんですね。
事務職として共通で使えるスキルがあれば、ある程度どこの分野の部署に行ってもも通用するので。

とはいえ、ジャンルは大きく変わるわけだから、小学一年生に戻ったぐらいの気持ちで勉強をしないといけないのも確かだよ。笑

なるほど。

一方でモチベーションの話をすると、自分の望む分野で仕事ができない状況が結構あるんですよ。
そんな時、『今の業務はいつかやりたい分野で働いた時に輝くためのプロセスのひとつなんだ』っていう気持ちを持ちながら、仕事をするようにしてる。

例えば観光の仕事を任されたとします。
観光の仕事って、観光のことが分かってるだけでは、良い仕事はできなくて。
観光客の中には環境分野に興味がある人、食に興味のある人、色々な人がいるよね。

(うんうん)

「様々な観光客に対応するためには、自分自身に深みを持たせたり幅を持たせることが必要で、そのために今、観光とは違うジャンルで仕事をしているんだ。」
自分にそう言い聞かせながら働くことで、モチベーションを保ってるよ。
公務員で働くことの制約について教えて!

公務員って色々制限が多いイメージがあるんですけど、実際働いてみて制限を感じることがありますか?

県庁や市役所の業務や事業をするためには予算が伴うものが多くて。
予算は議会の承認を得ないと執行できないから、どうしてもスピード感が遅くなってしまう傾向にはなるよね。
それから、前例主義っていうのもよく言われるけど、これも税金を扱う組織が故に失敗ができないからこそ、既に実施されていたり、成功しているものをやるっていう安心感からきてるんじゃないかな。

なるほど。

その一方で、時代の流れの中、廃止する事業もあるし、新しく始める事業もある。
スクラップ&ビルドって言われるんだけど。

自分が南薩振興局にいた時に、なぜ民間や住民と連携した動き方をしたのかっていうと、良い仕事をするためには住民のパワーや民間のチカラ・ノウハウが必要だと思ったからなんだよね。
行政が主導するんじゃなくて、サポートに回ったほうが上手くいくこともあるなと思ってて。

職場に、僕と同じような思いをもった上司や同僚がいたのも大きかったかな。
前例主義とかスピード感が遅い面もあるけど、一方でそういう働き方も、やろうと思えばできるよ。

なるほど‼

どれだけ頑張っても給料上がらないんだけどね。笑
ただ、同じ給料をもらうなら、僕は楽しんで働きたいからさ。
仕事で失敗した経験がありますか?

先ほどのプレゼンでは、すごく華やかで成功されてる印象ですが、失敗された経験もあるんですか?

あるある!笑
今日は学生さん相手なので、成功した話しかしなかったけど。。
成功3:失敗7ぐらいのイメージかな。

(へぇー!)

例えば観光の部署にいた時、フロリダに行ってクルーズ船の誘致をしたことがあって。
そこだけ聞くと華やかだけど、その裏で、調整したり営業したり準備したり、うまくいかないこともたくさんあって、楽しそうに見える時間の10倍ぐらい泣いてるよ。

ただ、泣きながらでも頑張って仕事をしてたら、いつか成功につながるからね。
市役所と県庁で働くことの違いは?

市町村と県で働くことの違いは何ですか?

県庁は県全体の発展のため、市町村は市町村の発展のためにそれぞれ仕事をしていて。
そんな中で住民との距離感で言うと、圧倒的に市役所の方が近いと思う。

なるほど。

県庁の場合は、県全体の市町村の取りまとめみたいな、市町村との仕事のやりとりが多くなるかな。
ただ、県庁でも振興局にいくと、住民との距離感が近い働き方ができたりもするよ。

あとは、市町村の方がスピード感が早いような気がする。
人口規模が大きい鹿児島市は、他の市町村と状況が違うかもしれないけど。

スピード感って何のスピードですか?

意思決定のスピードだね。
鹿児島県庁とか鹿児島市役所は組織が大きいので、案件によっては調整する部署も多く、意思決定にどうしても時間がかかる。
人口規模が小さい自治体の方が、職員と首長との距離感も近いから、意思決定が速いような気がしてる。

もちろん、どの首長さんも忙しいし、市町村も案件によっては関係部署との調整は必要なので、一概には言えないけど。
僕自身は、市役所に出向した経験もあって、大きい組織と小さい組織のどちらでも働いたことがあるから分かるけど、どっちにも魅力はあるよ。
行政と民間の違いは?

公務員と民間の違いって何ですかね?

民間の定義にもよるけど…
公務員の場合は売り上げを上げたり、株主に利益を分配したりっていうことが全くない。
だからこそ、何のために仕事をするのかっていう部分が大事なんだと思っていて。

(うんうん)

行政組織の最大の特徴は、住民の生活を守る、生命を守るっていう部分だと思っているんだよね。
コロナ禍で顕著にそれが出てる。

目の前の仕事をどれだけ効率的にさばいても、そのことが必ず給料に反映されるわけではない。
それはなぜかって、すべて公共の福祉のためにやっていることだから。

給料が上がることもない一方で、犯罪を犯したりしない限り、クビになることもないんだよ。
だからこそ、やれることがあると思ってる。

私は、公務員と民間で迷っているんですけど、色々な人の話を聞きながら、公務員も民間も本質は同じなんじゃないかと思い始めて。
さらに迷ってます。。苦笑

本質の部分は民間だろうと公務員だろうと変わらないって僕も思ってるよ。笑
どちらにしても、現場のリアルが大事。
目の前の業務のその先にどういう人たちがいて、何のためにこの業務をしているのかイメージすることが大切だよね。

(うんうん)

正直、民間で就職しようが公務員になろうが、どっちでもいいと思ってる。
入って「違うな」と思ったら転職すればいいよ。
今は『終身雇用で定年までひとつの会社で働かければ!』みたいな時代じゃないからさ。

少し補足をすると、僕は学生社員として10ヶ月間民間企業で働いていたんだけど、自分の行動が組織という歯車を通して、最終的に誰のためになっているのかという視点は大事だと思った。

僕の場合は『鹿児島で航空会社をつくりたい』っていう目標があるから、鹿児島のためにっていう思いが今の時点では強くて。
それだと民間企業じゃ合わなかったから、たまたまご縁をいただいた鹿児島県庁に入ることにしたんだよね。

鹿児島県庁の採用試験でも、「近い将来に起業をして鹿児島のためになることを起こしたいんです!」っていう話も、「県庁の外に出て働いた方がいいタイミングが来たら辞めると思います!」っていう話もしたんだよ。
それでも採用をいただけたってことは、やっぱり何のためにどうしたいのかを自分の言葉で語れる人が求められてるんだと思うなぁ。
自分自身との向き合い方について

大学時代、自分が何者なのか悶々と考えてたとおっしゃっていましたが、それをどうやって乗り越えたんですか?

もやもやしてた時期は、とにかく自分の生い立ちからずっと振り返ったんだよね。
自分は何に興味があって、何が好きで、なぜ生きてて、何のために生きていくんだろうって。

なるほど。

その時、たまたま入った古本屋で『青年の思策のために』っていう本に出会って。
その人の一生っていうのは、人のために何をしたかが大事なんだ

この一文☝が自分の中にストンって落ちて。
鹿児島が好きで、鹿児島の人のためにって思い始めてた自分にばっちりハマって、「じゃあ公務員として鹿児島の人のために働こう!」って思えたんだよね。

悶々と考え続けてると、その時その人にとって必要なモノや人との出会いが必ずある。
だから考え続けよう!
公務員を目指す人に求められていることは?

公務員を目指す人に求められていることは何だと思いますか?

完全に個人的な意見なんですけど、なぜ公務員になりたいのかをしっかり自分の中に持つことかなぁ。
正解とか特にないんだけど、自分なりに落とし込むことが大事だと思うよ。

なるほど。

あと、今の時代は、事業をやるにしても行政だけでやるのではなく、いかに民間の人たちと一緒に協働できるかが大事だから、そのトレンドは掴んだ上で公務員になってほしいな。
21:10 個別質問ー森満誠也編ー
モチベーションの保ち方を教えて!

やりたい仕事と与えられた業務にギャップがある時、どうやってモチベーションを保ってますか?

僕自身は攻める部署でどんどんチャレンジしたい属性なんだけど、守る系の部署でしか働いたことがなくて。
正直、「攻める部署の方が僕のチカラ発揮できるのに!」っていう思いはずっとあるから、ストレスも大きい。
さらに、業務外で新しいことに挑戦したり、活動の幅を広げてメディアに露出したりすると、色々言われたりもするのが事実で。

それ、結構辛くないですか?

辛いよね。笑
そんな時に、組織の外にも仲間がいると強いなと思ってる。
例えば、僕の場合は鹿児島市役所だけじゃなくて、鹿児島県内を見渡してみると、各市町村に同じような思いを持って奮闘してる公務員の仲間がいて。
自分の思いに共感してくれる人の存在を感じられることは、精神的にめちゃくちゃ安定するのよね。

なるほど。

あとは、上原課長みたいな、上の世代なんだけど同じ思いを持っている大人が近くに居るという事実がめちゃくちゃ重要。
「こんなことやろうと思ってるんですけど、結構辛い状況で。。」って相談した時に、「いや!ミッチーが絶対正しいよ!頑張って行こうぜ!」って無条件に言ってくれる大人が近くに居ると、すごく心が軽くなるからさ。

そういう人、なかなか居ないですよね。

なかなか居ないからこそ、常にアンテナ立てといて、共感できる人を見つけたらグリップしとくことが大事かもね。
攻める部署と守る部署の話

攻めの部署と守りの部署の話が心に残りました。
私自身、広報とか企画が好きだけど、生活インフラを整える仕事や制度作りにも興味があって。
そういう整理の仕方もあるんだなって。

きっちり二分されてるわけでもないんだけどね。
攻める課にも守りの係があったり、守る課にも攻める業務があったり。
その辺はシームレスに繋がってるんだよ。

「観光の業務がやりたい!」と思って市役所入っても、「あなたは生活保護の担当をしてください」みたいなことが、公務員だと全然あり得るからね。
ただ、業務が自分の望むものじゃなかったとしても、自分のやりたいことなんて業務以外の場所でいくらでもできるし、外で活動することで、内部の人に見つけてもらえて、業務に繋がったりするからね。
業務外での活動を仕事に結び付けるために、注意していることや考えていることを教えて!

公務員でも副業は出来るのかみたいな話が印象に残っていて。
僕自身、公務員になって観光に関する仕事がしたいけど、観光以外の部署に配属されたらどうしようと思っていました。
Webメディアで広報活動をしてるとおっしゃってましたが、やりたいことを業務外でやりながら、それを仕事に結びつけるために注意していることや考えていることを教えてもらえますか?

ぶっちゃけ、まだ業務としてやりたいことが全然できていなくて。
KagoshimaBaseも、まだ始めたばっかりで全然認知されていないし。

僕みたいな市役所内の最下層の兵隊ポジションから、「これをやらせてください!」って上に突き上げて行こうとすると、トップの市長にたどり着くまでに壁がむちゃくちゃあるんですよ。
それって正攻法なのかもしれないけど、無理だなと諦めちゃって。
かといって、偉くなるまで20年も30年も待てるほど、気が長いタイプじゃないからさ。笑

笑笑

結局、決定権者に見つけてもらえないと何も始まらないから、とにかく結果を出すしかないなと思ってる。
KagoshimaBaseで言うと、記事を地道に積み重ねて、バズらせて、メディアに取り上げてもらって、市長の耳に入るぐらいのメディアにしないと、スタートラインにも立てないから。
今は職場と家の時間以外、充てれる時間は全てKagoshimaBaseの記事作成に充ててるかな。

なるほど。。

「こんなに良い活動してるのに、何で気づいてくれないの‼」
って思ってるだけじゃ何も始まらないからさ。笑
決定権者にいかに見つけてもらうか、どうすれば自分のやりたいことを実現するルートにのるのか、これはずっと考えてる。

僕の場合は、まだ何も業務としてやれてないんだけど、だからこそ試行錯誤しながら、とにかくやるしかないんだよね!笑
公務員は制約だらけで何もできないという呪縛

僕は公務員になろうと決めた時に、地元の公務員というカゴに一生とらわれるのは嫌だなと感じてしまって。
でも、地元は好きだから、与えられた仕事で地元に貢献しつつ、自分のやりたいことに外でチャレンジできるのはすごく魅力的だなと思いました。
地元でミッチーさんみたいなことが出来たらと思ってます。

このポジションってガラ空きだから、絶対やった方がいいよ。
珈琲を淹れる活動に関しても、鹿児島市内を見渡せば美味しい珈琲を淹れる人なんてたくさんいるじゃない?
それでも、珈琲スタンド×公務員ってなった瞬間に、「公務員なのに珈琲淹れてるんですか⁉」って注目してもらえる。

こんなオイシイこと、ないじゃん。
「注目されて目立てる!」って言う単純な話じゃなくて、認知をとることで自分のやりたいことがやれるとか、そっちの方が重要で。
やりたいことがあっても、認知されないと何も始まらないからね。

珈琲だったりWebメディアだったり、仕事を軸足にしながら、色々な分野に取り組めるのは公務員ならではの魅力だなと思ってるんですけど、その辺どうですか?

それこそ上原課長のプレゼンを聴くと、業務量が多くて大変だったみたいな話が多かったけど、僕の場合は、ほとんど定時で帰れる部署ばかり渡り歩いていて。
仕事以外の時間に自分の時間をしっかり確保できてるからこそ、自分自身と向き合う中で興味があることにチャレンジ出来てるっていうのは大きいかも。
男性の育児休業取得について

民間企業を見てて、福利厚生って大事だなと感じることがあったんです。
そんな中、みっちーさんは男性なのに育児休業を半年間も取られてるじゃないですか!
それって民間企業だと考えられないなと思って。

民間企業の友人からもだけど、公務員の人たちからも考えられないって言われたよね。笑
まぁたしかに、福利厚生や制度が整ってて、しかもしっかり使えるっていうのは、公務員の魅力だと思うよ。

同僚とか上司から、育休を取ることに対して色々言われなかったんですか?

育休を取る相談をする時は、確かに言いづらい空気感はあったよ。
ちまたでは、男性育休の取得率を上げよう!みたいな議論があるけど、実際に男の人で育休取るって言っても、普通は1週間とか、長くて1ヶ月とかじゃないかな。

「なんで半年も休むの?」みたいなことを言われたりもしたしね。
「奥さんが家にいるんでしょ?何もすることなくない?」
みたいな。
でもさ、仕事よりも大事なことなんて家の中にたくさんあるじゃんと思って。

(うんうん)

仕事のために生きてるわけじゃないじゃん?
なんで、産後の体力がまだ戻ってないママに一人で育児も家事もさせて、家族を犠牲にしてまで仕事をしないといけないの?って逆に思うよね。笑

これは懺悔でもあるんだけど、僕は3人目の子が生まれて育休を取るまで、ほとんど家にいなくて。
平日は仕事が終わったらイベントの打合せしたり飲みに行ったり、土日はイベントやったり車でイベントに行ったり珈琲淹れたり。
家事育児は全て妻に任せっきりの、ただのクソ野郎だったのよ。

でも、育児休業を機に、家のことを色々と妻に教えてもらいながら、半年間経験してみて、育児と家事ってこんなに大変なのかと、身に沁みて。
子どもを育てるって、楽しいこともあるけど、めっちゃ体力使うし、精神的にも削られる。
家事にしても、一日中台所で洗い物をして終わるみたいなことがあったり。

(うんうん)

それが分かってる男性やパパが、世の中にどれだけいるのかって思うよ。
だから、「奥さんいるのに家でやることないでしょ?」って言ってる人は、3日だけでいいからワンオペしてみろよと思ってて。
ワンオペしたら、いかに家事と育児が重労働かが分かるからさ。
自分への自戒も込めて言ってるんですけどね。。笑
21:30 おわりのあいさつ

「今日の場は、あなたにとってどんな意味がありましたか?」という問いの答えを、感想として書いてください!
とのアナウンス。
紙に書いた後、全員で一言ずつ、今日の感想を共有する時間が設けられました。
公務員について何かしら興味がある大学生ばかりだったこともあり、「知見が広がった」、「公務員って多様な働き方ができるんだと感じた」という意見があったり、「リラックスして参加できた」、「個別にじっくり質問をする時間が有意義だった」との意見が出てきましたね。

僕自身は、いかに学生にとって有意義な時間にするか考えすぎた&学生のパワーに圧倒され、疲労感でいっぱいです。笑
社会人側、学生側、ともにいい影響を与え合う場となっていて、良い時間でした!
後日談
後日、参加者の学生側からアンケートの回答が続々と届いたとのこと。
一部を紹介します。

鹿児島以外からの参加でしたが、リラックスした雰囲気で、たくさんお話することが出来てよかったです!

漠然と公務員になるのではなく、しっかりとした造を持って公務員になる人が増えるきっかけとなるイベントだと思うので、公務員の質の向上に繋がると思います!

私の持っていた「公務員の生き方」のイメージが変わりました。
終了後、のんちゃんとシチョーと上原さんが相談にのってくださったことで、満足度が高いイベントとなりました!
ということで、第一回公務員フェスminiについて、開催状況をレポートしてみました!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
第2回の公務員フェスminiは、2021年3月の第3土曜日に開催予定とのこと!
また記事にしますので、お楽しみにー!
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