【中編】与えられた環境で何が出来るか模索することが面白い【鶴田重孝|指宿市役所】

公務員図鑑

最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』

今回のゲストは、指宿市役所で働く鶴田重孝さんです。

この記事は8分で読めます^^

中編では、韓国へ留学していた頃のお話や、なぜ公務員になろうと思ったのか、働く上での考え方について、お話を伺いました。

鶴田さんの姿をとおして、普段日の目を見ることが少ないけど必死に働いてる公務員の姿を、少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。

<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase取材者)、森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

前編 生きがいづくりをサポートするという仕事【仕事内容編】

中編 与えられた環境で何が出来るか模索することが面白い【学生時代&考え方編】

後編 外に出てみて初めて分かることがある【働き方編】

生粋の指宿人

森満
森満

鶴田さんって、指宿出身でしたっけ?

鶴田さん
鶴田さん

ずっと指宿ですね。

鹿児島県庁に出向した時、1年間だけ鹿児島市に住んだことがあるぐらいで。笑

森満
森満

なるほど。笑

鶴田さん
鶴田さん

高校も指宿高校を出て、鹿児島大学の教育学部に進学したんです。

1年間浪人して、さらに1年間留学したので、同級生より2年間遅く卒業してるんですけどね。笑

上木
上木

えっ⁉

1年間留学してたんですか⁉

鶴田さん
鶴田さん

韓国留学してましたね。

上木
上木

韓国‼

めっちゃ良いですね‼‼

人材交流の流れに乗って留学in韓国

森満
森満

なぜ大学時代に韓国へ留学を?

鶴田さん
鶴田さん

実は、ものすごく韓国に興味があったかって言われると、そういうわけではなく…

所属してた研究室が、韓国の大学とつながりがあって。

毎年一人ずつ、お互いの学生を交換留学するっていう流れがあったんですよ。

上木
上木

はー!なるほど!

鶴田さん
鶴田さん

ある時、担当の教授に「韓国への留学制度があるけど、行ってみない?」って声をかけてもらったんです。

上木
上木

おもしろい!

そんな制度あったんですね!!

鶴田さん
鶴田さん

費用的には、国からの奨学金でほとんど賄えるぐらいの感じだったんです。

親に相談したら「いいんじゃない?」って言われたので、「じゃあ行ってくるわ」って。

軽い感じで行くことを決めたんですよね。笑

森満
森満

ちょっと旅行してくるぐらいの感じですね。笑

上木
上木

韓国での1年間は、いかがでしたか?

どんな暮らしをしてました?

鶴田さん
鶴田さん

留学先の大学は、結構規模の大きい大学だったんですよ。

私自身は大学の寮に住ませてもらって、2人部屋でしたね。

上木
上木

ルームメイトは韓国人の方?

鶴田さん
鶴田さん

いやっ、ルームメイトも外国からの留学生でした。

最初の半年がフランスの学生、後半がベトナムの学生でしたね。

森満
森満

へぇ!

上木
上木

会話は何語でしてたんですか?

鶴田さん
鶴田さん

最初は英語で、途中から片言の韓国語同士みたいな感じ。笑

上木
上木

1年間住んでたら、なんとなく韓国語をしゃべれるようになるものです?

鶴田さん
鶴田さん

出来るようになってたと思います。

と言っても日常会話ぐらいですけどね。笑

くじけない心を手に入れた

上木
上木

韓国での生活がすごく興味深いんですけど、ちなみに韓国の大学ではどんなことを学んでたんですか?

鶴田さん
鶴田さん

そうですね…特に『これを学びなさい!』みたいな決まりは無くて。

授業も参加してたんですけど、そもそも、言ってる意味が分かんないんですよ。笑

森満
森満

そっか‼

全てが韓国語ですもんね‼笑

上木
上木

大学の授業なんて、日本語で受けてても何言ってるか分からないことが多いもんなぁ。笑

鶴田さん
鶴田さん

ですね。笑

当時は、『レポートを提出すれば良いよ』ぐらいの緩い感じで認めてくれてたので、ありがたかったです。

上木
上木

今振り返ってみて、韓国留学での経験はどうでしたか?

鶴田さん
鶴田さん

行って良かったなって思います。

何か大変なことが起こったとしても、くじけないようになったといいますか。

上木
上木

うんうん。

鶴田さん
鶴田さん

新しいこと、やったことないことがあっても、『とりあえずやってみるか!』って思えるようになりました。

今、私がポジティブな思考でいられるのは、韓国留学で得たものが大きく影響してると思います。

森満
森満

最高。

上木
上木

留学に行くって決断したこと自体が、鶴田さんの大きなターニングポイントだったかもですね。

指宿から出たことないかと思いきや、いきなり韓国留学の話が出てきて、かなりびっくりしましたけど。笑

鶴田さん
鶴田さん

笑笑

教員になるつもりはなかったけど教育学部へ

上木
上木

少し話は変わりますが、鹿児島大学の教育学部出身でしたよね?

教員になろうっていう気持ちは無かったんですか?

鶴田さん
鶴田さん

入学する時点で、教員になるつもりはなかったんです。

僕が在学してた頃は、教育学部の中に教員コース生涯学習コースがあって、僕は生涯学習コースだったんですよ。

上木
上木

生涯学習コース?

鶴田さん
鶴田さん

生涯学習とか国際理解とか健康教育について学べるコースがあって。

そこで社会教育だったり地域づくりについて専門的に学んだんです。

だから、そもそも僕は教員免許を持っていなくて。

上木
上木

なるほど。

じゃあ、当時大学で学んでいたことが、今仕事として出来てるってことですか?

鶴田さん
鶴田さん

そうですそうです!

ちょっと時間はかかっちゃいましたけど。

だいぶ回り道しましたね。笑

テント設営や野外活動の研修会を行う社会教育課の職員たち

『生涯学習』に関わる仕事がしたかった

森満
森満

鶴田さんは高校3年生の時点で『生涯学習』に興味があって、教育学部の生涯学習コースに進学したってことですよね?

鶴田さん
鶴田さん

そうですね。

森満
森満

僕からすると、その時点ですごいなぁって思っちゃうんですけど…

だって、高校3年生の時に『生涯学習』とか知ってました⁉

上木
上木

いや、知らないよね。笑

鶴田さん
鶴田さん

笑笑

もともと、そういう仕事がしたいなぁって、頭の片隅にあったんですよね。

森満
森満

ってことは、大学に入る時点で、公務員になることも頭にあったんですか?

鶴田さん
鶴田さん

いやっ、その当時は生涯学習に関わる仕事が公務員として出来るということ自体を、理解してなかったと思いますね。

森満
森満

なるほど。

生涯学習に関する仕事って、具体的にはどんなイメージでした?

鶴田さん
鶴田さん

私自身、子どもの頃に体験事業とか交流事業に参加したことがあって。

例えば屋久島で登山したり、川遊びしたり。

公民館に寝泊まりして、異なる世代と過ごすみたいなやつ。

森満
森満

はいはい!

鶴田さん
鶴田さん

それがずっと自分の記憶の中にあって

あぁいう風な仕事をしたいなぁって、高校生の進路を決める時に思い出したんですよ。

森満
森満

なるほどなぁ。

自分が子どもの頃体験したようなことを、今、サポートする側として関わっているって最高だよなぁ…‼

就職氷河期世代

上木
上木

僕たちの就活の頃って、就職氷河期の時代だったじゃないですか?

鶴田さん
鶴田さん

でしたよね。

上木
上木

就職先自体がそもそも狭かったと思うんですけど、指宿市役所以外にも試験受けました?

鶴田さん
鶴田さん

第一志望は指宿だったんですが、受けられる公務員試験はすべて受けましたよ。

海上保安庁とか県警とか…

上木
上木

僕も一緒です。

受けられるやつは全部受けて、縁があったところに行くスタイル。笑

森満
森満

でも、結果的に第一志望だった指宿市役所で、しかもやりたい部署で働いてるわけですから、それって幸せなことですよね…‼

僕も第一志望の鹿児島市役所に入ったはずなんですけど、何がやりたいのか未だに定まらず、もがいてますもん。笑

鶴田さん
鶴田さん

やりたいことと与えられる仕事のギャップは、市役所職員あるあるですよね。

そこが一番難しいところ。

大学時代の鶴田さん(左下)

仕事とプライベートの境界線

森満
森満

話を伺っていると、鶴田さんの働き方って、仕事とプライベートの境界があいまいな働き方なんじゃないかなって感じています。

それ、すごく素敵だなと思っていて。

鶴田さん
鶴田さん

仕事とプライベートの境界?

森満
森満

『ここまでが仕事!ここからがプライベート!』って、はっきりしてないというか。

僕らがカゴシマベースでやろうとしてることもそうなんですけど、市民協働とか社会教育って、全てが地続きじゃないですか?

すぐに結果が出ないことも多いけど、今タネをまくことで、後に絶対指宿のためになるみたいなこと、多いんじゃないかなって。

鶴田さん
鶴田さん

分かります。

たしかに、そこって全部つながってますよね。

森満
森満

ですよね!!

自分が楽しめる活動が仕事になって、それが町のためになっていれば、別にワークとライフのバランスをとる必要すらないよなって。

そういう感覚で公務員として働けてる人って、すごく強いなって思うんですよ。

鶴田さん
鶴田さん

うんうん。

上木
上木

僕も同感ですね。

役所にいながらやりたいことが仕事として出来てるって、それ自体が鶴田さんの強みだなぁって思います。

鶴田さん
鶴田さん

ありがたいことに、やりがいのある課ばかり行かせてもらっていて。

与えられた職場で『自分には何ができるんだろうか』と考えながら仕事をすることは、すごく面白いんですよね。

森満
森満

最高。

令和4年指宿市成人式実行委員会の様子。こういう『場づくり』も社会教育課の仕事。

3人のパパとしての顔

上木
上木

また話はがらっと変わりますが、家族についてお話を聞いてもいいですか?

鶴田さんって結婚されてますっけ?

鶴田さん
鶴田さん

結婚してて、子どもが3人います。

中2男の子、小4女の子、小2女の子ですね。

ご家族との集合写真
上木
上木

上の子、大きいですね!

森満くんのところは4人目が産まれて、4月から育休に入るんだよね?

鶴田さん
鶴田さん

おお!

おめでとうございます!

また育休取られるんですね!

森満
森満

ありがとうございます!

そうなんですよ。

4月から1年間取らせていただきます。笑

鶴田さん
鶴田さん

自分も育休取りたいなぁって思いながら、結局取れなかったタイプなので…

上木
上木

指宿市役所って、男性育休の状況はどんな感じなんですか?

鶴田さん
鶴田さん

うちの市役所は、その辺が全然進んでなくって。

2021年時点でも、男性で育休取ってる人って、歴代で1人しかいないんですよ。

上木
上木

えっ‼

ほんとですか⁉

鶴田さん
鶴田さん

もちろん、時短勤務とかはあるんですけど、育休を申請してっていう方は1人らしくて。

上木
上木

僕は今年10ヶ月間育休を取っているんですけど、最近、鹿児島市役所も男性育休に対する風向きが変わってきたなって感じてて。

鶴田さん
鶴田さん

そうなんですか?

森満
森満

僕も過去2回、育休を取らせてもらってるんですけど、最初に育休取らせてもらう時は、正直めちゃくちゃ取りづらかったですもん。

もちろん、「なんで育休なんて取るんだ!」みたいなことは言われてないですけど、「お前の抜けた後どうするんだ?」みたいな空気感は、やっぱり感じますよ。笑

鶴田さん
鶴田さん

なるほど。

森満
森満

なんか、最近すごく感じるんですけど、年齢が若いからと言って、育休に対する理解があるわけでもないってことが分かりましたね。

僕とか上木さんが育休を取ることをすごく応援してくれる50代もいれば、「奥さん家にいるのに育休取って家で何するの?」って言ってくる30代もいますもん。

上木
上木

専門職だと特に、代わりがききづらいから育休を取れないみたいな話、ちょこちょこ聞くしね。

鶴田さん
鶴田さん

うんうん。

森満
森満

その人がどういう環境で育って、どんな先輩や上司の下で社会人生活を歩んできたかみたいな部分にも大きく関わってきそうだなって。

上木
上木

まぁでも、社会の流れとして、男性も家事育児をすることが当たり前の空気感になってきてるから、指宿市役所でも育休取る人がポツポツ出て来るかもですね。

鶴田さん
鶴田さん

僕らの世代が係長、課長にこれからなっていくので、若い職員から育休に関して相談があったら、どんどん認めていきたいなって思います。

森満
森満

素晴らしいですね…‼

上木
上木

自分たちが幸せになるために、育休っていう制度を上手くつかうっていう感覚だと良いですよね。

『男性はみんな育休を取らねばならぬ!』みたいになっちゃうと、息苦しくなっちゃうでしょ?笑

鶴田さん
鶴田さん

たしかになぁ。

まとめー中編ー

与えられた職場で『自分には何ができるんだろうか』と考えながら仕事をすることは、すごく面白い

こう語ってくれた鶴田さん。

自分のやりたいこと所属部署が異なることって、公務員あるあるなんです。

「自分は○○が得意なのに、なんで△△系の部署なんだ!」ってネガティブに捉えるのではなく、与えられた職場で自分に何ができるのか、ポジティブに模索する。

常に前向きにモノゴトを捉える鶴田さんは、僕らが目指す理想の公務員像のひとつの形なんだろうなぁと、背筋が伸びました。

僕自身、どうしても「なんで○○の部署で働かせてくれないんだ!」って思ってしまいがちなので…笑

ということで、中編では韓国へ留学していた頃のお話や、なぜ公務員になろうと思ったのか、働く上での考え方について、お話を伺いました。

後編では、過去&未来の働き方について、お話を伺います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ではまた次回、お会いしましょう!

前編 生きがいづくりをサポートするという仕事【仕事内容編】

中編 与えられた環境で何が出来るか模索することが面白い【学生時代&考え方編】

後編 外に出てみて初めて分かることがある【働き方編】

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