最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、さつま町で事務職として働く下麦大志さんです。
中編では、 公務員としてやってきたこと&やっていること(移住ドラフト会議やオンライン交流会)について 、お話を伺いました。
下麦さんの姿をとおして、普段日の目を見ることが少ないけど必死に働いてる公務員の姿を、少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。
<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase取材者)、森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
コロナ禍の働き方
さつま町役場のオンライン事情
コロナ禍以降、働き方が大きく変わったと思うんですけど、さつま町役場って業務でオンラインミーティングとかやってますか?
うーん、、外部とのオンラインミーティングはかなり増えてきましたが、役場内でのオンラインミーティングは全くやれて無いですね。
鹿児島市役所も、一部の部署以外は全然出来てなくて。
オンラインもなんですけど、部署によっては時差出勤と年休を組み合わせて、午前出勤したら午後休むみたいな職場もあるので、そもそも職員がつかまらないんですよね。
だから、日程調整がすごく難しくて。
なるほど。
会議室も、数自体が少ないので予約取るのが大変だし。
かといって、オンラインでミーティングするにも、専用のPC端末は数が限られてるから、早い者勝ちだし。。
なかなか環境整備が追い付いてないように感じてます。
リモートワークの現状
ちなみにリモートワークとか時差出勤については、役場内でどんな空気感ですか?
リモートワークについては、全然やれる感じでは無いですね。
鹿児島市役所も全く同じで、リモートワークの気配すらないです。。
まぁ、リモートワークって、役所の中でも出来る部署と出来ない部署がありますよね。
僕は業務内容的に出来そうだなぁって思ってるんですけど。笑
僕も出来ると思ってます。笑
例えば、『密にならないような観光イベントの企画書』をつくる業務があったとして。
その業務って、パソコンさえあれば出来ますよね?
(うんうん)
観光施設とか所管する部署だったら、役場じゃなくても、そこの施設に行って、WiFiが届けば作業できますし。
WiFiが無くても、テザリングとかでもいいし。
場所が役場じゃなくても出来ますね。
役場の机でPCとにらめっこしてるより、外でPC広げて作業した方が、良いアイデアって出てくるんじゃないかなぁ。
時差出勤が始まる
そうなんですよ。
ちなみ時差出勤は、もうすぐ始まろうとしてて。
さつま町役場にとって初めての試みだから、どうなるかわからないですけどね。
時間はどんな感じですか?
一番早くて7:00-15:45勤務。
一番遅くて10:00-18:45勤務。
時間の幅がかなり広いですね。
どの時間帯で勤務するかって、職員が自分で選べるんですか?
ですね。
一応、係でバランス見ながら調整するようになってるんですけど。
なるほどなぁ。
鹿児島市役所は、7:30-16:15勤務~9:30-18:15勤務までの幅で、30分刻みに選べるようになってるんですけど、僕らは二人とも7:30-16:15のシフトで勤務してるんですよ。
そうそう。
なんでかって言うと、正直、午後からは頭回らないじゃないですか。笑
笑笑
だから、頭のすっきりしてる午前中にブワーッて仕事終わらせるんです。
夕方は、早く帰ってカゴシマベースの記事書いたり、子どもたちと風呂入ったり、家族と過ごす時間に充てるようにしてて。
これが僕のタイムスケジュール的にすごく良いんですよね。
なるほど。
『コロナを踏み台にして自分のプライベートを充実させる』っていう考え方、すごく良いですよ。
もちろん、今まで通り8:30-17:15で勤務してる職員の方が、割合的には多いんですけどね。
逆に、勤務時間を日によって変えてる人もいますし。
今週は7:30出勤、来週は8:30出勤みたいに。
今回初めての取組みとしてですが、日によって勤務時間が変わる時があって、なかなか慣れず、、、
正直に言うと、個人的には今までのルーティンを崩されたくない気持ちもあります。
日によって勤務時間が変わるのは、結構辛いですね。
朝早すぎると、子どもの保育園が開いてないし、遅すぎると時間を持て余すよなぁって。
まぁ、今から始まる制度なので、やりながら柔軟に適応させていければいいなぁと思ってます。
移住ドラフト会議について
お金が無い中でも出来ること
さつま町で注目してる取り組みとしては、移住ドラフト会議への参加があって。
下麦さんとか民間の方を含めた『さつま町チーム』として、移住ドラフト会議に球団側で参加してますよね?
ですです!
森満君も別球団だったけど、2年前一緒に参加してましたよね。
たしかに。笑
僕は完全にプライベートで参加してましたけど、下麦さんは仕事として参加出来てるんですか?
仕事なのかなんなのか、って感じですけど。。笑
ありがたいことに上司も理解を示してくれているので、色々と柔軟に動かせてもらってます。
下麦さんの活動が柔軟に認められてること自体が、素晴らしいなと思ってて!
『なんだそのふざけた活動は⁉』ってなりそうじゃないですか?
移住ドラフト会議って、完全に民間の取り組みなわけですし。
ありがたいですよね。
一緒に動いてるメンバーとして、役場の他の職員もいるし、民間の事業者さんでノリの良いメンバーもいて。
職種を超えて、みんなで楽しく活動させてもらってます。
移住ドラフト会議からの一連の動きが、さつま町の大きなPRに繋がってると思います。
まぁ、お金がたくさんあれば、もっと大きな事業とか出来るのかもしれないですけど、お金が無い中で自分たちに何が出来るのか、常に考えながらですよね。
それこそ、昨年の移住ドラフト会議で指名した方がハブになって、新しい動きも始まってて。
オンライン交流会について
移住ドラフト会議からの広がり
あぁ!
もしかしてオンライン交流会ですか?
そうそう!
そうなんです!
2020年の移住ドラフト会議で指名させていただいた方の一人が、東京でバリバリ活躍されてて、色んな繋がりを持ってらっしゃる方だったんですよ。
(うんうん)
その方と「何が一緒にできますかね?」って話をしてたら、『さつま町の特産品を参加者に送って交流する、広い意味での関係人口って作れるかも!』っていう話になって。
なるほど。
そもそもコロナ禍で『首都圏から鹿児島に来てくださいね!』って言っても、現実的に無理な状況じゃないですか。
であれば、遠隔でも交流できる仕組みが今は色々あるので、『とりあえずやってみましょうか!』って。
最高ですね…‼
一応、赤字にだけはならないように、前回は参加者から2000円いただきました。
事業者さんには『自分の作ってる商品を思いっきりPRしてください!』って伝えて。
参加者に、生産者としての想いを届けてもらいましたね。
Face to Faceでモノとオモイを届ける
なるほど。
オンラインとはいえ、生産者と消費者が直接コミュニケーションを取れる場って、参加者も少人数だし、一見非効率に思えます。
SNSとかHPで広報する方が多くの人に届けられそうですが、その辺りいかがですか?
結局、広告とかSNSで商品のPRをやろうとしても、届けたい層にピンポイントで届けられるかっていうと、難しいわけですよ。
たしかに。
だったら、Face to Faceに近いカタチで、さつま町のモノを知っていただける機会をつくった方が良いんじゃないかって。
例えば『お茶』がテーマだったら、「生産者がこんな想いでつくってますよ」とか、「お茶ってこうやって淹れたら美味しく飲めますよ」みたいな、そこまで含めて参加者に届けられるイベントにしようと。
なるほど…‼
テーマも参加料も、毎回柔軟に変えようと思ってます。
お茶だったら2000円で設定しましたけど、例えば『焼酎』がテーマで5合瓶を送るなら、送料含めてもうちょっと参加料を上げないといけないですし。
参加者って、基本的に関東圏の方なんですか?
それがですね。面白いことにそういうわけでも無くて。
ハブになってくれてる方の繋がりがすごくて、色んな土地に知り合いがいらっしゃるみたいなんですよね。
この前は関東だけじゃなくて、岐阜県とか福岡県の方もいらっしゃいました。
人の顔が見えるということ
その参加者っていうのは、移住ドラフト会議で指名した方の紹介だけで集まってる感じなんですか?
そうですね。
広く一般的に参加者を募集するっていうよりは、その方の紹介でどんどん参加者が集まってくる感じです。
へぇ!
すごいなぁ。
まぁ私たちもですよ、『○○さんの紹介で』っていうのと、『SNSで流れてきた広告』だと、感じ方が違うじゃないですか?
たしかに!
もちろん、広告とかCMを見て『買おうかな』って思う商品もあるんですけど、森満くんの紹介だから『いいな』って思うものも、結構強くあると思うんですよね。
口コミに近い感覚というか。
それって、逆に理にかなってるかなって。
移住ドラフト会議でつながった縁が、オンライン交流会という形でさらに広がってるって、すごいことですよね。
実際に『移住者が何人増えました』とかじゃなくて、こういう関わり方がまさに関係人口というか。
ですです。
本当は、どの町も移住してもらえるのが一番良いと思うんですけど、でもそれって、なかなかハードルが高いじゃないですか。
高いですよね。
もっと緩い感じで繋がっていって、極端に言うと移住しなくても、定期的にさつま町の商品を買ってくれるだけでも、町としては大きいんですよ。
僕も数年前に移住ドラフト会議に選手側で参加したことあるんですけど、やっぱり指名してくれた町には定期的に行きますし、その町の人たちがやってるイベントにはできるだけ参加したいなと思いますもん。
僕も実際に移住したわけではないんですけど、『そういう関わり方が良いよね』って言ってくれるイベントなんですよね。
それ良いよねぇ。
面白い取り組みですよね。
移住ドラフト会議で指名した3名の選手たちが、鬼滅の刃で言うところの『柱』かなって思うんですよ。
指名選手とさつま町のメンバーと一緒になって、出来るところから地域課題にトライするって感じで。
それが、薩摩の力になっていくのかなって、そんな風に思います。
まとめー中編ー
お金が無い中で何ができるか
移住ドラフト会議への参加にしてもオンライン交流会の開催にしても、いわゆる今までの行政がやるイベントでは考えられないもので、そこに切り込むには柔軟な考え方が必要になってきます。
従来のやり方を継承するだけじゃなくて、今までのやり方が通用しなくなった時に、やれることを探すチャレンジ精神を持てるかどうか。
新しいチャレンジを応援する空気感にある自治体が、これから生き残っていくんだろうなぁと感じます。
ということで、中編では 公務員としてやってきたこと&やっていること(移住ドラフト会議やオンライン交流会)について 、お話を伺いました。
後編では、さつま町がこれからどんな未来に向かって進んで行こうとしているのか、その辺りの話をお届けします。
では、また次回お会いしましょう!
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