最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、鹿児島市役所で働き、1年間の育休を取得していた森満誠也さんです。
第2話では、育休を取ったことによる森満さん自身の変化について、赤裸々にお話いただきました。
<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase編集者)>
育休を取るパパが当たり前になりつつある
最近、鹿児島市役所でも育休を取る男性職員がかなり増えてるよね!
しかも1ヶ月とか、割と長期間取ることが当たり前になってきてる印象。
たしかに!
この人は絶対取らないんだろうなぁって思うような人からも育休の取り方を相談されたりして、かなり驚いてます。笑
でも、育休を取って夫婦で家事育児することが当たり前のことになってきてるって、すごく良いことだと思うんですよ。
育休取って夫婦で過ごす時間が増えたら、社会は平和になると思うよ。
間違いない。
育休の期間について
育休の期間についても少し感じる部分があって。
僕は今まで3回育休を取っていて、①1ヶ月(2人目)、②6ヶ月(3人目)、③1年(4人目)と、少しずつ期間が違うんですよ。
うんうん。
今振り返ってみると、期間が短い時ほど辛かった記憶があって。
3回の育休で一番辛かったのが1ヶ月の時なんですよね。
わかる気がする!
育休取って最初の1ヶ月って、一番辛い時期じゃなかったですか?
ただただ辛いだけだったね。
ですよね。笑
気持ち的に仕事と同じようなテンションで家事育児をし始めるから、こなしてもこなしても終わりがない家事育児にだんだん疲弊し始めるんですよ。
わかるわぁ。
でも、その思い通りにいかない期間を乗り越えた先に、見える景色があるはずなんです。
だから、育休の期間を相談された時には、「最低でも3ヶ月以上取った方が良いよ!」って、言うようにしてるんです。
夫婦の会話から生まれること
最初の1ヶ月って、崖っぷちに立ってるようなものなのよ。
今にも崖の下に落ちそう。
でも、あと数歩進んだら綺麗な花が咲いてて、取れるのよね。
その綺麗な花が。
めちゃくちゃ共感します。
だから、育休を数週間から1ヶ月ぐらいで職場復帰する人やそのパートナーって、育休期間を満足できなかったと思う人もいるんじゃないかなって。
働いてる時より、家で求められるレベルもあがるし。
実際思ってる以上にやることも多いからね。
そうそう。
しかも、家庭と職場、どっちにも気を使うじゃないですか。
育休取る上で職場に気を遣って引き継ぎして、育休取ったら家事育児がうまくできずにストレス溜まって。
家での過ごし方がなんとなくわかってきたタイミングで職場に戻されて、「ご迷惑をおかけしました」って謝って。
たしかになぁ。
それでも、育休を取ること自体は良いことだと思うんです。
短かったとしても。
育休を長く取ると、夫婦で一緒にいる環境が当たり前になって、色んな話ができるようになるのよ。
「こんな風に幸せに過ごしていきたいよね」とか、「こんな風に生きていきたいよね」って話すもん。
その会話の中で、色々なことに気づけるんだよね。
ほんとにそうです。
夫婦生活が長くなればなるほど、「言わなくてもわかってくれるだろう」って思ってしまいがちだったなぁって。
夫婦でお互いに良いところも悪いところも理解し合えたことで、真のパートナーになれた気がするって、妻とこの前話してました。笑
そうだよね。
そこは、森満君の気づきに対して、奥さんがちゃんと理解してくれて、一緒に同じ方向を向けてる感じが、めちゃくちゃ良いと思うよ!
うちの妻、すごい人なんですよ。
ほんとに。
転職「活動」は誰でもできる
話を働き方の部分に戻したいんだけど、ぶっちゃけ、人間って変化があまり好きじゃないじゃない?
普通に同じところで働いてくれて、お金を持ってきてくれればラッキーじゃん。
でも、家族が辛そうに仕事に行く姿は見たくないかもね。
自分が逆の立場だったら、「すぐ辞めよう!」って言いますもんね。笑
そこで「まぁ頑張ってよ!」とは言えないよね。
だから、転職活動を始めてみたんです。
なんか、聴いてみたくて。
自分が今までやってきたことを、僕のことを全く知らない人にぶつけた時に、どれぐらい評価されるものなのか、全く評価されないものなのか、すごく興味があるんですよ。
おお!
20代後半から30代前半にかけて、公務員としてやれることは全部やろうと、自分なりに命削って頑張ってきたつもりなんです。
でも、どれだけ頑張っても、組織の中では評価されてこなかった人生で。
そうだよね。
僕が今までやってきたこと、例えばコミュニティ運営とか公共空間の利活用、WEBメディア運営みたいなことを俯瞰して見た時に、それって民間企業で言うところの「営業」とか「企画」、「マネージャー」、「広報」みたいな経験に該当するんじゃないかなって。
たしかに!
ただ、プライベートの時間を使った活動が認知されればされるほど、組織からは「余計な活動するな」って言われ続けてきたんです。
でも、僕が8年前からなんやかんや続けてきた活動って、本当に「余計なこと」だったのかなって思う気持ちがずっとあったので。
なるほど。
もう何も隠さずに、「森満は今までこんな活動をしてきて、この価値観を大切にしてて、こういう働き方がしたくて、こういう部分は苦手だけどこの部分はめっちゃ得意なんだけど、僕どうですかね?」って、民間企業の採用担当者に伝えてみたくて。
そう提案した時に「ほしい!」って言ってもらえたらすごく自信になるし、「いらない!」って言われたら、僕の頑張りが足りないって再確認できる。
良いことやってるねで終わる虚しさ
すごく良いと思う。
森満君はさ、色んなことをやってきてるじゃん。
市役所の中でも「すごいよね」って言ってくれる人自体はたくさんいるのよ。
そうやって言ってもらえるのは本当に嬉しいんですよ。
でも、不思議だし、悔しいのは、「良いね!」って言われて終わるじゃん。
..そうですね。苦笑
このカゴシマベースにしても「こういう取り組みを業務としてやりたいんです!」って組織側にはずっと伝え続けてるじゃない?
それでも仕事に繋がっていかないのは、何かがあるよね。
自然体で生きたい
もちろん僕の力不足なのは100も承知で。
それでも、こんな僕のことを必要としてくれる会社がどこかにあるんじゃないかなって、希望を持ってる自分もいるんです。
だから、探してみようと思います。
それ、いいかも。
市役所という組織が求めていることと、僕らが得意としていることが、きっと違うんだよね。
そうそう!
「組織の内側から壁を壊していこう!」と思って今まで活動してきたんですけど、育休を取ったことで自分の優先順位が大幅に更新されたので、組織改革に使うパワーがなくなってしまったんですよね。笑
だったらもう環境を変えた方がいいだろうと。
そうだね。
もっと自然体で働ける場所があると思うなぁ。
僕も今年は自分自身ともう一回真剣に向き合おうと思ってるから、これからも色々話聞かせてください^^
ということで今回はありがとうございました!
ぜひぜひ!
こちらこそ、ありがとうございました!
まとめー第2話ー
「うちの妻、すごい人なんですよ。ほんとうに。」
まっすぐな目で、そう言う森満さん。
育休を取る前よりさらに魅力が増した気がします。
夫婦で長い時間を過ごして真のパートナーになれた。そしてさらに幸せになれた。
それが森満さんの魅力を深めていく。
森満さんにとってこの1年は最高の時間だったんですね。
「夫婦のための育休」
その通りだと実感した今回のインタビューでした。
「うちの妻、すごい人なんですよ。ほんとうに。」
最高の言葉ですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
また次回、お会いしましょう!
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