【中編】やる気×時間的余裕×求められてること【西牟禮慶子|鹿児島市役所栄養士】

公務員図鑑

最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』

今回のゲストは、鹿児島市役所の中央保健センターで栄養士として働く西牟禮慶子さんです。

この記事は6分で読めます^^

今回は、仕事としてではなく、プライベートで行った活動について、お話を伺いました。

西牟禮さんの姿をとおして、普段日の目を見ることが少ないけど、必死に働いてる公務員の姿を少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。

<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

いち個人としての顔

いしき園での経験

森満
森満

ここからは、西牟禮さんのプライベートでの活動に迫っていきたくて。

西牟禮さんは、2018-19年にかけて、イベントを企画したり、講座やスクールにどんどん参加していたと思いますが、そもそも、市役所を飛び出して外での活動を始めたきっかけを教えてもらえますか?

西牟禮さん
西牟禮さん

きっかけでいうと、2016年に高齢者施設の「いしき園」に異動したことかなぁ。

いしき園で働き始めて、何でこれを手書きでやらないといけないんだろうとか、何でここにお金使っているんだろうとか、素直に仕事を受け入れられない部分が多くて。

森満
森満

役所で働いてると、「わざわざ紙で印刷せずにデータで共有した方がよくない?」みたいな、効率化すべき部分めちゃくちゃありますもんね。

西牟禮さん
西牟禮さん

効率化するのって最初は大変だったんだけど、一回やってしまえば仕事に余裕が生まれて。

時間に余裕ができたことで、今まで見られていなかった情報に目が向き始めたの。

例えば、市役所内で情報が共有される「掲示板」を見るようになって、色々な情報を取れるようになったり、facebookで情報収集する余裕が生まれたり。

森満
森満

なるほど。

効率化って、今までのやり方を変える作業だから、取り掛かるために腰を上げるのが大変だったと思います。

「このままじゃいけない!」っていう危機感が、良い方に働いたってことですね。

西牟禮さん
西牟禮さん

そうかも。

仕事と時間に余裕が生まれたことで、少しずつアンテナが外にも向いていった感じかなぁ。

今まで栄養士の集まりにしか参加してなかったから、外の情報が刺激的で面白かった

映画の自主上映会をした時の話

森満
森満

いしき園に異動して3年目を迎える2018年に、「公民連携を推進しまくる会」として映画の自主上映会をしますよね?

その時の経緯を伺ってもいいですか?

西牟禮さん
西牟禮さん

2018年に『ケアニン』っていう映画の自主上映会をしたんだけど、これがめちゃくちゃ良い映画で。

自分が高齢者に携わる仕事をしていたこともあるけど、介護のイメージがすごく変わった。

2回見て2回とも号泣した。笑

森満
森満

最高の映画ですよね。

僕も泣きました。笑

西牟禮さん
西牟禮さん

2018年3月にケアニンを肝付町で見た時に、の映画を使って自主上映会ができるということを知って、この映画もっと多くの人に知って欲しいなあって漠然と思ってたんだよね。

森満
森満

なるほど。

映画上映会には多くの企業や病院も協力してくれた
西牟禮さん
西牟禮さん

そしたら翌月、鹿児島市役所の職員で構成される「公民連携を推進しまくる会」っていうグループに所属することになって。

その中で「何かしたいことない?」っていう話になり、「ケアニンっていう映画の自主上映会をやりたいです!」って私が言ったことがきっかけだったかな。

森満
森満

「公民連携を推進しまくる会」(以下「しまくる会」)は、7-8人ぐらいの所属も職種も年齢も異なる鹿児島市役所の職員で構成されていて。

僕も参加していたんですが、その時のことは良く覚えています。

ただ単にホールで映画を上映するだけじゃなくて、福祉系の学生向けに学校で上映会をしたり、病院と組んで上映当日にイベントブースを設けたり、バカンスっていうコミュニティスペースで野外上映をしたり、3日間ぐらいかけて色々な人に映画を見てもらう上映の仕方にしたんですよね?

バカンスでは野外でお酒を飲みながら鑑賞した
西牟禮さん
西牟禮さん

そうそう。

かなり大々的にやったよね。笑

今振り返ると、すごく良いタイミングだったんだと思う。

中央公民館でやった映画上映会は、大入りでした。

やりたい!の受け皿

森満
森満

というと?

西牟禮さん
西牟禮さん

当時は、自分のやる気時間に余裕があったこと世間からの求められてる感が相まって、すごい熱量でやれてた。

今だったらできないもん。笑

森満
森満

たしかにタイミングってありますよね。

西牟禮さん
西牟禮さん

だから、「しまくる会」みたいな土壌を必要としてる人って、結構いるんじゃないかなぁ。

やりたいことを実現させるために「やろうよ!」って言ってくれる受け皿があると、あの時の私みたいに”動きたい人”は絶対いると思う。

森満
森満

それはあるかも。

ただ、あの時僕らが「西牟禮さんをサポートしよう!」って思ったのは、「こんなことやりたい!」の主語が「みんな」じゃなくて「私」だったからっていうのが大きいと思います。

西牟禮さんが「私がこれやります!」って言ってたから、じゃあ僕らも「できる限りサポートしよう!」ってなったのを覚えてますもん。

西牟禮さん
西牟禮さん

なるほどね。

そもそも「しまくる会」みたいな場所に参加する以前に、面白い講座やイベントがたくさんあるっていう、その情報にアプローチできない人もたくさん居そうだよね。

森満
森満

たしかに。

西牟禮さん
西牟禮さん

情報を知った上でやってみたいことがあったとしても、「仕事も完璧にできるわけじゃないのに、足突っ込んでいいのかしら」って思ってる人が結構いるんじゃないかなぁ。

森満
森満

そう考えたら、「やっていいよ!一緒にやろうよ!」って言ってくれる受け皿って思いのほか大切なのかもしれないですね。

今活動休止中だけど、もう一回「公民連携を推進しまくる会」復活させようかなぁ。

西牟禮さん
西牟禮さん

とにかく私にとっては良いタイミングで、良い土壌に参加させてもらってたなって思ってます。

ありがとう。笑

森満
森満

こちらこそ!

介護・福祉のデザインスクール「老い展」への参加

西牟禮さん
西牟禮さん

映画の自主上映会の話が出たけど、2018年当時を振り返ってみると、私、狂ったように動き回ってて。笑

森満
森満

このインタビューをする上で、西牟禮さんのFacebookをさかのぼって見てたんですが、2018年は「老い展」っていうデザインスクールにも参加されてましたよね?

西牟禮さん
西牟禮さん

参加してた!

老い展とは

全国を8つのブロックに分けて、同時開催されたデザインスクール。

デザインスクールには、全国8ブロックに分かれて、介護・福祉に携わる専門職、市民、学生、クリエイター、企業など約500名が集結し、「自分の人生」と「介護・福祉のこれから」を重ね合わせ、8ヶ月全6回のスクールと数えきれないほどの自主会や発表会を経て、67点の未来に実現したいデザインが誕生しました。

参考:https://korekara-pj.net/oioioiten/

森満
森満

老い展のデザインスクールについてもググってみたんですが、これ、九州沖縄ブロックの開催地が福岡になってますけど、福岡まで参加しに行ってたんですか?

西牟禮さん
西牟禮さん

行ってました。

完全に感覚がおかしくなってたよね。笑

森満
森満

笑笑

ちなみに、なぜ参加しようと?

西牟禮さん
西牟禮さん

正直、これは完全に勘違いしてて。

募集のやつに「デザインスクール」って書いてあったから、「チラシとかを作るノウハウが学べるんだ!」と思って参加を決めたの。

あと、当時自分が面白いって感じていた人たちがおススメしていたのも後押しになって。

それで行ってみたら、課題解決をどうしていくかとか、デザイン思考とかの話が始まって、「あ!思ってたのと違う!」って。笑

森満
森満

現地で気づいたわけですね。笑

西牟禮さん
西牟禮さん

でも、全国各地から参加者が集まってて、色々な先進事例に触れられたのが面白かったし、刺激になったよ。

デザイナーさんと一緒に作り上げるってのも初めてだったから、勉強になった。

森満
森満

ちなみにデザインスクールはどんな感じのプログラムだったんですか?

西牟禮さん
西牟禮さん

座学やフィールドワークもあるんだけど、グループでアイデア出し合って、最終的にはプレゼンに落とし込んで、東京のアーツ千代田3331に展示するところまでやったよ。

アーツ千代田3331にも実際に行ったしね。

アーツ千代田3331での老い展の様子
森満
森満

映画上映をやったすぐ後に、老い展のデザインスクールに参加するのは、すごい馬力ですよね。。

かごしまswitchにも同時に参加

西牟禮さん<br><br>
西牟禮さん

老い展と全く同じ時期にスタートした、鹿児島市の事業でTen-Labさんがやってた「かごしまswitch」にも参加してたんだよね。

森満
森満

おお。。

かごしまswitchは、私自身もちょっとだけ関わらせてもらったことがありますけど、半年間がっつりコミットする講座で、結構ボリュームありますよね。

西牟禮さん
西牟禮さん

そうだね。

鹿児島の地域にガッツリ関われたっていう意味では、老い展よりかごしまswitchの方が思い出深いかも。

森満
森満

ちなみに、西牟禮さんはかごしまswitchでどんなことを実践したんですか?

西牟禮さん
西牟禮さん

私が所属してたグループは、鹿児島市の喜入地区を舞台として、病院の空きスペースを活用し、病院の内外をつなぐ場をつくれないかということをテーマに活動した。

具体的に言うと、喜入セントラルクリニックの協力のもと、グループホームの食堂を使って1日だけBarを開催したよ。

Bar開催当日の様子
森満
森満

Bar?

西牟禮さん
西牟禮さん

グループホームの入居者さん、職員の方、喜入に住む地域住民を対象に、食堂に来てもらって、Barという文字通り、食事やお酒を提供したり、出し物をしたり。

グループホームの内外の人たちが楽しめるイベントを企画、運営した感じかな。

森満
森満

グループホームでBarって、なかなか異色な組み合わせで面白い!

しかもお酒まで提供してるのがさらに面白いですね!

西牟禮さん
西牟禮さん

私はグループの中でもサポートする側の立ち位置だったけど、思い描いてた規模感より大きくなりすぎて、少しモヤモヤした記憶がある。

Barとういよりパーティーだったかな。笑

それでも、最終的には楽しかったし、自分の施設でやるならどうしようかって考える良い機会になった。

当日の開催状況はこちらをご覧ください☟

じぶん探し応援プロジェクト移住物語喜入の老人ホームでBARイベントが開催!! 

森満
森満

振り返ってみると、この時期はいろんな活動に同時並行で参加してますよね。

めちゃくちゃパワフル

西牟禮さん
西牟禮さん

こう見ると2018年は仕事してないように見えるけど、ちゃんと持ち帰れるところは職場に持ち帰ってたからね!笑

まとめー中編ー

中編で伺った話って、全て2018年、1年間に起きたエピソードだってことが驚愕で。

2018年 3月 肝付町でケアニンを見る
       自主上映会が開催できることを知る

    4月 公民連携を推進しまくる会のメンバーに

    7月 ケアニンの自主上映会

    9月 介護・福祉のデザインスクールに参加(~2019年3月)
       かごしまswitchに参加(~2019年1月)

   11月 喜入でBar開催 

2016年から2017年にかけて西牟禮さんの中でくすぶってたエネルギーが、2018年で一気に解き放たれた感じです。

興味があることにどんどんチャレンジできる人って、公務員の中ではめちゃくちゃ貴重な存在だなぁと感じます。

ということで、中編は、西牟禮さんのプライベートに関するお話を中心に伺いました。

後編では、西牟禮さんが愛する「でこん丸」についての話や、思い描く未来について、お話を伺いますので、お楽しみに!

ではまた!

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