最近なにかと話題の育児休業(以下「育休」)。
育休を取ったパパやママが、子どもとどんな毎日を過ごし、何を考え、どんな思いを抱いているかをお聴きします。
今回のゲストは、熊本県水俣市役所で働く、倉田大吾(以下「大吾さん」)・智美(以下「智美さん」)ファミリーです。
第4話では、公務員としての働き方や副業の考え方について、お話を伺いました。【全4話です】
<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase取材者)、森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
公務員の働き方
育児の合間の休息

大吾さんは育休取って7ヶ月目ということでしたけど、正直、育児と家事にコミットし続けるとと、『辛いタイミング』がありませんか?
僕、育休取った最初の2週間で、発狂しそうになりましたもん。笑
ゴールが見えなさ過ぎて。

笑笑
たしかにずーっと家に居続けると、息が詰まることもありますよ。

そういう時って、どうやってストレス解消してます?

毎朝走ることが気分転換になってますね。
まだ家族が寝てる朝6時ごろ、1人で起きて1~1.5時間ぐらい走りに行くんです。

毎朝1~1.5時間⁉
どれぐらいの距離を走るんですか?

10~15kmぐらいですね。


すごすぎる。。
僕の場合は朝10km走ったら、疲労困憊で1日が終わりますね。笑

笑笑

パパが走りに行ってる間、私は娘に起こされて、朝ご飯作って。
私たちが朝ご飯を食べてる間に、走りから帰ってきたパパが洗濯物を干してくれるんです。

朝の時間は夫婦で協力しながらやってるんですね。

ですねぇ。
その後は、下の子が起きてたら4人で保育園に行くし、寝てたら、私かパパどっちかと娘の2人で保育園に行く感じかな。

4人で保育園に行くの、めっちゃいいなぁ。
夫婦で育休を取ったからこそ出来ることですよね。
イベントの売り上げを寄付した

智美さんは、なにか気分転換というか、趣味みたいなことされてますか?

私は料理なんです。
家で作るのはもちろん、先日、作り置きのおかず販売会をしてみたり。


あー!SNSで写真見ました!
めちゃくちゃ彩り豊かで美味しそうで…‼

ありがとう。笑
若手の頃、先輩に声をかけてもらって、図書館でマルシェをした売り上げを東日本大震災の寄付に充てたことがあって。
今回は私1人での出店でしたが、以前と同じように経費を除いた収益を『熊本豪雨災害地域』に寄付しました。

素晴らしいですね。
料理を作る上で、こだわったポイントがあります?

子どもでも安心して食べられるように、料理の調味料は無添加で出汁を取ったり、油も丁寧に下処理して作ってみました!


公務員である智美さんが、1人でこのイベントに出てることがすごいなぁと思っていて。
公務員がマルシェに出て収益を上げる構造って、かなり微妙なところというか。
僕も物々交換の珈琲屋としてマルシェに出たりしてるんですけど、どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、良く分かってないんですよね。笑
アウトプット出来る人ってすごい

智美さんみたいに、自分の持ってる技術をアウトプット出来る人ってすごいなぁって思います。
誰しもが出来ることではないから。

智美さんの料理は、SNSで見てるだけでもほんとにすごくて。
プロ並みのクオリティですもん。

こういう活動って、確実に参加者や地域の人を幸せにしてるじゃない?
自分の利益だけを目的にしてないのは明らかだから、公務員でももっと柔軟に、活動できればいいのになぁって思うよ。

そうやって言ってもらえると、ありがたいです…‼

見守ってくれる先輩たちがいる

一方で、仕事と関係ない活動で露出すると、市役所の内部から何か言われたりしません?

いやー、私の耳には直接入ってきてませんね。笑
むしろ、私がおかしな行動をしてる時は、『それおかしいよ!』って直接言ってくれる頼れる先輩たちが居るんですよ。
そういう先輩方の存在が、すごく心強いです。

そうやって言ってくれる人の存在は、めっちゃ貴重ですよね…‼

ほんとに!
ありがたいんですよ。
兼業許可をもらえばお金も受け取れる

逆に、森満くんのやってる活動は、どんな形式でやってるんですか?

僕の活動は、大きく分けて2種類あるんですよ。
1つ目は、他の自治体から依頼をいただいて、人事課に兼業許可をもらって行う活動。
例えば、行政主催の市民協働講座に、アドバイザー的な立ち位置で呼んでいただく感じです。

なるほど。

鹿児島市役所の場合は、活動内容や時間当たりの金額で、兼業許可申請が必要かどうか決まってて。
こっちの活動は自治体が主催する活動だし、お金も受け取ってるから、人事課から正式に許可をもらって活動してます。

しっかり人事課と調整してるんですね!

ざっくばらんに相談できる先輩が、人事課にいたんですよ。笑
些細なことでも雑談レベルで気軽に相談に行けたので、ありがたかったですね。

相談しやすいかどうかって、大事だよね。

大事!
あとでごちゃごちゃなるのも、お互いに言われるのも辛いじゃないですか。
人事課に話を通して兼業許可をもらえば、公務員であってもお金受け取れますからね。
ただ、公務員が行うものとして相応しい内容かどうか、人事課から厳しく見られるので、相談してボツになったものもあります。笑

なるほど。笑
お金を介さない活動

もうひとつが、お金を介さない活動で、『物々交換の珈琲屋としてマルシェに出店』みたいなやつです。
こっちはボランティア的な位置づけで、お金の授受がないので、兼業許可とかもらってなくて。

うんうん。

でもぶっちゃけた話、物々交換でマルシェに出続けると、金銭的に辛くなるんですよ。
紙コップ代とか珈琲豆代とか、経費がかかる分、我が家の現金は無くなるので。。笑

辛いよね。笑

なので、知り合いの店がマルシェに出店してる時は、ボランティアでそのお店のお手伝いをすることにしました。


なるほど!

そうすれば、紙コップ代とか珈琲豆代を気にする必要もないし。
ただ、昨年からコロナ禍でマルシェ自体が開催されにくい状況なので、最近は出れてないんですけどね。。
美味しいって言われたいだけ

なぜ、そこまでして珈琲をマルシェで淹れるの?
ボランティアってことは、無償なわけだよね?

無償ですね。
公務員として働いてると、お礼を言われる機会って少なくないですか?
誤解を恐れず言うと、ほめられることより、お叱りを受けることの方が多くて。
それが僕にとっては辛いんですよね。

うんうん。

でも、珈琲屋として出店すると、自分の淹れた珈琲を美味しそうに飲んでくれて、しかも『美味しい!』って褒めてもらえる。
美味しいという言葉をもらうためだけに僕は珈琲を淹れてて、それが生きる活力になってるんです。

なるほどなぁ。

みんなが幸せになれる

お店を手伝うっていう形式も良いですよね。

さっきも言ったけど、やっぱり智美さんがしてるような活動って、すごく良いことだよ!
この活動を通して、地域の人も参加者も、みんなが幸せになれるわけで。

うんうん。

そういう活動って、誰でもできるわけじゃないんだから、どんどんやらせるべきだよね!


そんな風に言ってくれる人が同じ鹿児島市役所の中に居てくれて、めちゃくちゃ嬉しいです。

ほんとそう!笑

ということで、最後の方は育児の話じゃなかったですけど、長時間にわたるインタビューをありがとうございました!
素敵なファミリーに、ほっこりしました!笑

こちらこそ、ありがとうございました!
帰りの車内での上木と森満

いやー、ちょっと今日は青天の霹靂だったなぁ。
かなり揺さぶられた。

夫婦で育休を3年間取ってたことに?

そうそう。
いつも思うんだけど、すごい人って、涼しい顔でさらっとすごいこと言うよね。笑

たしかに。笑
大吾さんの場合は、水俣市役所の中で育休を男性で取ってる人自体が少ない中で、3年間取ってるわけですからね。。
家族でいる時間を最優先に考えて、夫婦で一緒に子育てしてるって、最高ですよね。

それを当たり前のこととしてやってるところが、大吾さんのすばらしさだよね。
智美さんもすばらしかったし。

やっぱり、仕事中心じゃなくて、家族とか大切な人を人生の中心に据えたいですよね!
まとめー第4話ー
育休は目的じゃなくて手段
全4話にわたってお届けした、倉田家の記事。
改めて振り返ると、育休って、取得率ばかりが話題になりますけど、育休を取った後にどんな暮らし方をしてるのか、そっちの方が重要で。
倉田家のように育休を取って豊かな時間を過ごしてる家族も素晴らしいし、育休取らなくても夫婦で協力し合いながら暮らしてる家族も素晴らしい。
みんな手段は違っても、楽しく笑顔で毎日を過ごしたいだけなんですよね。
ということで、最終回では公務員としての働き方や副業について、お話を伺いました。
ではまた次回、お会いしましょう!
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