【後編】外に出てみて初めて分かることがある【鶴田重孝|指宿市役所】

公務員図鑑

最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』

今回のゲストは、指宿市役所で働く鶴田重孝さんです。

この記事は6分で読めます^^

後編では、今までとこれからの働き方について、お話を伺いました。

鶴田さんの姿をとおして、普段日の目を見ることが少ないけど必死に働いてる公務員の姿を、少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。

<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase取材者)、森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

有能な若い人に選ばれるために

上木
上木

指宿市役所って、職員は全体で何人ぐらいですか?

鶴田さん
鶴田さん

大体400人ぐらいかなぁ。

指宿市の人口が4万人ぐらいなので。

森満
森満

なるほど。

ちなみに、リモートワークって進んでます?

鹿児島市役所は全然進んでないんですけど、指宿市役所どんな感じなのかなぁと思って。

鶴田さん
鶴田さん

いやー、うちの役所も全然進んでないと思います。

森満
森満

ですよね。。

リモートワークに関しては、鹿児島県内で進んでる自治体が無さそうだなぁって感じてて。

鶴田さん
鶴田さん

うんうん。

森満
森満

ただ、関東圏の自治体の話を聴くと、バキバキにリモートワークやってて。

リモートで働くシステムが整備されてるから、そもそも職場に行く必要もないし、もはや、その自治体に留まる必要もないと。

例えば、『指宿市に居ながら関東の自治体でリモートワークしても良い』ってなってる所もあるんですよ。

鶴田さん
鶴田さん

へぇ!

良いですね!!

森満
森満

やばいですよね!!

なんでそこまで整備してるかって、そもそも民間企業と競って有能な若い子に入ってきてもらうためには、職場環境も整えないといけないんだと。

鶴田さん
鶴田さん

なるほど。

森満
森満

この感覚って、あんまり表立って話題にならないですけど、とっくに鹿児島でも起きてることだよなと思うんですよ。

鶴田さん
鶴田さん

そうだと思います。

指宿市役所の職員でも、辞めて転職する職員、結構増えてきてますよ。

森満
森満

やっぱそうなんですね!

上木
上木

特に若い職員は一度役所に入っても、役所に骨をうずめるという感じではなくなったような気がします。

鶴田さん
鶴田さん

ですね。

例えば、市役所だけでずっと働いてたら気づかなかったんだけど、出向して、外で他の働き方を知って、辞めるみたいな形もありますよ。

森満
森満

なるほど!

気づいちゃったパターンですね。笑

上木
上木

いろんなところを経験して気づきがあって、次のステップへとチャレンジするのって、すごく健全というか、素晴らしいことですよね。

鶴田さん
鶴田さん

ですよね

森満
森満

まぁ、気づいちゃって次の職場へチャレンジする人も素晴らしいなと思うし、気づいた上で辞めずにもがき続けてる人もかっこいいなって、僕は思うので。

だから今日もこうやって、鶴田さんにインタビューさせてもらってるんです。笑

鶴田さん
鶴田さん

ありがとうございます。笑

カゴシマベースは組織の中でもがき続ける人を応援するメディアです。

夏はアロハが制服

森満
森満

働き方つながりで言うと、指宿市って、働く時のはどんな感じですか?

やっぱりスーツ&ネクタイの人が多いです?

鶴田さん
鶴田さん

いやっ、指宿市役所って、夏はみんなアロハシャツなんですよ。

いろんなバリエーションのあるアロハシャツ
森満
森満

そっか!

そうですよね!!

鶴田さん
鶴田さん

冬はこの黄色ジャンパーで、内側は別に何着ても良い感じです。

なので、現場に出る人は作業着だったり、ポロシャツ着てる人もいたり。

黄色いジャンパーの鶴田さん(左側)
上木
上木

市役所って幅広い仕事があるから、みんなスーツである必要がないですもんね。

鶴田さん
鶴田さん

ですね。

私は教育委員会っていう職場柄、今はネクタイ締めてることが多いんですけど、逆に今まで在籍してた部署では会議の時以外、ネクタイしてなかったですもんね。笑

森満
森満

素晴らしい。

移住とか空き家の担当職員が、常にネクタイをばっちり締めてたら、距離感エグいですもん。笑

上木
上木

というか、アロハめっちゃ良いなぁ…‼

指宿市の職員がアロハ着るのって、結構前からやってますよね?

鶴田さん
鶴田さん

クールビズが叫ばれ始める前から、指宿市はやってるんですよ!

上木
上木

すごい!

鶴田さん
鶴田さん

指宿は昔、東洋のハワイを目指してたんです。

その時に『アロハ宣言』っていうのを出して。

アロハ宣言の様子(参照:いぶすき観光ネット)
上木
上木

あー、僕、そういうの大好きなんです。。

勝手に宣言しちゃうのとか最高すぎます。

それ聞いた瞬間から指宿市のことが大好きになりましたもん。笑

鶴田さん
鶴田さん

笑笑

なので、1年の半分はアロハ残り半分は黄色ジャンパーっていう服装なんです。

だから、着る側としてはラクですよね。

森満
森満

うらやましいなぁ。

僕らは、ネクタイ締めてないだけで、「なんでネクタイ
してこないの?」みたいな空気感じますもん…。

上木
上木

ネクタイを締める締めないって、どっちでもいいですもんね。笑

スーツからアロハに変えるみたいなとんでもなくポジティブな方向チェンジでネクタイ締めなくなったとか、指宿市最高すぎますよ!

知識のアップデート

森満
森満

ところで、話は変わるんですけど、鶴田さんとは今年、鹿児島県主催の講座(地域づくりプロデューサー養成講座)で一緒だったじゃないですか。

先ほどのお話の中で、過去に1度受講されて、今年2回目の受講だとおっしゃっていましたが、なぜ受けようと思ったんですか?

2021年度版地域づくりプロデューサー養成講座の募集チラシ
鶴田さん
鶴田さん

1回目に私が受講したのは、かなり昔のことなんですけど、今回受けようと思った理由は、新たな刺激や繋がりがほしいなと思ったんです。

森満
森満

なるほど。

鶴田さん
鶴田さん

なので、『これをやりたい!』っていう具体的な目標があったわけではないんですよ。

ただ、以前受講した時にすごく良い刺激をもらったっていう感触が、自分の中に残っていて。

森満
森満

うんうん。

鶴田さん
鶴田さん

やっぱり、地域づくりっていう分野にずっと関わっていると、行き詰ったり疲れたりっていう時期があるじゃないですか?

森満
森満

あるあるですね。笑

鶴田さん
鶴田さん

自分の人生においても、上がったり下がったりっていうがある中で、今、ずっとやりたかった『社会教育』に関わる仕事ができるようになった。

今、上向きの状況だからこそ、インプットの時期だなと思っていて、2020-21年と研修を受けまくっているんですよ。

森満
森満

ちょっと疑問に思ったのですが、『社会教育』っていう鶴田さんの専門性を活かせる分野なのに、なぜ今、あえてインプットをしてるのかなって思っちゃって。

既に、知識は持ち合わせているのでは?

鶴田さん
鶴田さん

『学びが足りない』っていう想いがあるんです。

だって、自分が社会教育について学んでいたのって、20年前ですよ?

社会の移り変わりとともに、ノウハウもどんどん変わっていくわけで。

上木
上木

なるほど!

当然、社会が変わっていくわけだから、20年前と今では、確実に変わってますもんね。

鶴田さん
鶴田さん

そうそう。

特に、僕は『社会教育主事』っていう資格を持っているわけで。

つまり、社会教育に関して『指導』とか『助言』を求められる立場なんです。

上木
上木

なるほど。

鶴田さん
鶴田さん

ただ、僕は今の社会教育に対して、指導や助言ができるほどの知識を持っていない

『これは経験を上積みしていくしかないぞ…‼』と思って、インプットを厚めにやっていますね。

森満
森満

なるほど…‼

その姿勢が素晴らしいですよね!

(僕には到底マネできない…)

鹿児島県庁への出向

上木
上木

また少し話は変わりますが、今まで様々な部署を経験してきていると思います。

どこの部署が一番楽しかったですか?

鶴田さん
鶴田さん

観光の部署が印象深いですね。

指宿市役所の観光課もですけど、鹿児島県庁の観光課に出向してたこともあって。

森満
森満

鹿児島県庁の観光課って、かなり大変そうなイメージ。。

夜遅くまで明りが灯っていることで有名な鹿児島県庁。
鶴田さん
鶴田さん

大変でしたね。笑

ただ、楽しさもあって。

1年間しか在籍してませんが、終わってみれば”あっという間”でした。

上木
上木

具体的にはどんな仕事を?

鶴田さん
鶴田さん

ちょうど九州新幹線が全線開通する年だったんですよ。

だから、どんどん県外に行って、鹿児島への誘客キャンペーンをしたり。

上木
上木

イケイケの時代ですね。笑

誘客キャンペーンの様子
鶴田さん
鶴田さん

そうです。笑

あと、『龍馬伝』っていう大河ドラマの年で、ロケの支援をしたりしてました。

高千穂に機材を背負って登ったり。

上木
上木

すごい。笑

ほんとに色々な経験をされてるんですね。

鶴田さん
鶴田さん

あと、県庁時代はオンオフの切り替えがはっきりしてましたね。

県庁内でのサークル活動とかも結構充実していて。

上木
上木

へぇ!

鶴田さん
鶴田さん

自分は県庁の人たちに混じって、錦江湾横断遠泳にチャレンジしたりもしてました。笑

森満
森満

すご!笑

外に出たからこそ気づけたこと

鶴田さん
鶴田さん

即戦力で出向したというよりは、ペーペーの見習い的な感じでの出向だったので、『仕事で業績を残しました!』みたいなものは無いんですが…。

ただ、県庁から指宿市役所に戻り、気づいたこともたくさんあって。

上木
上木

というと?

鶴田さん
鶴田さん

鹿児島県庁で働くという、一度指宿から出る経験をしたことで、逆に指宿のことが良く分かったというか。

他の自治体はこんなに頑張ってるけど、指宿はまだここやれてないよねみたいな。

上木
上木

なるほど…‼

鶴田さん
鶴田さん

『もっとこうすれば良くなるのに!』みたいなことが、色々と見えるようになった。

この感覚は、自分にとってすごく大きかったですね。

上木
上木

おもしろい話。

鶴田さん
鶴田さん

県庁の観光課で働いた後、指宿市の観光課に戻ったんですよ。

指宿の観光課の職員たちは、あくせくしながら色んなイベントに出掛けて、すごく頑張ってるんです。

ただ、そもそも指宿の魅力が鹿児島県庁や県内の自治体に届いてないっていう感覚が、県庁で働いてる間、ずっとあって

森満
森満

うんうん。

鶴田さん
鶴田さん

それって、普段の情報発信が足りてないからだよなって。

だから、『指宿に帰ったら頑張って情報発信をするぞ!』って、県庁で働きながら思ってましたね。

上木
上木

なるほどなぁ。

鶴田さん
鶴田さん

当時はFacebookが出始めの頃だったんですけど、指宿市観光課のページをFacebookで作って情報発信をしてみたり、メルマガを更新してみたり。

ガイドブックをリニューアルするためのチームをつくって、刷新してみたり。

上木
上木

すごいですね…‼

森満
森満

他に、指宿市役所観光課時代の業務で、印象深い思い出がありますか?

鶴田さん
鶴田さん

観光課で2年目の時に、観光戦略ビジョンっていうものをつくるタイミングになったんです。

市の職員だけで策定するのではなくて、民間の頑張ってる方々、特に女性を中心にメンバーに入ってもらって

あーでもないこーでもないと、みんなで議論しながら、観光戦略ビジョンを作り上げていくっていう仕事は、終わった時にかなり達成感がありました。

上木
上木

観光戦略ビジョンを民間の方々と一緒に作り上げていくっていう部分も、県の出向がきっかけになってます?

鶴田さん
鶴田さん

ですね。

県庁で働いたことで色々な方と繋がることができましたし、仕事の手法自体も県庁でかなり学ばせてもらったので。

上木
上木

なるほどなぁ。

そういう話を聴くと、人事交流することってかなり大切だよなぁって感じますね。

鶴田さん
鶴田さん

うんうん。

チャレンジし続けるすごさ

森満
森満

短期間でもいいから、色んな自治体と人事交流したいなって、最近すごく感じるんですよ。

まるっとコピペできることが、地方自治体の強みじゃないですか。

上木
上木

そうだね。

森満
森満

鹿児島市のノウハウが指宿市で役に立つかもしれない。

逆に指宿市の働き方を知ることで鹿児島市として気づかされることがあるかもしれない。

お互いにノウハウを交換して、コピペできれば、みんなで前に進めるのになぁって。

鶴田さん
鶴田さん

うんうん。

森満
森満

まぁ、人事交流の制度が出来るまでジッと待っていても仕方ないので、僕らレベルでどんどん情報交換していきましょうね!笑

鶴田さん
鶴田さん

そうですね。

というか、こんな話で記事になりますかね…?

上木
上木

なるなる!

鶴田さんの人間臭い部分がチラチラ見えたことに、僕らは価値を感じているので。

森満
森満

鶴田さんが20年間色んな仕事を経験して、色んなチャレンジをし続けた上で、ずっとやりたかった社会教育の仕事にチャレンジしている。

こんなドラマ、ないじゃないですか!

鶴田さん
鶴田さん

なるほど…笑

上木
上木

よく市のHPであがってる「職員がこんな素晴らしい仕事をしてます!」みたいな、きれいなやつじゃなくて。

日々こんなことで悩んでて、苦しんでますみたいな、生生しいやつを出していきたいんですよ。

そっちの方が、人間味があって面白いじゃないですか。笑

鶴田さん
鶴田さん

笑笑

森満
森満

鶴田さんが悩みながらチャレンジしてる姿に共感する人、頑張ろうって思える人が絶対いるので。

だから、またお話聴かせてください!

悩んでる系のやつ多めで。笑

ということで、今日はありがとうございました!

鶴田さん
鶴田さん

こちらこそ!

ありがとうございました!

まとめー後編ー

一度指宿から出る経験をしたことで、逆に指宿のことが良く分かった

ずっと指宿市役所で働いていた鶴田さんが、1年間鹿児島県庁に出向したことで得たものの大きさを感じたインタビューでした。

鶴田さんの何がすごいって、外に出て自分の居た場所を客観視することで、気づくだけじゃなく、気づいた部分を改善しようと行動したところ

「ここがダメ!そこもダメ!」っていう批判は誰でも出来るけど、じゃあどうすれば改善できるか、前に進められるかを考えて実行する

行動が伴ってるから、僕は鶴田さんのことを応援したくなるんですよね…‼

ということで後編では、今までとこれからの働き方について、お話を伺いました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ではまた次回、お会いしましょう!

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