【後編】鹿児島市で公民連携をやらせるなら、この人以外考えられない【泊和哉|鹿児島市役所魚類市場】

公務員図鑑

最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』

今回のゲストは、鹿児島市役所の魚類市場で働く泊和哉さんです。

この記事は6分で読めます^^

後編では、公務員と民間企業の違いや、公務員としてやりたいことについて、お話を伺いました。

<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

公務員としての顔

職員提案で最優秀賞を獲得した話

森満
森満

先日、市役所内の掲示板を見ていたら、職員提案の表彰式の様子が掲載されてて。

そこで最優秀賞を取ってましたよね?

泊さん
泊さん

そうそう。笑

職員提案制度とは

毎年、鹿児島市役所の職員を対象に、業務改善や新規事業につながる企画を募集し、表彰する制度。

課題に対する解決策を提案する部門、自由テーマで提案する部門等、いくつか応募のジャンルが存在する。

優秀賞を取れば、関係課へ企画を実現するために協議する場が設けられる。

公式HP:鹿児島市職員提案制度

森満
森満

ざっくり、どんな内容の提案をしたんですか?

泊さん
泊さん

一言でいうと、日本ガス時代にやった断熱リノベの学校版

実験的に一部の教室を断熱改修&効果検証し、うまくいったら他の学校にも水平展開しましょうっていう内容でした。

生徒たちに愛着を持ってもらうために、改修作業の一部は児童・保護者にもワークショップに参加してもらおうっていう話にしたんだよね。

森満
森満

めっちゃ良いし、やりたい!笑

職員提案の存在って、もともと知ってました?

泊さん
泊さん

先輩職員から、「何か出してみたら?」って職員提案の存在を紹介してもらったのがきっかけだったかな。

森満
森満

提案に込めた思いを伺ってもいいですか?

泊さん
泊さん

今の学校教室って、夏も冬もエアコンが入るっていう話を子どもから聞いたんだよね。

無断熱の普通教室だと、光熱費も相当な額になるはずだよなぁと。

森満
森満

たしかに。

泊さん
泊さん

それが何十年って市の財政負担になるわけでしょ?

として「ゼロカーボンシティ」を掲げるなら、そりゃ断熱するしかないでしょ!と思って。笑

森満
森満

最優秀賞って相当すごいと思ってて。

だって、全鹿児島市役所職員6000名の中で、最も優れた提案を出したわけですよ⁉

最優秀賞を受賞した企画って、実現されるものなんですか?

泊さん
泊さん

提案した内容の関係部署の職員さんが、2-3回打ち合わせに来てくれたよ。

結果的に、今回の僕の提案を丸々実現するのは難しいという話になったんだけど、ワークショップの部分だけはなんとか取り入れられないかって話をしていて。

森満
森満

なるほど。。

実現させるためには、現実的にどんな一歩から踏み出せばいいですかね?

泊さん
泊さん

既に仙台とか岡山で、学校の断熱改修工事にワークショップを組み込む形式でやってたりするから、他の自治体がどんな手法で実現させてるのか、情報を仕入れることが一歩目なのかも。

仙台市の公募型提案審査募集要項(令和2年度)はこちら☟
森満
森満

泊さんが提案したようなことを既に実現してる自治体が、全国的にあるわけですもんね。

というか、最優秀賞取った提案でさえ、なかなか実現させるのって難しいんですね。。

泊さん
泊さん

まぁでも学んだことも多くて。

鹿児島市の学校の改修計画について、自分のリサーチ不足だったなぁって。

勝手な想いや勢いだけで企画書作って、他人の課の仕事を増やしたらダメだなと思った。笑

森満
森満

いやー、、

でもそうなってくると、職員提案の枠組み自体に無理があるんじゃないですかね。。

泊さん
泊さん

思ったのは、自由提案じゃなくて、課題が設定されてる提案の出し方もあるじゃない?

『うちの課、こういうことに困ってるんですけど、何か良い解決策ありませんか?』っていう課題に対して企画で応えるやつ。

この方式で提案が盛り上がると、アイデアの縦割りが無くなっていいかも、と。

森満
森満

なるほど。

泊さん
泊さん

もっというと、職員だけが企画書作るんじゃなくて、外部に向けても提案をもらったら面白いかもね。

良い提案をもらえた企業と組んで課題を解決していくみたいな、そんな公民連携ができたらいいなって。

全然関係ないけど、インタビュー時に泊さんが食べてたちゃんぽんが美味しそうすぎた

民間と公務員の違い

森満
森満

それめっちゃ良いですね‼

公民連携の話が出ましたけど、日本ガスから転職で鹿児島市役所に入ったということで、民間と公務員のどっちも経験してるわけじゃないですか。

公務員になってみて、民間との違いを感じますか?

泊さん
泊さん

うーん…まだ1箇所目の部署なので、公務員がどうって断言できないけど。。

強いて言うなら、意思決定ルートがはっきりしてて、分かりやすいなと思った。

森満
森満

意思決定ルート?

泊さん
泊さん

起案して、係長→課長に決裁をもらうって、意思決定ルートがかなり明確じゃない?

説明のための起案文書を作るまでは時間がかかるけど、そのルートにさえのせてしまえば、意思決定がなされる

庁内の利害関係者や決定権者がはっきりしてるので、誰にどう話をすれば良いかが明確で、進めやすいなぁと。

森満
森満

おもしろい!

その感覚は持ち合わせていなかったです!

泊さん
泊さん

上司になったらまた捉え方が変わるんだろうと思うけど、ぺーぺーの平社員レベルだと、すごく分かりやすい仕組みだなって。

担当者が熱いということ

泊さん
泊さん

あとは、担当者が一番熱くないといけないなって感じるなぁ。

森満
森満

そう感じるに至った経緯を教えてもらえますか?

泊さん
泊さん

役所って定型業務が多いイメージだったけど、実際には日々起きる問題に対して、判断を迫られるケースも多々ある。

やっぱり現場を一番知っているのは各担当者だから、担当が調べたり感じたことから、自分なりの”考え”を上司に伝えた上で判断を仰がないとなって。

森満
森満

現場で対応する職員が、肌感覚で理解してること多いですもんね。

泊さん
泊さん

とはいえ、自分は公務員としての経験がまだまだ浅いので、その”考え”を上手くまとめきれないことの方が多い。

だから、冷静に判断材料を整理してから、上司や同僚に相談することも多いよね。

そういう相談は気軽に乗ってもらえるので、すごく勉強になってるよ。

いち個人としての顔

大学時代の話

森満
森満

少し話は変わりますが、大学時代の話を少し伺いたくて。

鹿児島大学の建築学科卒だったとの話を聞きましたが、どんな建築学生だったんですか?

泊さん
泊さん

とにかく設計の授業が憂鬱でたまらなかったね。笑

森満
森満

全く一緒です。笑

泊さん
泊さん

でも、そのころから一貫してることがあって。

卒業設計では緑ヶ丘エリアの再生をテーマにしたんだけど、その時期から団地再生のテーマに興味があったのよ。

森満
森満

15年前の時点でですよね?

めっちゃ先見の明ありますね。。

今となっては『団地再生』が全国的にめっちゃ叫ばれてますもんね。

課題設定と企画

泊さん
泊さん

ね。笑

卒業設計の評価はボロボロで落ち込んだけど、テーマ設定自体は間違ってなかったんじゃないかって、かなり都合よく解釈してる。笑

森満
森満

具体的な設計とか工事より、取っ掛かりの課題設定とか企画部分が得意なんでしょうね。

僕も設計とか全然できなかったなぁ。

泊さん
泊さん

いや、でも今はWEBメディアを立ち上げてライターやってるわけでしょ?

建築学科の学生ってさ、図面を書く時間よりも企画考えたりプレゼンのポスター作ったりスライド考えたり、設計以外に使う時間の方が多くなかった?

そういう部分がメディア運営にも活きてるんじゃない?

森満
森満

たしかに!

泊さん
泊さん

僕もコンペに出す時とか、設計は設計が得意な友達に任せて、企画とかレイアウト考えたりする方を担当して作ってたよ。笑

公務員としてやりたいこと

森満
森満

なるほど。

課題設定とか企画力を存分に活かせるポジションで泊さんが活躍出来たら、鹿児島市にとってめっちゃメリットだと思うなぁ。

泊さん
泊さん

退職するまでに一回ぐらいは、公民連携とか攻める系の部署で仕事してみたいよね。

森満
森満

今、泊さんの中で一番やりたいことができる部署はどこですか?

都市計画課で団地再生の担当をするとか?

泊さん
泊さん

あー、でも、ハード面じゃなくても良いかなと思ってて。

先日オンラインセミナーを受けてたら、公民連携でがん検診の受診率を上げましょうっていう取り組みがあってさ。

森満
森満

公民連携で受診率を上げるんですか?

泊さん
泊さん

そうそう。

受診率を上げるために、民間と行政が組んで、受診率が上がった割合に応じて、民間への委託料を変動させますよーっていう取り組みを聞いたんだよね。

森満
森満

なるほど。

泊さん
泊さん

成果連動方式って言ってたかな。

そういう分野でも公民連携の可能性があるって知ってからは、建築系だけへのこだわりは薄れたかも。

誰よりも早くチャレンジしたい

森満
森満

他の自治体でやってないようなことにチャレンジしたい感じですよね?

泊さん
泊さん

そうそう!

どこの自治体でも取り組んでいないようなことこそ、一番乗りでチャレンジしたい。

森満
森満

『一番をとってやろう!』っていうマインドが、泊さんの最大の長所だと思います。

上から目線でごめんなさい。笑

泊さん
泊さん

いやいや、ありがとう。笑

企画をして何か新しいことをやろうっていうのは、昔からずっと好きだからね。

日本ガス時代も、ガスだけじゃなくて、どんどん新しいことをしようっていう風土が社員に浸透しててさ。

会社全体としてすごく良い雰囲気だったんだよね。

森満
森満

危機感の先にクリエイティブがあるという部分は、色々な自治体を見てて、僕も感じる部分なので共感します。

危機感が高い自治体ほど、先進的なチャレンジをしてるイメージといいますか。

泊さん
泊さん

それはあるかも。

森満
森満

そもそも、今、配属先が魚類市場じゃないですか。

採用面接の時、どんな仕事をやりたいか聞かれました?

泊さん
泊さん

聞かれた聞かれた!

『建築とか団地再生とか公民連携をやりたいです!』って伝えたよね。

森満
森満

でしょうね!笑

鹿児島市役所の中で、泊さん以上に公民連携できる人、絶対居ないと思ってて。

下鶴市長はマニフェストでも公民連携を進めていくっておっしゃってたから、今後に期待!

家族と仕事のバランス感覚

森満
森満

最後に家族の話を聞かせてください。

現在4人家族で小学生のお子さんが2人いらっしゃるとのことで。

日本ガス時代はタスクフォース、市役所でも職員提案と、仕事をバリバリやってる印象なんですけど、家族との時間ってちゃんと確保できてます?

泊さん
泊さん

僕は無趣味な人間で。

仕事が楽しくないと、すべてがつまらなく感じてしまうタイプだったから、どうやって楽しく仕事をするかばかり考えてたんだよね。

森満
森満

なるほど。

泊さん
泊さん

でも、コロナ禍で家族と過ごす時間が圧倒的に増えて、ふと思たんだよ。

家族で一緒に居ることって、今しかできないことだなって。

森満
森満

間違いないです。

泊さん
泊さん

だから、休日は仕事せずに、家族と過ごすようにしてるよ。

森満
森満

僕も全く同じタイミングで家族と過ごす時間の尊さに気付けたので、すごく気持ちがわかります。

ということで、二日間にわたるインタビューをありがとうございました!

サバ天定食も美味しかったです!笑

激うまのサバ天定食@新港食堂
泊さん
泊さん

アジフライ定食、サバ天定食、ちゃんぽんがおすすめです。笑

こちらこそ、ありがとうございました!!

まとめー後編ー

どこの自治体でも取り組んでいないようなことにこそ、一番乗りでチャレンジしたい

僕が泊さんを好きな理由が、この言葉に詰まっています。

ここまでのモチベーションを持って働いてる公務員が、鹿児島市の中にどれだけいるのかって思うわけですよ。

是非、公民連携が絡むような攻める部署で、泊さんを思う存分暴れさせてほしい。

せっかくリノベーションオブザイヤーの仕掛け人が組織内にいるわけだから。

「先輩面させてよ」って言っておごってくれた背中が、かっこよかったです。

ということで、最後まで読んでいただきありがとうございました!

では、また次回お会いしましょう!

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