“移住”という人生の大きな決断をして、鹿児島に住む人たちが、日々どんな思いで暮らしているかを深堀りします。
今回のゲストは、鹿児島市市役所で移住コーディネーターとして働く吉田茉莉子(まりこ)さんです。
第1話では、桜島に移住したきっかけについて、お話を伺います。
吉田さんの姿をとおして鹿児島に移住した方の思いを、少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。
<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase編集者)、森満 誠也(KagoshimaBase取材者)>
吉田茉莉子さんのプロフィール
東京で中学校の教員として働いている中、桜島と出会い、魅了される。
その後、10年間働いた教員を辞め、2019年に桜島へ移住。
現在は鹿児島市移住コーディネーターとして勤務するほか、桜島ジオサルクのガイドとして桜島を訪れる人たちに桜島の魅力を伝えるなど、桜島が大好きな火山女子”マリコカザン”としても活躍中。
噴火が見れちゃったんですよ!!
今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いしますー!
まりこさんには聞きたいことがありすぎて、どれから聴こうかなっていう感じなんですが…
全部聴こうとするとたくさんありすぎるので、今日はいくつか絞っていこうかなと思ってます。笑
分かりました。笑
もともと、出身は東京でしたっけ?
そうです。
東京生まれ、東京育ち。
東京では理科の先生をしていたんですよね?
そうそう。
中学校の理科の先生でしたね。
何きっかけで、桜島に惹かれたんですか?
理科の教員だったので、中学1年生で火山の授業をやるんですね。
夏休みの宿題で「111の火山が教科書載っているから、好きなのを調べておいで!」って、子どもたちに画用紙を1枚ずつ渡したんですけど、私も子どもたちと同じように画用紙にまとめて「私も調べに行ってきたよ!」って言おうと思ってて。
良い先生。
「じゃあ、どこの火山を調べよう?」って考えた時に、富士山は標高が高いし、北海道は行ったことあるし。。
でも、鹿児島は行ったことないから『桜島にしよう!』って。
というかそもそも『桜島って鹿児島県にあるんだ!』ってところからでした。笑
笑笑
それって、いつぐらいの話ですか?
2015年ぐらいかなぁ。
当時、実際に桜島を見てみて、いかがでした?
めっちゃ感動して!
私、ちゃんと火山について勉強するつもりで来たので、昼は桜島ミュージアムのツアーで島を1周して、夜は『桜島が実際に噴火するところを見に行こう!』っていうツアーに参加して。
そしたら、その頃は桜島がバンバン噴火してる頃で、噴火が見れちゃったんですよ!!
たぶんそこが、私の運命の分かれ道です!笑
そこで、噴火しなかったら。
今、鹿児島でこうやって話聴けてないかもしれないですよね。笑
桜島こんなに大きいし、問題なくない!?
じゃあ、マリコさんはもともと専門が地理や火山っていうわけじゃなかったんですか?
じゃないんですよ。
私ね、専門は化学で、むしろ地学分かんないんです。笑
そうなんですか⁉笑
そうなんです。
「桜島、なんで好きなの?」って聞かれたら『カッコイイから!!』っていう、ミーハーな感じなんです。笑
すごい!
マリコさんの魅力は『カッコイイから好きになった』で、人生を方向転換しちゃうところですよね!!
教師っていう安定した職を辞めて、好きになった桜島に移住するって、ハンパないですよね…笑
教員として10年ぐらい働いてたんですけど、中学校の先生ってすごく忙しくて。
教員として働いてた頃は、この生活をあと30年続けるのは無理だなと感じてたんです。
マリコさんの人生において、絶妙なタイミングで桜島が入ってきたんですね。
そうですね。
でも、人生の中に火山が入りこんでくるって、よく考えたらすごいですよね。
美味しいもの食べて『料理人目指す!』とかはあるかもしれないけど、その感じで『火山』が入ってきてるんだもんね。笑
桜島を見て、すぐに移住してきたわけじゃないんですよ。笑
それから何回も通ったんです、桜島に。
学校で生徒たちに嫌なことを言われた時とかも、『次の休みで桜島行く!』って考えるようにしてて。
なるほど。
なんかね、辛い時でも火山を見てたら、『桜島はこんなに大きいし、私の悩みなんて問題なくない⁉』って思えてきて。
桜島の懐、深いなぁ。
マリコカザン
マリコさんって、すべての火山を推してるわけではないんですよね?
火山の中でも特に桜島を推してるんですけど、火山自体も好きなので、火山女子として生きていこうと思ってます。
インスタも『マリコカザン』でやってますもんね。
僕、最初に『マリコカザン』って聞いたときに、すごい名前見つけたなと思いましたもん。
『マリコカザン』っていう名前、最初から狙ってたわけではないんですよ。笑
私、写真を撮ることが好きだったので、インスタにおしゃれな写真載せてたんです。
そこにいきなり火山が入ってきたからすごく違和感があって。
うんうん。
友達には、私があまりにも桜島の話ばかりするから「マツコの知らない世界に出なよー!」って言われてて。
『マツコの知らない世界に出るためには、まずは自分のことを見つけてもらわないといけないよな』って思ったんです。
その時、インスタのアカウント名を『ボルケーノガールまりこ』とかにすればよかったんだけど、まりこの火山アカウントだから『マリコカザン』ってつけちゃったんですよ。笑
マツコの知らない世界に出るための準備が、マリコカザンのルーツだったわけですね。。笑
東京で働いてる時から『マリコカザン』って名乗って、桜島の写真をインスタに上げまくってたら、鹿児島の人とつながり始めて。
実際に鹿児島へ来て自己紹介したら、「知ってるよ!マリコカザンでしょ⁉」って言ってもらえて。
これは今後も『マリコカザン』って名乗っていこうって思ったの。笑
おもしろいなぁ。
火山って名乗るって僕、書道家ぐらいしか思いつかんもんね。
普通の女性が火山て名乗るとか、最高すぎるよね。笑
鹿児島に住んでない女性が桜島の写真をインスタにバンバン上げてほめてくれたら、そりゃ鹿児島人はフォローしにいくもん。笑
笑笑
実は今、移住コーディネーター以外にもオンラインで家庭教師をしてるんですけど、業務委託契約でやってるんです。
最近、開業届を出したんですけど、屋号を『マリコカザン』にしました。笑
その名前、絶対手放したらダメですよ。
手放したらすぐに僕がもらいますから。笑
『ウエキカザン』にします。笑
小心者
話を少し戻しますね。笑
マリコさんは、最初に桜島に来たのは2015年だったとおっしゃっていましたが、実際に移住して来たのはいつでしたっけ?
2019年の4月に移住しました。
最初に桜島に訪れてから、結構間が空くんですね!
そうですね。
2015年に初めて来て、それから桜島に通いだして、友達にも『桜島ってこんなに素晴らしいんだよ!』ってあちこちで言うようになって。
でも正直、老後だと思ってました、移住するのは。
なるほど。
まさか、自分が先生を辞めて『移住する』とは思ってなかった。
教員生活8~9年目ぐらいで、働き方に対して色んな疑問が湧いてきた時に、私、小心者だったので、最初は東京で就活したんです。
生まれ育った東京を離れるのも怖かったし、小心者だから、鹿児島以外の地方も見てたんです。
鹿児島以外の選択肢もあったんですか⁉
なんか、鹿児島は観光で来てたから、私にとって100%楽しい場所だったんですよ。
絶対に楽しい場所である鹿児島を、生活の場所にするのが怖くて。
辛いことやしんどいことがあった時に、癒しや逃げ場になってくれる場所だったわけですもんね。
そうそう。
鹿児島には良い思い出しかないから、実際に住んでしまった後、桜島ですごい苦しい思いをして、嫌いになっちゃったらイヤだなと思って。
でも、最終的には『うまくいかなければ東京に帰ってくればいいじゃん!』と思えたので、移住しました。
今、すごく面白かったのが『小心者』だっていうところね。
今のマリコさんの話を聴かなければ、絶対に小心者だって思わないもん。笑
桜島は思ってた以上に良い場所だった
でも、逆に小心者だから移住できたのかなとは思った。
『仕事辞めてすぐに鹿児島へ!』って感じではなかったの。
それはやっぱり怖かったから。
うんうん。
それこそ、先生を辞めて鹿児島以外の場所で働けばリフレッシュに桜島に来れるけど、桜島に住んで『思ってたのと違う!』ってなったら、『私のリフレッシュ場所が無くなる!』って思って。
好きな場所に住むって、その怖さはありますよね。
実際に桜島に住んでみて、桜島での生活はいかがですか?
思ってた通りでした。
いや、思ってた以上に良かった。
それはなぜでしょう?
桜島の人が素晴らしい!
だって私、こんなに東京に知り合いいないもん。笑
幸いなことに、私のことを面白がってくれて、仲良くなってくれる人が多いから。
マリコさんの今までの人生って、パッと話聞いただけだったら、鹿児島の人からしたらクレイジーとしか思えないですもん。笑
笑笑
というか、僕ら鹿児島人の圧倒的なシンボルである桜島を、東京出身の人がこれだけ褒めてくれたら、そりゃあみんな好きになりますよ。笑
他のインタビューでマリコさんが『(桜島の灰に)降られたい。ドカ灰(どかば)りたい』って言ってたのを聞いたときは衝撃すぎて。
なんていう人がいるんだって思いましたもん。笑
笑
でも、ただただクレイジーなわけではないっていうのが分かって安心しました。
少し残念でもあります。笑
そうそう。
私、全然クレイジーではないのよ!
まとめー前編ー
逆に小心者だから移住できたのかなと思った
人生の大きな舵を切る『移住』
不安を感じずに踏み切れる人はほとんどいないと思います。
それでも桜島へ移住した「まりこさん」
「マリコカザン」として見せるぶっ飛んだ姿とは真逆の「まりこさん」の人間らしい姿に、とても魅力を感じました。
まりこさんとしゃべっていると、「自分に正直に生きる」ことの大切さをすごく感じます。
「自分に正直に生きること」
それって、何よりも大切なことだと思いました。
第2話では、移住コーディネーターとして姿を中心に、お話を伺います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ではまた次回、お会いしましょう!
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