最前線で働く公務員が、日々どんな思いで働いているのかを深堀る『公務員図鑑』
今回のゲストは、鹿児島市役所で化学技師として働く有村太一さんです。
後編では、環境に興味を持ったきっかけや、家族とのお話について、お話を伺いました。
<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
いち個人としての顔
地元で働く手段として公務員になった
そもそも、なぜ公務員を目指したんですか?
勝手なイメージなんですけど、理学部で化学専攻だと、公務員になろう!って思わなさそうだなぁと。
大学で鹿児島を離れたんだけど、やっぱり鹿児島で働きたいっていう想いが強かったんですよね。
理学部から鹿児島に就職しようと思うと、そもそも就職先の選択肢が少なくて。
なるほど。
地元で働くということを第一に考えた時に、鹿児島で働くなら公務員かなという気持ちが強くなりましたね。
周りの同じ研究室の仲間は、どこへ就職することが多かったです?
僕が大学生の当時は、『薬剤師を目指してたけどハードルが高くて理学部に入った』みたいな人が結構いたんですよ。
自分もそうだったんですけど。笑
なので、製薬会社に就職する人が多かったかも。
なるほど!
今振り返ると、理学部から公務員になる選択はレアケースだったのかもね。笑
それでも、僕の中では鹿児島に帰ってきたいという想いが強かったんですよ。
僕の考え方を変えてくれた人
先日、有村さんのFacebook投稿をさかのぼって見てたんですけど、結構色々なイベントに参加したり、ゼロカーボンについて発信してますよね?
公務員になった当初から、モチベーション高く働いてたんですか?
いやっ!
NPO法人くすの木自然館の浜本麦さんとの出会いが、自分の考え方を変えてくれましたね。
考え方が変わった理由を伺っても?
数年前、姶良市に家を建てた僕は、当時環境保全課に所属していて。
海岸の清掃とかに興味があったんですけど、なかなか踏み出せずにいたんです。
そこの一歩を踏み出すのって、結構な勇気が必要ですよね。
そんな中、くすの木自然館が主催でTOYOTAとタッグを組んで『アクアソーシャルフェス』っていうイベントを実施していたので、参加してみたんです。
子供達と一緒にバードウォッチングと水辺の清掃をするイベントで。
当時の様子を記事で見たんですけど、めちゃくちゃ楽しそうなイベントでした!
意識が変わった瞬間
ところで森満さん、クロツラヘラサギって知ってます?
いやっ、、残念ながら。。笑
麦さんに聞いたら詳しく解説してくれると思いますけど、冬になったら重富海岸や霧島のあたりにも飛んでくる、貴重な渡り鳥なんです。
この話に加えて、色々な話を麦さんから聴いて、重富海岸が国立公園だってこと自体、あまり意識したことがなかった僕からすると、身近なことでも知らないことがたくさんあるんだなって、ハッとしたんですよ。
なるほどなぁ。
その時に、僕が環境保全課でやってることは、クロツラヘラサギみたいな絶滅危惧種や、重富海岸の干潟の生態系を守るということに繋がってるんだなって気づいたんですよね。
かなり芯をくってる話で、めちゃくちゃ面白いです。
目の前の業務にどうしても追われてしまうけど、その先に繋がってる部分を意識できるようになると、純粋にモチベーション上がりますよね。
そうそう。
そこから麦さんとの関係性の中で、だんだんと自分自身がポジティブに変わっていった実感があって。
それで、イベントに参加したり、発信することが多くなったのかも。
めちゃくちゃわかります。
公務員になる前から意識高かった人だけが、市役所に入ってからもモチベーション高く働いてるわけじゃないですからね。
そうなんだよね。
だから、モヤモヤしながら働いてる公務員の人たちに、僕が味わったような感覚を経験してほしいなぁとも思うんですけど、人に伝えるのってなかなか難しいよね。笑
でも、このインタビューを読んでくれる方で、共感してくれる方も多いと思いますよ!
僕自身もすごく元気をもらえてますし!
ありがとう。笑
でもさ、公務員フェスをやってる子たちを見てると、本当にすごいなぁと思うよ。
いやもうマジで半端ないですよね。
どういう思考で育ったらそんな風に考えられるようになったんだろうって、不思議でならない。。笑
わかる。
親の目線が入ってくるよね。笑
ですです。
もがいてる人にこそ、「十分頑張ってるよ!」って伝えたくて。
潰れないようにケアしないとなぁとか思っちゃうあたり、歳とったなぁって感じますね。笑
ドローダウンと家庭菜園
先日、『ドローダウン』っていう地球温暖化の解決するための実効策が書いてある分厚い辞書みたいな本を読んだんです。
これを読むと、結局昔からあるような、「生ごみをたい肥化しましょう」とか、「家庭菜園しましょう」とか、僕らが市民レベルで出来ることって、こういう所なのかなぁって感じて。
なるほど。
本には、地球温暖化を逆転させる100の方法が書いてあるんですけど、国レベルでやるべきことから、個人でやれることまであって。
「今さら家庭菜園?」って思う人もいると思うんですけど、家庭菜園と環境の繋がりって結構大切なポイントなのかもと思っていて。
細々とですけど、我が家でも家庭菜園を始めてみました。笑
わかります!
僕も昨年から細々と家の前で始めたんですけど、ハマるとかなり楽しいですよね!
子ども達も「水あげたい!」って張り切って手伝うようになったり。
子どもたちと一緒に、植物の成長を共有できるのも良いし、育ててみると案外面白いですよね。
実は環境政策課としても、プランターで『おかわかめ』を育て始めたんですよ。
おお!
まだ育て始めたばかりなんですけど、成長過程も含めて発信していけたらと思ってます。
上手くいくかどうか、分からないんですけどね。笑
めちゃくちゃ良いじゃないですか!
おかわかめって、食べられるやつですよね?
茹でて食べたら、わかめみたいな食感で美味しかったよ。笑
パパとしての顔
コロナ禍で産まれた3人目の子
今まで仕事の話を中心に聴いてきましたけど、ここからはパパとしての一面をお伺いしたくて。
お仕事が忙しそうですけど、家族との時間は確保できてますか?
いやー、、
子どもたちの世話は、妻と妻のお父さんに頼りっぱなしで。。
ほぼ毎日、子どもたちの相手をしに来てくれて、本当に助かってます。
それはありがたいですね。
近くに住んでるんですか?
いや、うちが姶良で、妻のお父さんが伊集院だから、全然近くはないのよ。
おお!
結構遠いですね。笑
おかげで仕事が忙しい時に残業出来てるというか。。
まぁ残業が出来ることは良いことなのかっていう部分は、一回置いておいて。。
実は、今年の2月に3人目の子どもが産まれたばかりなんですよ。
…‼‼
おめでとうございます!!
上の子どもたちは何歳でしたっけ?
ありがとうございます。
12歳、8歳、0歳っていう家族構成ですね。
久しぶりの赤ちゃんなんですね!
赤ちゃんを抱っこする感覚とか、めっちゃ懐かしいんじゃないですか?
すごく貴重な経験をさせてもらってるなと思いますね。
一番上の子は中学生になったばかりの女の子なんですけど、0歳のお世話をすごく手伝ってくれて、助けられてます。
うわー!すばらしい!!
年が離れてるから、より一層可愛く感じるのかもですね!
でも今年の2月に産まれたってことは、コロナ禍で大変だったのでは?
ですね。
健診の時も一人しか病院に入れなかったり、立ち合いも出来ませんって言われたりでした。
そうなりますよね。。
ただ、出産の時期が、ちょうどコロナの制限の緩和されたタイミングで。
「出産の前後1時間は立ち会っても良いですよ」ってなったから、幸運にも出産に立ち会うことができたんです。
立ち会ってみて、いかがでした?
上2人の子の時もそうだったけど、改めて妻には感謝しかなかったなぁ。
やっぱり重富海岸がおすすめスポット
最後になりますが、子連れで楽しめるおすすめスポットを教えてください!
うーん、、
やっぱり、重富海岸かなぁ。
数回しか行ったことないですけど、重富海岸の干潟、最高ですよね…‼
うんうん。
8歳の息子なんて、重富海岸に行ったら、ずーっと生き物を探してるよ。笑
それって意図してなかったとしても、息子さんにとって最高の環境教育になってますよね!
僕も今度、また家族で行ってみます!
ということで、仕事の話から家族の話まで色々とお話しいただき、ありがとうございました!
こんなんで良かった?笑
こちらこそ、ありがとうございました!
まとめー後編ー
やりたいことがやれず、もやもやしてます。
数年前に珈琲を飲みながらお話をさせてもらった時、そう語っていた有村さん。
今回、改めてじっくりとお話をする中で、環境政策課でやりたいことを実現するために、前向きに取り組んでいる様子が、僕の目には眩しく映りました。
身近なことに対してもアンテナを張り、気づき、実行していく有村さんが、これからゼロカーボンシティに向けてどんな動きをしていくのか、楽しみであるとともに、追っていきたいなぁと思います。
ということで、最後まで読んでいただきありがとうございました!
では、また次回お会いしましょう!
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