【公務員の転職】0→1でチャレンジすることこそ行政の仕事【原元祐太|志布志市役所|第3話】

公務員図鑑

公務員を辞めて、民間企業で働き始めた人やフリーランスになった人。

民間企業を辞めて、公務員になった人。

やりたいこと、夢をかなえるために、新たな道へ踏み出した『元』公務員や『現』公務員に密着します。

この記事は7分で読めます^^

今回は、大学卒業とともに株式会社ニッスイへ就職し、4年間勤めた後に志布志市役所へJターンをした、原元祐太さんの後編です。

今回は、を中心に伺いました。

原元さんの姿をとおして、働き方で迷ってる人悩んでる人モヤモヤが、少しでも晴れてくれれば嬉しいです。

<聞き手=上木寿人(KagoshimaBase編集者)、森満 誠也(KagoshimaBase取材者)>

最初は警戒されてた

森満
森満

ここからは公務員としてのお話をがっつり聞かせてください。

ニッスイから志布志市役所へ転職し、最初はどこに配属されたんですか?

原元さん
原元さん

耕地林務水産課で水産の担当をしていました。

上木
上木

ニッスイから転職してきてるわけだから、そこがベストだと思います!

原元さん
原元さん

僕自身、ニッスイから縁もゆかりもない志布志市役所に入ってきてる人間だったので、最初は周りからすごく怪しまれてたと思います。

『こいつ何者や?』みたいな。笑

上木
上木

普通の人とは違う立ち位置だから、特に警戒されちゃうみたいなところありますよね。

原元さん
原元さん

ですね。

ずっと警戒されたまま、気がついたら1年があっという間に終わってました。笑

現場の仕事が楽しかった

森満
森満

ちなみにどんな仕事を?

原元さん
原元さん

漁業担当だったので、補助金の審査をしたりとか。

それから、漁協が岩牡蠣の養殖に取り組み始めたタイミングだったので、そこに関する仕事をしてましたね。

森満
森満

岩牡蠣の養殖?

原元さん
原元さん

当時、鹿児島県が『岩牡蠣を県の名産品にしたい』とプッシュしてるタイミングだったんですよ。

志布志は天然のハモがとれるんですけど漁獲量が減っていたので、別の軸になるものを考えようと岩牡蠣の養殖に着手したんです。

森満
森満

なるほど。

岩牡蠣の養殖に関する補助金を出すみたいな仕事ってこと?

原元さん
原元さん

ですね。

それ以外にも実際に漁協で牡蠣を磨いたり、カゴを移し替えたり。

現場での作業もたくさんしました。

森満
森満

そういう仕事って結構大変でしたか?

原元さん
原元さん

めっちゃ楽しかったですよ!

漁協の人もものすごく良い人ばかりで。

最初は「なんやこいつ?」みたいな感じでしたけど。笑

上木
上木

あーでも、地方に住んでると言葉が違う人のことをすごく警戒しますよね。

原元さんは鹿児島弁じゃないから、尚更警戒されやすかったのかも。

原元さん
原元さん

そうだと思います。

当時は志布志弁なんて一つも分からないし、東京に4年間住んでいたので標準語になってましたもん。

森満
森満

『こいつ何者だ?』って思われてる環境って、かなり難しくないですか?

話聞いてもらえなさそうですが..

何を言うかより誰が言うか

原元さん
原元さん

最初は聞いてもらえなかったですね。笑

自分としては『牡蠣の養殖ってこうやったらいいんじゃないか』って思うことも多々あったんですよ。

ニッスイで実際に商品を売る仕事をずっとやってたので。

森満
森満

そうですよね!

モノを売る部分に関しては、原元さんの強みがめっちゃ活かせそうなのに。。

原元さん
原元さん

でも、そこで話を聞いてもらえなかったことはすごく学びだったんです。

なんだろうな、、何を言われるかよりも、誰から言われるかがやっぱり大事というか。

森満
森満

というと?

原元さん
原元さん

どれだけ知識やノウハウがあったとしても、まず人と人との信頼関係から始めないといけないなって。

だから、まずは自分という人間を認知してもらう

そのためにも漁協に行って、一緒に作業してっていうところを大事にしてました。

上木
上木

そういう積み重ねがめちゃくちゃ大事ですよね。

でもそこに気付けない人、かなり多いと思います。

ニッスイでの営業経験が公務員の仕事にも活きた

原元さん
原元さん

そこは、ニッスイの営業時代に身につけた力なのかも。

森満
森満

というと?

原元さん
原元さん

営業の最初の頃って、ニッスイという会社がある程度認知されていますし、僕の前任者のこともお客さんは知ってるから、一応話は聞いてくれるんですよ。

でも『お前のことは知らん。お前は誰や?』っていう。

森満
森満

なるほど!

原元さん
原元さん

『ニッスイは知ってるけどお前のことは知らん』っていう感じですよね。

なので、最初は話を全く聞き入れてもらえなくて、かなり悩みました。

森満
森満

その状況をどうやって打開したんですか?

原元さん
原元さん

上司や先輩に相談した時に「とりあえずお客さんのところに行け。」って言われて。

自分が売りたい商品があろうとなかろうと、とりあえずお客さんのところに会いに行って、雑務を手伝ったり、イベントの準備や後片付けを手伝ってました。

森満
森満

うんうん。

原元さん
原元さん

そしたら少しずつ原元という名前をお客さんに覚えてもらえて、話も少しずつ聞き入れてもらえるようになって。

上木
上木

まさに人と人との信頼関係ですね。

原元さん
原元さん

そしたらイベントが終わった後にそのお客さんから「おい!ラーメン食いに行くぞ!」って言ってもらえて。

「あざます!」みたいな。

上木
上木

そこまでいったら勝ちですよね。

なるほど、その経験が公務員になってからの漁協の人たちとのやりとりに活かされてるんだなぁ。

原元さん
原元さん

そうですね。

まずは顔と名前を覚えてもらって、信頼してもらうことが大事だって感じてるんです。

天職だった生涯学習課の仕事

森満
森満

水産業に関する仕事を耕地林務水産課で3年経験して、次はどちらに?

原元さん
原元さん

そこから3年間は生涯学習課で働いてました。

森満
森満

ちなみにどんな仕事を?

原元さん
原元さん

生涯学習と文化振興に関する仕事でしたね。

主に文化会館を担当していて、市民大学とか生涯学習講座の運営に携わってました。

運営を委託してたNPO法人をサポートするイメージ。

森満
森満

なるほど。

原元さん
原元さん

あとは文化振興で自主文化事業をやっていたので、自分が良いと思うアーティストさんを選定して、志布志でライブをしてもらうみたいなことをやってましたね。

上木
上木

その状況って無敵ですよね。

好きなことが仕事になってる人には誰も敵わないし、仕事と思わずに働いてるからめちゃくちゃ成果出ますもん。

原元さん
原元さん

最高の仕事だったんですけど、異動したのがドンピシャでコロナ流行し始めたタイミングだったんですよ。

そこから3年間ずっとコロナ禍で、かなり難しかったですね。

森満
森満

なるほど..イベントとコロナは相性悪すぎますね..

原元さん
原元さん

1年目はずっと『ステイホーム』で。

イベントとか全く出来るような状況じゃなかったので、仕事の進め方がかなり難しかったです。

森満
森満

難しいですね..

試行錯誤すらできない状況ですもんね..

原元さん
原元さん

ですね。

特に最初の頃は何も動くことが出来ずに、朝パソコンを開いて「何しよう..」みたいな日々が続きました。笑

森満
森満

笑笑

原元さん
原元さん

でも少しずつコロナに配慮しながらイベントや催し物が開催できるようになっていって。

そこからは楽しかったです。

結局、生涯学習課には3年在籍して、今年の4月から今の課で働いてます。

公務員はやり甲斐があって面白いよ

森満
森満

ここからは民間企業と行政、どちらも経験してる原元さんに、働き方の違いみたいな部分を聞きたくて。

ぶっちゃけ、今後も公務員として生きていこうと思えてます?

原元さんなら公務員じゃない場所の方が輝けるんじゃないかなって思っちゃうんですけど。

原元さん
原元さん

公務員として生きていこうと思ってます!(即答)

森満
森満

なるほど。

ちょっと意外。笑

公務員って、やり甲斐あります?

原元さん
原元さん

僕は、すごくあると思ってるんです。

というか、公務員って面白いですよ。

森満
森満

..!!

初めて聞きました、その感想。

詳しく聞かせてください。

原元さん
原元さん

それこそ、一つ前に在籍してた生涯学習課の仕事がとにかく面白くて。

なんて言えばいいんだろうなぁ..

美弥さん
美弥さん

プライベートと仕事の境界がなかったよね。

ほぼ趣味みたいな。

原元さん
原元さん

たしかに。笑

基本的に目立ちたがり屋で、イベント大好きなんですよ。

森満
森満

そんな感じします。笑

原元さん
原元さん

イベント立ち上げたりする仕事も、公務員だと部署によっては思いっきり関われるじゃないですか?

上木
上木

たしかに。

原元さん
原元さん

ライブ開催したり、劇団四季呼んで演劇やったり。

地元の吹奏楽部の子達と一緒に合同イベントやったり。

そんなのもう、趣味でライブやってるのと感覚的には同じですよね。

めちゃくちゃ楽しかった。

上木
上木

なるほどなぁ。

生涯学習課への希望は出してたんですか?

原元さん
原元さん

出してましたね。

森満
森満

いやぁ、すごい話。

完全に適材適所ですよね。

というか、原元さんを一番活きるポジションに配置できてる志布志市役所もめちゃくちゃすごいと思っちゃいます。

0→1のリスクを取ってチャレンジするのが行政の仕事

原元さん
原元さん

ありがたいですね。

あと、『公務員としてやりたいことができない』って言ってる人たちと、自分は見えてる側面が違うんじゃないかなとも思っていて。

上木
上木

というと?

原元さん
原元さん

「公務員=行政って、イニシャルリスクをとる仕事だよ」って、先輩から教えてもらったことがあるんですよ。

森満
森満

イニシャルリスク?

原元さん
原元さん

民間企業や市民の方の0→1の部分のリスクを、税金でカバーするのが公務員の仕事だっていうことみたいなんですけど。

僕らの仕事って、全てを黒字化することが目的ではなかったりするじゃない?

森満
森満

たしかに。

数字で表せない仕事の方が多いですよね。

原元さん
原元さん

税金を使って事業をする以上、もちろん結果にコミットしないといけないのは大前提なんですけど。

民間企業や市民の方が結果を出すために、最初の押し出す部分をリスクを抱えて取り組むことが行政のやるべき仕事なのかなって、個人的に思ってるんです。

上木
上木

ほんと、そのとおりだと思います。

しかも、原元さんのその想いをしっかり実現させてくれる職場環境が素晴らしいですね。

普通、そういうのはいいから、決まった仕事をミスなくこなすことを求められるじゃないですか。

森満
森満

うんうん。

原元さんの上司も、今おっしゃったことと同じ気持ちだから、色々なことにチャレンジさせてくれてるわけですもんね?

原元さん
原元さん

そうなんですよ!

特に生涯学習課にいた時の上司がめちゃくちゃ良い人で、仕事できる人だったんです。

「予算は俺が取ってくるからどんどんやれ!」って言ってくれる方で。

上木
上木

すごい。

そこに尽きるかもしれない。

原元さん
原元さん

ありがたかったですね。

やりたいことと結果が伴うことのすり合わせは、もちろんしないといけないんですけど。

目的がしっかりしていて、結果までの道のりがある程度見えていれば、0→1でチャレンジすること良しとしてくれる環境だったので。

それが行政の仕事って考えたら、そんな仕事、めっちゃ楽しいじゃないですか?

森満
森満

そんな仕事ができるなら行政も悪くないって思えますね!

ロールモデルになる上司と出会えたことが幸せ

美弥さん
美弥さん

1つ付け加えても良いですか?

上木
上木

もちろん。

美弥さん
美弥さん

私、彼が志布志を選んで良かったって思えてる要因の1つとして、「予算は俺が取ってくるからどんどんやれ!」って言ってくれた上司に出会えたことなんです。

素敵なロールモデルがみつかったと言いますか。

上木
上木

めちゃくちゃ良い話!

美弥さん
美弥さん

自分の人生のロールモデルにしたい人が上司って、めちゃくちゃ良いじゃないですか?

上木
上木

それ、最高だなぁ。

原元さん
原元さん

『この上司が志布志市役所で働いてるなら、自分もここで働き続けても良いかもな』って思えてるんです。

それは志布志に来て良かったなって思えてる大きな理由ですね。

上木
上木

すごく良い話。

今の話だけで、志布志市役所にかなり好感持ちました。笑

音楽で地域を盛り上げる

森満
森満

最後に、サックス奏者としての活動についてお聞きしたくて。

バンドを結成して、大隅を盛り上げるみたいな活動されてますよね?

原元さん
原元さん

そうですね。

JAZNIC PARKというバンドで活動してます。

JAZNIC PARK

2018年に結成されたオルガニッククインテット、JAZNICPARK。

Tappy(org)、Yuji(gt)、Taku(ds)、GenGen(ts)、Ryota(vo)の5人で構成される。

全国でも珍しい構成で、Jazzをはじめ、soul、rock、fusionなど、ジャンルにとらわれない様々な楽曲を演奏。

鹿児島県大隅半島を中心に活動しており、ライブ以外にもご当地キャラクターPVの楽曲編曲や、

地元特産品のオリジナルソングの作成なども手がけ、さらに活動の幅を伸ばしている地方で特に勢いのあるバンド。

【参照:JAZNIC PARK 公式HPより】

上木
上木

この活動を始めたきっかけは?

原元さん
原元さん

オルガン担当の方とは大学時代からの知り合いで。

明日の地図っていう、鹿児島市天文館にあるJAZZBARで、僕が大学の頃にセッションのホストをしてくれていた方なんですよ。

大学時代にはその方からバンドにも誘ってもらって、一緒にやってたりもして。

上木
上木

JAZZBARでのセッション!?

すごい!

原元さん
原元さん

僕が就職で鹿児島を離れる時に一度疎遠になるんですけど、市役所に転職する際にたまたま新規採用研修の名簿でオルガン担当の方の名前を見つけて。

上木
上木

ほぉ!

原元さん
原元さん

実は僕が志布志市役所に転職したタイミングと全く同じタイミングで、彼も民間から鹿屋市役所に転職してて。笑

そこでまた連絡をとるようになり、ちょこちょこ鹿屋でやるライブに誘ってもらったりしてたんです。

上木
上木

すごい偶然!笑

原元さん
原元さん

ですよね。笑

ある時、「鹿屋に歌上手い人がいるんだけど、一緒にバンドやらないか?」って誘ってもらって。

そこからJAZNIC PARKがスタートした感じです。

森満
森満

なるほどなぁ。

『大隅を盛り上げる』っていうコンセプトを絡めて曲作りやライブ活動をされてるじゃないですか?

そのコンセプトも、もともと立ち上げ当時からあったものなんですか?

原元さん
原元さん

いやっ。

最初は普通にジャズのバンドって感じだったんですけど、オルガン担当の方が当時、鹿屋市役所で広報の部署で働いていて。

仕事柄、マスコミ関係の人と繋がる機会が多くて、「曲作ってよ!」って言われる機会が少しずつ増えていったんです。

森満
森満

うんうん。

原元さん
原元さん

そこからKTSの番組で使われる曲だったり、鹿屋の小さなBARで流す曲を作ったり。

森満
森満

曲を作るってかなりの作業量だと思うんですけど、お金はもらってるんですか?

原元さん
原元さん

お金はですね、もらってないんです。

公務員という立場上。

上木
上木

もらってないんですか!?

副業的にやってるわけじゃなくて!?

原元さん
原元さん

曲作りは基本的に無償でやってますね。

自分達の活動のPRも兼ねてる感じです。

上木
上木

..すごい話ですね。。

原元さん
原元さん

あ、でも、バンドの紹介をテレビでしてもらったり、僕らにもメリットがある形でやらせてもらってるんですよ。

ちなみに、オリジナル曲が増えてきたので、今、アルバムを作ってます。笑

上木
上木

アルバム!?

原元さん
原元さん

鹿児島市にあるガチの音楽スタジオで収録しました。笑

森満
森満

すごい!

職場の人たちは原元さんの活動を知ってるんですか?

原元さん
原元さん

知ってると思います。

それこそ生涯学習課の時は、自分がサックスすることを活かして、イベントで地元の文化協会の人たちに混ざって一緒に演奏したりしてましたよ。

森満
森満

嫌なことを言われたりすることもなく?

原元さん
原元さん

特に言われないですね。

「すごいね!」って言ってもらえるぐらいで。

前の上司なんか「どんどんやれ!」って応援してくれてましたしね。笑

森満
森満

今までお話を伺ってきて、釣りもですし音楽活動もですけど、原元さんが好きでやってきたことが全部仕事に昇華されてる感じがして。

それってすごいことだよなって思います。

原元さん
原元さん

言い方が合ってるか分からないですけど『公務員ほど公私混同できる職業もないよな』って思ってるんですよ。

もちろん良い意味で。

公私混同しながら働いてる人が一番強いと思ってます。

森満
森満

間違いないです。

好きなことを仕事にしてる人には絶対勝てないですし、そっちの方が仕事の成果も出ますしね。

上木
上木

耕地林務水産課で大学&前職の強みを活かし、生涯学習課で趣味を活かせてるって、シンプルにすごいですよ。

原元さん
原元さん

今はこれまでと違ってバックグラウンドの無い『選挙管理&行財政改革』という職種なので、僕自身これからどうなっていくのか、不安でもあり楽しみでもあります。笑

上木
上木

いやー、すごく学びの深いインタビューでした!

森満
森満

お休みの日にお時間いただき、ありがとうございました!!

原元さん
原元さん

なんの脈絡もなく話しちゃいましたけど、大丈夫でしたかね..苦笑

こちらこそ、ありがとうございました!

まとめー第3話ー

0→1でチャレンジすることこそ行政の仕事

チャレンジすることに前のめりな原元さんを、「予算は俺が取ってくるからどんどんやれ!」って言ってくれる職場が最高すぎるよなぁと、話聞いてきて素直に羨ましかったです。

こういう環境の自治体がもっと増えれば、もっと楽しく活き活きと働ける公務員が増えるんじゃないかなぁ。

あと、インタビュー中に美弥さんが振舞ってくれたスパイスカレーがめちゃくちゃ美味しくて。

食べに通うから、店で1,200円で売ってほしい。

原元家の今後の活躍に、ますます期待です!

ということで、最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回、お会いしましょう!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました