【中編】生徒自身が本当にやりたいことを実現させたい【山下優香|出水工業高校 家庭科教諭】

先生

毎年、鹿児島県内の各地で活躍する人材を輩出する「本気の地域づくりプロデューサー養成講座」

この講座の受講生たちに、定期的にインタビューをして、受講生が年々変化していく様子を応援しようという本企画。

今回のゲストは、出水工業高等学校で家庭科教諭として働く山下優香さんです。

この記事は6分で読めます^^

中編では、生徒たちとの関わり方や、学校行事についてお話を伺います。

<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

高校教師としての働き方

農業系高校の文化祭で生徒が輝く瞬間

山下さん
山下さん

今の学校に配属される前は鹿屋農業高校にいたんですけど、森満さんは農業系の高校の文化祭に行ったことあります?

森満
森満

いや、ないかもしれないです。。

でも、イベントやマルシェで、市来農芸高校の学生が売ってるものを買ったことはあります。笑

鹿屋農業高校の生徒たち
山下さん
山下さん

おお!

でもまさにそれで、農業系の高校の文化祭は農作物を販売するんですけど、自分たちで作ったものだから生徒がめっちゃ力を込めて売ろうとするんですよ。

生徒たちがすごく楽しそうで、生き生きしてて。

森満
森満

自分たちで作った農作物だから、その分愛着が乗っかってるわけですもんね。

鹿屋農業高校で収穫された野菜

生徒が輝く場とは

山下さん
山下さん

その熱量を経験した上で今の学校に来たもんだから、今の学校の文化祭がどこか窮屈に感じてしまって。

毎年同じようなモノを展示するのではなく、工業高校だからこそできる内容で、生徒たちが生き生きした文化祭にできないかなぁってずっと考えていました。

森満
森満

生徒一人ひとりが、本当にやりたいことを実現できる場にしたかったわけですね。

山下さん
山下さん

何ができるだろうって考えながら、ある時、生徒の実習してる姿を見に行く機会があったんです。

そしたら、座学では退屈そうにしてる生徒たちが、実習ではすごく楽しそうにしていて。

木工したり、溶接したり、旋盤してる姿がめちゃくちゃ生き生きしてて、「みんなかっこいいじゃん!」って思ったんです。

森満
森満

なるほど。

山下さん
山下さん

それに加えて、『人は、人にモノを教える時が輝くよな』と思って。

結果的に、各学科の専門性を生かしたワークショップ形式の文化祭をやったら絶対良いんじゃ!?という結論に行き着いて、先生たちに提案してみたんです。

森満
森満

めちゃくちゃ良いじゃないですか!

地域の人たちも喜びそうだし、生徒の親目線で考えた時に、生き生きしてる子供の姿を見れるのは何よりうれしいと思います!

山下さん
山下さん

ただ、結構反対されて。笑

「準備も大変だし、そういう形式でやったことがないから人が来るかもわからない」って。

確かに、先生たちの準備が大変になるのもわかるんですよ。

知識と経験の違い

森満
森満

そうかぁ。。

やったことがないことへの抵抗感は、市役所にいてもめちゃくちゃ感じます。

山下さん
山下さん

生徒にいちから企画させて組み立てていく作業って、生徒側も先生側も面倒くさいんですよ。

でも、その面倒くささって体験してみないとわからないじゃないですか。

面倒くさいことを体験したことがない子が多い中で、やったことがないから経験させないってなると、生徒たちのリーダーシップや企画力の部分が全然育たない。

森満
森満

たしかに。

知った気になってることと、経験してることは全然違いますからね。

山下さん
山下さん

やったことがないっていう前提を理解した上で、生徒たちがやりたいことを最後までやり通す。

その道のりを一緒にサポートしていきたいっていうのが私の思いで。

Facebookの投稿からも生徒たちとの関係性が見て取れます
森満
森満

最高ですね。

ただ、学校の先生って雑務がかなり多いイメージなので、これ以上仕事を増やしたくないって考える先生の気持ちもわかるなぁ。。

山下さん
山下さん

ただ、どうしてもワークショップ形式の文化祭がやりたかったんですよ!

色々な先生一人ひとりに説明して、頼み込んで。

そしたら、ありがたいことに全面的に協力してくださる先生方もいて。泣

そんなこんなで、実施させてもらえることになったんです!

出水工業高校HP

おおおお!!

説得した馬力がすごい。

僕だったら諦めてますもん。。

諦めが悪いんですよ。笑

ワークショップ形式での文化祭実施が決まると、各学科趣向を凝らしたワークショップを企画していて。

『やっぱり工業生スゴいな~。先生方もスゴいな~。』って、感動しました。

射的が本格的でカッコ良い!

今も文化祭はワークショップ形式でやってるんですか?

ですね。

2020年はコロナの影響を考慮してワークショップ形式は中止しましたが、毎年毎年、賛否両論ありながらも、なんとかワークショップ形式の文化祭は実施させてもらってます。

年を重ねるごとにワークショップの内容も少しずつ進化していて、改めて工業高校ってすごいなぁと感じてます。

文化祭の準備
森満
森満

文化祭のお話なんか典型的ですけど、山下さんは、通常業務に加えて、生徒一人ひとりに伴走するスタイルをとってるわけですよね?

自ずと業務量が増えてそうですけど、雑務はどう処理してるんですか?

山下さん
山下さん

私、効率的にこなすことが苦手なんですよ!

だから、人よりも時間かかっちゃうわけ。笑

森満
森満

おお。。

働く時間を長く取ってるってことですか?

山下さん
山下さん

夜、遅くまで残って作業してることが多いですね。笑

農業高校と工業高校の違い

森満
森満

以前は農業系の高校にいて、今は工業系の高校にいるわけですが、それぞれの学校ごとに違いがありますか?

山下さん
山下さん

先生たちの個性が全然違いますね。

でも、そこが面白いなぁと思います。笑

森満
森満

違うんですか!?

山下さん
山下さん

違いますよ!笑

農業は天気に左右されるから、生徒に対しても臨機応変な先生が多くて。

工業は、説明書通りにピッタリはめていくのが得意な先生が多い。

森満
森満

それめっちゃ面白いですね!

鹿屋農業高校の生徒たちと
山下さん
山下さん

商業系も普通科も先生の個性は全然違うから、みんなが得意な部分を結集すれば、めちゃくちゃ面白いことができると思うんですけどねぇ。

どれが良くてどれが悪いとかじゃなくて、みんな味があっていいんですよね。笑

森満
森満

それは市役所でも言えるなぁと思っていて。

市役所には事務職だけじゃなくて、僕みたいな建築技師もいれば、土木技師、保健師、栄養士、消防士、設備技師、保育士等、いろんな専門職がいて。

みんながシームレスにつながって特殊能力を結集できれば、もっと面白いことができるはずだと僕も思ってるので、先生たちともコラボしてなんかやりたいです!笑

高校生の就職について

続けることの本質

森満
森満

2020年以降、コロナ禍で社会情勢が一変しましたが、高校生たちはどこに就職したがっていますか?

山下さん
山下さん

今年は地元希望が多かったですね。

学生の頃、「一回就職したら3年は頑張って続けなさい」って言われてませんでした?

森満
森満

言われてました!

山下さん
山下さん

今でも、先生は生徒に「3年間は仕事を続けなさい」って言うんですね。

たしかに続けることも大事なんだけど、『そもそも就職先でする仕事は自分がしたい仕事なのか』っていう部分を、もっと大切に考えてほしいなと思ってて。

森満
森満

なるほど。

進路活動をする夏休み
山下さん
山下さん

就職も大学入試と一緒で、「学業とか技術がこのレベルだからこの会社を受けなさい」っていう指導が多いんですよ。

就職と思いの関係性

森満
森満

たしかに。

私自身も就活の時、やりたいことよりも自分のレベルに合わせて就職先を決めた気がします。

山下さん
山下さん

自分のレベルに合わせることも大事。

能力も大事。

適性も大事。

あとは、思いも大事だよなって。

森満
森満

思い?

山下さん
山下さん

いくら適性が高くて能力的に釣り合っていたとしても、全然興味ない仕事内容だったら、もったいないじゃないですか!

やる気もでないだろうし。

面接指導で撃沈する生徒たち
森満
森満

たしかになぁ。

進路指導って奥深いですね。。

山下さん
山下さん

進路指導が上手な先生は、生徒の思いの部分まで見越して、寄り添った進路指導をするんですよ。

うちの学校にも上手な先生がいて、それを見ながらすごいなぁと感じています。

進路決定後、サプライズを仕掛けて人を喜ばせる生徒たち

まとめー中編ー

生徒が本当にやりたいことを実現させたい

前編での生徒との関わり方の話も然り、今回の文化祭の話も然り、山下さんの根底にはずっと、生徒一人ひとりに伴走するという思いが流れているなぁと感じます。

組織の中で、空気を読まずに戦うことの大変さは私自身も感じる部分があるので、戦い続けている山下さんの姿にめちゃくちゃ勇気をもらえました!

ということで、中編では、生徒たちとの関わり方や、学校行事についてお話を伺いました!

後編では、プライベートで積極的に行ってる活動をどうやって生徒たちに還元するか、みたいなお話を伺いますので、お楽しみに!

では、また次回お会いしましょう!

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