鹿児島の圧倒的なシンボルである桜島。
その桜島が噴火した時に降ってくる”火山灰”を使って、絵を描く『火山灰アーティスト』が、鹿児島には居ます。
火山灰アーティストKYOCOこと、植村恭子さん。

#3では、2021年10月にチャレンジしたクラウドファンディングの結果や、11月に開催する個展の内容について、お話を伺いました。
KYOCOさんの話をとおして、少しでも読んでいただいた方に活力が生まれれば嬉しいです。
<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>
クラウドファンディングの話
身近な方からの支援がありがたい

挑戦していたクラウドファンディングが達成したということで!
おめでとうございます!!

ありがとうございます!
よかったぁ!笑


プロジェクトをスタートさせて、結構早い段階で達成してましたよね?

そうなんですよ!
設定期間の半分ぐらいで達成して。
ありがたい限りです。

どんな人達が支援してくれました?

普段から顔なじみの方々が多かったですね。
ありがたい限りです。
中には、はじめましての方が支援してくれたりもありましたけど。

全く知らない方からも、支援してもらえるものなんですね!

ほんとに。
県外の方だったんですけど、『火山灰っていう文字を見たから支援します!』みたいな感じで支援いただけて。
ありがたいですよね。

すごい!
SNSではかなりシェアされてたし、いろんな広報媒体で『クラウドファンディング始めます!』って取り上げられてましたもんね。

そもそもクラウドファンディングをやろうと思ったきっかけが、火山灰アートを色んな人へ届けたいという想いから始まってるので、『知ってもらう』という目的に関しては十分果たせたんじゃないかなと思ってます。
ただ、欲を言えば、もうひと段階外側の人たちにも、活動を届けたかった…‼
目的を見失わない

なるほどなぁ。
少し話は変わりますが、クラウドファンディングって早い段階で目標金額達成すると、ネクストゴールを設定したりするじゃないですか?
たとえば、80万円の目標金額達成した&まだ期間が結構あるから、120万円を次の目標【達成金額】にして、これとこれを追加でやります!みたいなやつ。

事務局からは、「ネクストゴールを設けますか?」って、達成するちょっと前から言われてたんです。
その時は「設けてみようかな」って軽い感じで思ってたんですけど。

思ってたんですけど?

よく考えたら、今回のクラウドファンディングの目的自体が、『作品展をする』っていうことで。
作品展をするために80万円が必要だよなと判断して、金額設定をしてるわけですよ。

うんうん。

そんな中で、魅力的な作品展をするための設定金額80万円だったはずのに、急に『ネクストゴール!』とか私が言い出したら、『おやっ?欲出してきたな?』って思われるなって。

なるほど。笑

目標を見失ってはならないなって、改めて思いましたね。笑

自分がKYOCOさんだったら、欲、出ちゃいそうです。笑

そりゃ、お金かければかけるほど、豪華な装飾ができるし、より良いものになるかもしれないですよ?
でも、じゃあ最初の設定金額の80万円って何だったの?最低ライン?最低ラインの作品展をやろうとしてたの?ってなるじゃないですか。

たしかに。

そういうわけじゃなくて、最初の目標設定段階で、魅力的な作品展にするための金額設定だった。

うんうん。

ただ、ネクストゴールが無い中で、達成後にどんな発信すればいいのかも分からず。
とにかく『ありがとうございます!』と言い続けた終盤戦でした。笑
キテン【作品展】について
2つの会場を一気に設営する

クラウドファンディングの目的でもあった、火山灰アート展の『キテン』ですが、準備はどんな感じですか?
順調?
《取材日=2021.11.09》

もう、展示する作品自体は描き終わってるんですよ。


おお!
まぁ今日が3日前ですもんね。笑

そうそう。笑
ただ、今回2つの会場に分かれての開催っていう、私の中で初めての試みなので、どうやって設営を進めようか、その段取りを試行錯誤しています。

なるほど。
会場が鹿児島港と桜島港の2ヶ所だから、錦江湾を挟んだ対岸にあるわけですもんね。
あれ?
設営って、何日間でやるんですか?

搬入から設営まで、前日に丸一日かけてやります。
前の日の朝、会場を開けてもらって、一気に搬入してぶわーって飾り付けて。笑


そういう感じなんですね!

普通は、会場の装飾とかを何日間もかけて準備するのかもしれないですけど。。
鹿児島港側に資材を入れて、業者さんに組み立ててもらってる間に、私は作品をもってフェリーで桜島港に行って…みたいな。笑

うんうん。
めっちゃ大変そうであることがイメージできました。笑

公共施設の貸出金額

そんな中で、今回はフェリーターミナルの方々がすごく協力的に接してくれて、本当に助かってます。

そこ、地味に重要ですよね。
担当者がどんな方かによっては、そこのやり取りだけで疲れちゃうこともありますもん。笑
鹿児島港側って、どこの場所で展示するんですか?

水族館側に降りていく階段の近くのスペースを150㎡借りて、そこに展示します。

というか、鹿児島港のフェリーターミナルって、スペース貸ししてるんですね!
そこすら知らなかった。笑

全部で200㎡のスペースなんですけど、50㎡ごとに区切って貸し出してくれるんですって。
講習会とかで借りる人もいるみたい。


へー!
金額的にはどんな感じです?

200㎡のスペースを丸1日借りて、2.7万円ぐらい。

ど素人な質問で申し訳なんですけど、それって、金額的にどんなものなんですか?

高い!!笑

高いんですね!!笑

いや、全然払うんですけど、なんていうか、ただ、そこにスペースがあるだけなので。
パーテーションが複数用意されてたり、備品がいくつかあったりするんだったら、「まぁそんなもんかな」って感じですけど。
ただ、そこにスペースが存在してて、空間を借りるだけでこの金額は、正直結構きついかなぁ。
鹿児島県民割とかあったら、もうちょっと気軽に使おうと思う人増えるんじゃないかなぁと思います!

なるほど。
鹿児島市役所の市民アートギャラリーみたいに、公共施設だと無料で展示できるスペースがあったりするから、余計にそう感じてしまうかもですね。
今のKYOCOさんのリアルな感想が、関係各所に届くことを願うばかりです。。
展示する作品に込めた想い

今回、鹿児島港と桜島港の二ヶ所で同時に作品展をする上で、それぞれの会場ごとにテーマが違ったりするんですか?

桜島港の方は、錦江湾の生き物と古代の生き物たちがテーマですかね。
ほら、桜島って、恐竜公園があるじゃない?笑

ありますね。笑


だから、恐竜たちや錦江湾のイルカ、ミサゴ(鳥)などを灰で描きました。
あとは、今年の夏に鹿児島県庁18階で作品展をしたんですけど、コロナで中止になってしまって。
その作品展に展示していた作品も、桜島港には持っていく予定です。

鹿児島県庁の作品展は、僕も見に行く前にコロナで中止になってしまったので、それは嬉しい!
鹿児島港側はどんなイメージですか?


鹿児島港側は、もっと日常っぽいものをテーマにしようと思ってます。

日常っぽいもの?

植物とかコーヒーカップ、重富海岸から見た桜島の風景とか。

重富からの桜島を描いてるのは、かなりおもしろいですね!
鹿児島市から見える桜島と、重富海岸から見る桜島では、見え方が全然違いますもん!


そうそう!
今回の作品展の全体テーマが、「キテン=機転」ですし。
『見方を変える』とか『視点を変える』ということの面白さが伝わったらいいなって。

おもしろい!!

「普段は気にも留めてない風景かもしれないけど、私にはここがこういう風に見えてるよ」っていうことが少しでも伝わればいいなって。
身の回りにあるもので、「ここっていいよなぁ」って感じるものを中心に、灰で描いてみました。

なるほど。

私の視点で描いてるので、見る人によっては「なんじゃこりゃ?」って思うんじゃないかなぁ。
描いてるフォルムは理解できるけど、「これの何が良いのか分からん」って思うんじゃないかって。

うんうん。

それを面白いと思うことが正解じゃなくって。
私にはこの切り口が面白いと思っただけっていう話です。笑

『なるほど!そういう視点もあるのか!』って、面白がる姿勢が大事なのかもしれないですね!
フェリーターミナルで作品展をやる意味

あと、話は少し変わりますけど、フェリーターミナルで開催するの意義がすごく大きいんじゃないかなって、勝手に思ってて。
フェリーターミナルで作品が展示されるってことは、普段美術館とかに行かないような、一般の人も見やすい環境にあるわけですよね?

そうそう!
作品展をどこでやろうか悩んでた時に、せっかくだったら、日常の一コマで発想の転換ができる場所がいいよなって考えてたんです。

なるほど!

桜島フェリーだったら、15分間は何も出来ない時間が強制的にあるわけで、フェリーターミナルなら通勤通学で通る人もいるなって。
日常の中に溶け込ませるにはもってこいの場所だなと思って、ここに決めました。
まとめー#3 キテンー
視点を変えるということ
コロナ禍で色々なものが制限され、気分が落ち込みがちな昨今。
日常の中にあるモノの見方を変えることで、ネガティブがポジティブに変わったらいいなという想いで開催される、今回の作品展。
特に、フェリーで過ごす時間を絡めてるところが、すごく良いポイントだなと思っていて。
鹿児島港で作品を観て、フェリーで海を見ながらぼーっと考える。
桜島港で作品を観て、またフェリーでぼーっと思考する。
クリエイティブに触れ、日常を捉えなおすことで、前向きになる人が一人でも増えたら嬉しいと語っているKYOCOさんの姿が、すごく印象的でした。
ということで、#3では2021年10月にチャレンジしたクラウドファンディングの結果や、11月に開催する個展の内容について、お話を伺いました。

#4では、KYOCOさんが考えるアートの定義について、グッと深掘ってお話を伺いますので、お楽しみに!
ではまた次回、お会いしましょう!
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