#1 会話のきっかけとしての火山灰アート【KYOCO|火山灰アーティスト】

公共

鹿児島の圧倒的なシンボルである桜島。

その桜島が噴火した時に”降ってくる”火山灰を使って、絵を描く『火山灰アーティスト』が、鹿児島には居ます。

火山灰アーティストKYOCOこと、植村恭子さん。

今回は、KYOCOさんがクラウドファンディングにチャレンジするということで、インタビューしてきました。

この記事は7分で読めます^^

#1では、今回の作品展にかける想いや、コロナ禍が与えた活動への影響などについて、お話を伺います。

KYOCOさんの話をとおして、少しでも読んでいただいた方に活力が生まれれば嬉しいです。

<聞き手=森満 誠也(KagoshimaBase編集者)>

クラウドファンディング

桜島フェリーの両港で同時開催する意味

森満
森満

よろしくお願いします!

早速ですが、2021.10.1からクラウドファンディングをやるということで。

その話を伺いに来ました!!

KYOCOさん
KYOCOさん

ありがとうございます!

そうなんです!

火山灰アートの作品展をするというクラウドファンディングにチャレンジしています!!

 森満
森満

最近、めちゃくちゃメディアに出てて、火山灰アーティストとしての認知度が爆上がりしてますよね…‼

ちなみに作品展の場所はどこで?

 KYOCOさん
KYOCOさん

桜島フェリーターミナルの桜島港鹿児島港を両方借りて、同時開催する予定です。

 森満
森満

両方の港で同時に⁉

なぜ、会場がフェリーターミナルだったんでしょう?

 KYOCOさん
KYOCOさん

桜島の住民にとっては欠かせない存在の桜島フェリーですが、普段はフェリーを使わない方も、岸から離れ海上でゆっくりと日常を振り返る時間を作ってほしかったんですよね。

閉塞感の漂う今だからこそ、なおさら。

 森満
森満

なるほど。

桜島港と鹿児島港で、作品の内容は変えるんですか?

 KYOCOさん
KYOCOさん

変える予定です。

今年の8月に、鹿児島県庁の18階で作品展をしたんですよ。

ただ、開催期間中にコロナの蔓延防止等重点措置が発令されて、18階に一般人が上がれなくなってしまい、中止せざるを得なくなってしまって。

鹿児島県庁18階での作品展。眺望と火山灰アートと華の融合。
 森満
森満

作品展の途中で中止ですか。。

 KYOCOさん
KYOCOさん

作品展が中止になった後に、たくさんの友人達から『行こうと思ってたのに残念。。』っていう連絡をいただいて。

それなら、どちらか片方の港は、鹿児島県庁でやってた作品展を見てもらう場にしようと。

 森満
森満

なるほど。

 KYOCOさん
KYOCOさん

もう片方の港は、新しい作品を描いて展示をする予定です。

コンセプトが違う両港を行き来していただいて、ふたつでひとつの作品展ができたらいいなって、そう思います。

1117

 森満
森満

植村さんにとって火山灰アートの作品展って、今回で何回目になるんですか?

 KYOCOさん
KYOCOさん

今回で2回目です。

1回目は昨年の11月に、レトロフトを借りて作品展をしました。

レトロフトでの作品展
 森満
森満

2回目なんですね!

 KYOCOさん
KYOCOさん

桜島の標高って1117mなんですよ。

だから、2回目である今回の作品展も、11月17日辺りでやりたいなぁと思ってて。笑

 森満
森満

おお!

なるほど!!笑

 KYOCOさん
KYOCOさん

昨年の作品展から1年経ち、未だにこうやって火山灰アーティストとして活動出来てて、少しずつ美術展でもいただけるようになってきたんです。

ありがたいことに応援してくださる方もいらっしゃいますし、私の今年1年の集大成を皆さまに見ていただく場が必要だなと思って。

これが火山灰で描かれてるってハンパないですよね。。

知ってもらう窓口としてのクラウドファンディング

 森満
森満

そこから、なぜ今回のクラウドファンディングにチャレンジすることになったんでしょう?

 KYOCOさん
KYOCOさん

「今年も11月に作品展をやりたいなぁ」っていう話を誰かとしてた時に、ふと言われたんです。

「KYOCOさんの活動をもっと広く知ってもらうんだったら、美術とかアートとかっていう方向性だけではダメなんじゃない?」って。

 森満
森満

???

 KYOCOさん
KYOCOさん

「今まで通りの作品展を開催しても、アートを好きにな人は見に来てくれると思うけど、それ以外の人は知る機会がないよね」って。

じゃあどうすればアートに興味がある人以外にも届けることが出来るかって考えた時に、クラウドファンディングが面白いんじゃないかっていう話になって。

クラウドファンディングであれば、美術とかアートが好きな人以外もいっぱい見てるんじゃないかと。

 森満
森満

なるほど…‼

それって、いつぐらいの話です?

 KYOCOさん
KYOCOさん

今年の8月末~9月頭ぐらいだったかなぁ。

 森満
森満

1ヶ月前ですか⁉

クラウドファンディングって、そんなにトントンってやれるもんなんですか…⁉

 KYOCOさん
KYOCOさん

いやー、わかんないです。笑

でも、今まで興味を持ってくれた人以外の層にも、やっぱり届けたいなって思ったんですよ。

アートっていう入口だけじゃなくて、もっと他の入口からも入ってもらえるようにしたいなって。

 森満
森満

純粋にその行動力がすごいと思います。

 KYOCOさん
KYOCOさん

まぁクラウドファンディング自体は、ほぼノーリスクで始められるし、今回はAll-or-Nothing方式だから、達成しなかったら「ごめんなさい!できませんでしたー!」って正直に言えばいいかなって思ってます。笑

 森満
森満

All-or-Nothing⁉

そっちでチャレンジしてるんですか⁉

すごいですね。。笑

All-or-Nothing

実行者の方は、目標金額を達成した場合のみ支援金を受け取ることができます。

支援総額が目標金額に達した場合に限り、クラウドファンディングが達成したものとして取り扱われます。

All In型

実行者の方は、目標金額の達成の有無にかかわらず支援金を受け取ることができます。

支援総額が目標金額に達したか否かにかかわらず、1円以上の支援があった場合にクラウドファンディングが達成したものとして取り扱われます。

出典:READYFOR ヘルプ

火山灰アーティストとしての顔

きっかけは熊本地震の支援

 森満
森満

そもそも、火山灰を使って絵を描き始めたのって、いつからでしたっけ?

 KYOCOさん
KYOCOさん

2016年だから…もう5年前のことですね!

びっくり!笑

 森満
森満

たしか、くまモンを描いたのが一番最初でしたよね?

 KYOCOさん
KYOCOさん

そうそう!

当時、桜島ビジターセンターで働いていたんですけど、地震被害のあった熊本阿蘇にあるビジターセンターへの募金活動を呼びかけるために、足元にあった火山灰を手に握って、くまモン《熊本の公式キャラ》とめじろん《大分の公式キャラ》を描いたのがきっかけでした。

 森満
森満

なるほど。

 KYOCOさん
KYOCOさん

そこから、桜島ビジターセンターでウェルカムボードとして、火山灰を使った絵を描き始めたんです。

床に火山灰で描く火山灰アート

床から壁へ

 森満
森満

当時は、床に火山灰で絵を描いてたんですよね?

 KYOCOさん
KYOCOさん

そうそう。

それこそコロナ前までは、ずっと床に火山灰で描いていて、すぐホウキと塵取りで消すみたいなスタイルでしたね。

もちろん、火山灰を固めてないから、描いた絵を持ち運ぶことは出来なくて。

 森満
森満

そこから、なぜ今の立てるスタイルに変化したんでしょうか?

  KYOCOさん
KYOCOさん

2020年にコロナ禍がやってきて、一気に自粛モードに突入しましたよね。

桜島ビジターセンターも公共施設なので、もちろん閉まるわけですよ。

ビジターセンターで火山灰アートを描くこと自体が出来なくなってしまって。

 森満
森満

そうですよね。。

  KYOCOさん
KYOCOさん

そんな時に、東京にいる高校の先輩から『鹿児島にいつ帰れるか分からないから、火山灰で描いた絵を送ってほしい』っていう依頼をいただいたんです。

実は、コロナ前にも火山灰で描いた絵を固められないかチャレンジしたことはあったんですけど、そこまで本気で考えていなくて。

でも、こうやって依頼をいただいたからには、この先輩に火山灰アートを届けるために、なんとかして灰を固めないといけないじゃないですか?

 森満
森満

たしかに。

 KYOCOさん
KYOCOさん

そこからは、灰を固める方法を試行錯誤しましたね。

ビジターセンターに行くはずの時間がまるまる空いてたので、100円ショップで色々材料を買ってきて試したりしながら。笑

 森満
森満

コロナで影響を受けたことによって、今まで出来なかった部分にチャレンジする時間が生まれたわけですね!

 KYOCOさん
KYOCOさん

そうそう。笑

最初は透明なマニキュアに火山灰を接着させて書いてたんですけど、粘着性が強くて灰のぼかしがきかなかったり、臭いが残ってしまったりしてたんですよ。

 森満
森満

ぼかし!

たしかに、植村さんの火山灰アートって、濃淡による陰影が特徴的ですもんね。

濃淡で奥行きがでる火山灰アート
 KYOCOさん
KYOCOさん

そうなんですよ。

もうちょっと何とか出来ないかなぁって試した結果、今は木工用ボンドを水で溶いて、キャンバス全体に塗った上に火山灰で描いてます。

 森満
森満

へぇ!

それだと濃淡が表現できるんですか?

 KYOCOさん
KYOCOさん

出来るんです!

水と木工用ボンドを混ぜてるだけだから、水分が蒸発するまでの間は接着しないし、それまでは灰を自由に動かせるんですよ!

 森満
森満

なるほど…‼

 KYOCOさん
KYOCOさん

逆に乾いたとしても、木工用ボンドって水性なので、水を付ければ接着がほどけて、灰を自由に動かせるようになるんです。

 森満
森満

おもしろい!!

 KYOCOさん
KYOCOさん

コニシから後援もらおうかな。。笑

 森満
森満

克灰袋と色味似てますしね。笑

ボンドと克灰袋。色味はそっくり。
 KYOCOさん
KYOCOさん

たしかに。笑

私にとっては、コロナが良くも悪くも転機になりましたね。

コミュニケーションのきっかけ

 KYOCOさん
KYOCOさん

あと、コロナの影響という意味では、病院から火山灰アートの依頼をいただくようになったんです。

病院に飾らせてほしいって。

森満
森満

病院から?

 KYOCOさん
KYOCOさん

病院を訪れる人って、みな何かしら不安を抱えてくるわけじゃないですか?

その上、最近はマスク、検温、消毒が徹底されるようになって、気持ち的に重たくなるんだと。

森満
森満

たしかに。

 KYOCOさん
KYOCOさん

病院側としては、火山灰アートを訪れる方に見てもらうことで、そういう『不安感みたいなものを少しでも癒してほしい』っていう想いがあるみたいで。

森満
森満

素敵な想い。

 KYOCOさん
KYOCOさん

火山灰アートって、飾ってあるだけでコミュニケーションのきっかけになったりするんですよ。

森満
森満

コミュニケーションのきっかけ?

 KYOCOさん
KYOCOさん

「この絵って何で書いてると思います?」とか、「これ白熊アイスを灰で描いてるんですよー」とか。

一緒に絵を見ながら、会話をするきっかけのツールになるんです。

 森満
森満

なるほど!

年齢問わず、桜島とか火山灰って、鹿児島県民にとっては慣れ親しんだものだから、会話のきっかけとしては最適かも!

 KYOCOさん
KYOCOさん

そうなんですよね。

こういう使い方をしていただけることが嬉しいし、継続的に火山灰アートのオーダーもいただけてて、ありがたい限りです。

きいれ浜田クリニックへ納品した時の様子

作品の価格帯について

 森満
森満

昨年、レトロフトでやってたKYOCOさんの作品展を観に行かせてもらったんですけど、飾ってある絵のほとんどを『売りますよー』ってやってたじゃないですか。

そこで、金額を見てすごく驚いたんですけど…金額安すぎません?

 KYOCOさん
KYOCOさん

笑笑

 森満
森満

正直、0がひとつ足りなんじゃないか?って思いましたもん。

 KYOCOさん
KYOCOさん

いやー、私、プロでもないし、美術の学校行ってるわけじゃないから、金額の付け方とか全然わかんなくて。笑

わかんないから、googleで色々調べてみたんですよ。

 森満
森満

笑笑

 KYOCOさん
KYOCOさん

なんか、色々価格の付け方はあるみたいなんですけど。。

まぁ強いて言うなら、灰を拾いに行く移動費とか、絵を描く時間の人件費とか、その辺を考慮して、『時給これぐらいもらえればいいかな』ぐらいの感覚で、今は金額を付けさせてもらってますね。

 森満
森満

ほう。。

まぁでも、だからこそ、手に取りやすさも感じていて。

というのも、アートを買う層って、いわゆるお金を持ってる人みたいなイメージだったんですよ。

 KYOCOさん
KYOCOさん

なるほど!

 森満
森満

でも、7千円とか、1.2万円で玄関に飾れるサイズの火山灰アートが売られてたから、僕みたいな普通の公務員でも、「ちょっと買ってみようかな」って思えるというか。

試しに玄関に飾ってみようかなって思えるから、通常のアートに興味がある層より幅広い層にアプローチ出来てると思います!

 KYOCOさん
KYOCOさん

なるほど!

それこそ今、色々な公募展に出品してるんですけど、少しずつをいただけるようになってきてて。

これからもっといろんな賞をいただけるようになれば、少しずつ作品の価値が上がっていくかもしれない。

今火山灰アートを買ってもらった方には、そういう形で恩返し出来たらなぁって思ってます。

レトロフトでの作品展のひとコマ

まとめー前編ー

火山灰アートはコミュニケーションのきっかけとなる

鹿児島県民のシンボルである桜島。

活火山である桜島で、厄介者扱いされがちな火山灰をアートにすることで、地域振興癒しに転換しているKYOCOさん。

少しずつ認知度が広がり、世界へ羽ばたこうとするKYOCOさんの活動に目が離せません!

ということで、#1では、今回の作品展にかける想いや、コロナ禍が与えた活動への影響などについて、お話を伺いました。

#2では、クラウドファンディングの中身について、深いところまでお話を伺いますので、お楽しみに!

ではまた次回、お会いしましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました