【公務員の転職】妻が全部肯定してくれるので、それに応えようって思うんです【森満誠也|転職編②|第4話】

育休

公務員を辞めて民間企業で働き始めた人。フリーランスになった人。

民間企業を辞めて、公務員になった人。

やりたいこと、夢をかなえるために、新たな道へ踏み出した『元』公務員や『現』公務員に密着します。

彼らが公務員として何を思い、今何を感じているのか。

今回は、2023年夏に鹿児島市役所から民間企業へ転職した、森満誠也さん【転職編②】です。

この記事は8分で読めます^^

第4話では、夫婦関係や公務員から民間企業に転職する時のお話を中心に伺いました。

森満さんの姿をとおして、働き方で迷ってる人や悩んでる人のモヤモヤが、少しでも晴れてくれれば嬉しいです。

<聞き手,編集=上木寿人(KagoshimaBase)>

信じて全部肯定してくれる妻の存在

上木
上木

今までいろんなことがある中で、奥さんはどう思ってたんだろう?

森満
森満

振り返ってみると、どの時期でも僕の意見を尊重してくれてるんですよ。

勉強がしたいって言ったらその環境を整えてくれるし、最初の頃の家事なんて皿洗いしてもよごれ残ってたり、料理も全然バリエーションなかったりしてたはずで。

上木
上木

うんうん。

森満
森満

それでも絶対に「美味しい!」っていってくれたし、仕事に行けない状況になった時も「休みなよ。逆に私は休んでくれて一緒に居れるからラッキー」って言ってくれて。

全部肯定してくれるんですよ。

全部肯定してくれるのでそれに応えようって。ナチュラルに頑張ろうって思えるんですよね。

上木
上木

奥さんすごいね。。

右から二番目が森満家のスーパーウーマン
森満
森満

うちの妻、すごいんですよ!

最近特に思うんですけど、夫婦ってそもそも他人同士じゃないですか。

血がつながってないからこそ、家族になってもある程度気を使うようにしていて。

お互いに丁寧に接し合っているからこそうまくいってるのかなと思う気持ちもあります。

上木
上木

なるほどなぁ。

森満
森満

言葉に出して伝え合った訳ではないんですけどね。笑

我が家では最初からあまり干渉しすぎないような関係性を保っていて、すごくそれに救われているところがありますね。

僕はどっちかと言うと1人じっくり考える時間が取れた方が物事上手く進められるタイプなので、ある程度泳がしてもらって全肯定してもらえると、なんとか自分で解決しようって思えるんですよね。

上木
上木

なおさら奥さんの肯定してくれる感じが合ってそうだね。

森満
森満

そうなんですよ。

干渉する方がラクじゃないですか。

信じて全肯定するって、思ってる以上に難しいことだよなって思います。

僕も頭では分かってても態度に出てしまうことが多いので、妻は本当にすごいなって思ってます。

2024年冬に行われた森満家結婚10周年のサプライズバウリニューアルのひとコマ。改めて子ども達と一緒に家族へ感謝を伝えたとのこと

自分の内なる声に素直になる

上木
上木

たしかに。

難しいよね、意外と。

夫婦で物事決める時って、どんな風に話合って決めることが多い?

森満
森満

そうですね..ちょっと話ズレるかもですけど、我が家って子どもが5人いるんですね。

で、最近良く夫婦で話するんですけど、「子どもを何人にするとかって最初からあんまり繊細に計画立てたりしなかったのが良かったのかもね」って話していて。

上木
上木

ほうほう。

森満
森満

「子ども1人当たり育てるのに2千万かかるから、僕らの年収だと2人までだね」そういう話一切してないんですよ。

3人目が生まれた時に「子どもを育てるってにぎやかだけど楽しいじゃん!」って思ってたら4人目。

「子どもを育てるって大変だけど幸せだなぁ」って話をしてたら5人目と、ありがたいことに授かることが出来て。

上木
上木

なるほどなぁ。

森満
森満

夫婦お互いにどちらかというと楽観主義なので、そうじゃなかったら多分5人も子ども産んでないよなって思います。

「毎日楽しいな、にぎやかな家族って幸せだな」ぐらいで考えられるような人間同士だったのが、夫婦の形としてお互いに合ってたんだろうなって思います。

上木
上木

まぁ実際、大抵のことは何とかなるしね。笑

森満
森満

ですね。笑

自分たちの「楽しい」とか「幸せ」って感じる選択が出来るように、夫婦で話合って決める形が良いのかもしれません。

「休日にパン屋さんでパン食べながら鬼ごっこする子ども達を夫婦で眺めてる時に幸せの絶頂を感じた」と語ってくれました

転職のきっかけ

上木
上木

少し話を変えるんですけど、森満くんの転職について話を伺いたくて。

1年育休を取った後に職場復帰後半年で転職をするわけだけど、このタイミングでの転職は何か理由があったの?

森満
森満

「転職しよう!」と決めたのは、1年の育休から復帰した日の午前中でした。

上木
上木

復帰した日!?

森満
森満

ですね。

本音を言うと、20代後半からずっと「市役所は僕の居るべき場所ではないのかもしれない」って思い続けていて。

でも、まだ公務員の森満として求められている(ように感じていた)ことがたくさんあったし、「公務員としてやれるべきとこがあるはずだ」って思いながら公務員生活を続けていたんです。

ただ、育休復帰初日にずっと張りつめてた糸が復帰した日に完全に切れて。

公共空間の利活用に燃えて鹿児島県庁18階展望所で1年間鹿児島ユナイテッドFCのパブリックビューイングイベントをしたり..
上木
上木

そうか。。

森満
森満

育休で職場から離れると、公務員として働く中で感じるしんどさを全部忘れることが出来たんですよ。

でも、育休の終わりが近づくにつれて、辛さや不安がよみがえってきて。

そんな中でも「家族を食べさせていかないといけないし、割り切った大人の働き方が自分にも出来るはず。周りはみんなしてるし、やりたいこととかじゃない。お金を稼がないといけない」って自分自身に言い聞かせて復帰するわけですよ。

上木
上木

うんうん。

森満
森満

でも復帰して、公務員として働くあのなんとも言えない空気感を感じて。

育休中は家族と過ごすことに集中出来てて、「こんなに幸せな毎日でいいのか」って思っちゃうぐらい幸せしかないところから、復帰初日に反対側にギュンと引っ張られて。

「俺、やっぱりここで働くのダメだったんだ」ってストンと腑に落ちたと言うか。

上木
上木

完全に気づいたんだね。

森満
森満

そうなんです。

20代半ばで本当は気づいてたのに、自分をごまかし続けてただけだったので。

定年も延びる時代の中で「これをあと35年近く続けていくのは無理だよ..」ってなりました。

上木
上木

育休中の幸せだった日々が気づかせてくれたわけだよね。

気づかせてくれたというか、背中をポンと押してくれたというか。

森満
森満

まさに。

今思うと、誰かに背中を押してもらいたかっただけなのかもしれないです。

上木
上木

深いなぁ。

毎日歩きながら幼稚園まで送り迎えをする時間がかけがえのない時間だったそう

なかなか思うようにいかない転職活動

森満
森満

そこから転職サイトでいろんな企業見始めて、何社か履歴書を送ったんですけど、ほとんどが書類で落とされました。

公務員生活の中で、企業が求めるような「売り上げをどれぐらい上げた」とか「どういうプロジェクトを立ち上げた」とか示せる実績がなくて。

仕事でうちの会社にどんな結果を残してくれるんだって聞かれても、なかなか思う用に応えられず。

上木
上木

公務員の仕事って『売り上げがいくらだった』とかじゃないから、なかなか数字にしにくいもんね。

森満
森満

そうなんです!

公務員としての仕事の成果を自己PRの材料として言葉に落とし込むことが本当に難しくて。

そんな中、現在所属してるLR株式会社と運よくご縁をいただくことになるんですよ。

上木
上木

採用までの経緯を伺っても良い?

公務員時代に評価されにくかったことを評価してくれる環境

森満
森満

LRはふるさと納税の中間事業者として拡大してる会社なんですけど、「L(Local)R(Revitalization)=地方活性化」っていう企業名のとおり地方創生をミッションに掲げていて。

その文脈から、日置市で廃校活用を新規事業として始めたところだったんです。

上木
上木

なるほど。

鹿児島県日置市日吉町にある廃校活用施設「日日nova(ひびのば)」
森満
森満

廃校活用は僕の興味として元々ありましたし、大学時代の先輩がこのリノベーションを担当していて、SNSで立ち上げの様子とかも見てたんですよ。

「何か分からないけど、僕が得意なことと今までの経験でお役に立てそうな気がする!」と思い、「オープンポジション(=なんかわかんないけどLRで活躍したい方はこちら)」枠で応募しました。

上木
上木

オープンポジションっていう採用枠があるんだね。笑

森満
森満

ですです。笑

オンラインで面談というか雑談を何回か重ねてもらって、色んな部署の人とコミュニケーション取らせてもらい、僕の雰囲気や人となりを丁寧にひろってくれたんです。

公務員時代は正直、「公務員の仕事以外の活動=余計なこと」みたいなニュアンスで言われることが多かったんですが、LRの面接では「自分で考えてどんどんチャレンジするような人材を必要としてます!」って言われて、それがすごく、すっごく嬉しかったんです。

「ずっと余計なことだと言われ続けた僕の適性を必要としてくれる会社が存在するんだ..」って感動したことを覚えています。

上木
上木

いやー..ほんと良かったね..!!

森満
森満

そうなんですよ!泣

その中で廃校活用の担当者とも繋いでもらえるタイミングがあって。

なんとな「廃校活用が自分には合う気がするぞ」って面接をする中で思ったタイミングで、実際にオープンする前でしたけど廃校活用施設に見学に行かせてもらったんですよ。

家族全員で。笑

上木
上木

家族全員で!?

図書室跡地は子ども達の遊べる場所「のびのば」へ生まれ変わっています
森満
森満

ですです。笑

廃校活用立ち上げを担当した方に施設を案内してもらいながら1時間ぐらい話をさせてもらったら、場所自体がすごく素敵だったのはもちろん、その方の作り出す雰囲気がとても素敵で。

ここをどういう場所にしていきたいかっていう部分も「家族とか子どもが集まる場所にしたい!」って言ってて。

僕自身が大切にしたい想いとかなり近くて、「これはもう間違いないぞ..」って確信しました。

観察池を子ども達と一緒に掃除して今ではサウナの水風呂&小プールに
上木
上木

会社側が求めていた人材像と森満君が「やりたいこと&できること」が上手くマッチングしたんだね。

森満
森満

タイミングがドンピシャだったなと思います。

転職って運の要素が大きいなって、今振り返ると尚更感じますね。

廃校活用の担当されてた方がバカンスの存在を知ってくれている方で、「森満さんってバカンス立ち上げた方ですよね!?」って言ってもらえたり。

その辺も含めて本当に運が良かったなって思いますね。

鹿児島市名山町にあるコミュニティスペース「名山町バカンス」。その発起人の1人でもある森満さん
上木
上木

公務員時代に外でやってた活動がここで効いてくるんだね..!

それもすごく面白いなぁ。

森満くんみたいに悩みながら公務員として働き続けてる人ってたくさんいるはずじゃん。「このままでいいのかな?」ってなってる人。

そうなった時に行動に移せるかが大事そうだね。

森満
森満

転職するのはリスクあるけど転職活動にはリスクなしって本に書いてあって。
めっちゃそうだなって思うんです。

転職サイトに登録するだけでもいろんな情報が入ってきますし、転職エージェントの仕組みを利用するとオンラインで自己分析とかしてくれるんですよ。

他者に自分のこと話してみるってすごく大切で。

公務員は、自分が外の社会に出たときにどれぐらいの価値が自分自身にあるのかって分かりにくい職種じゃないですか。

上木
上木

扱ってる情報の種類的にも、民間企業の方と情報交換しにくかったり、気軽にSNSで発信することさえしにくい空気感あるよね。

転職活動って、自分自身と向き合う時間を強制的に取る行動につながるから、これまでの自分の人生を振り返るきっかけにもなりそうだね。

森満
森満

そうなんです!

自分のこれまでを振り返って、自分自身がこれからどう生きたいのか、どういう人生歩みたいのか、自分にとっての幸せって何か等を考える時間になって、すごく良い経験になりました。

上木
上木

僕なんか市役所辞めたら、「島に帰って農業でもしようかね」ぐらいのことしか考えてなかったよ。笑

森満
森満

それも最高だと思う!笑

日日novaのカフェでくつろぐ森満家

まとめー転職編②話ー

お互い楽観主義なんです

元公務員としてのキャリアを経て、新たな一歩を踏み出した森満さん。

公務員を卒業し、次のステージに進む過程には、家族との関係や自己との対話、そして“心から納得できる働き方”を模索する姿がありました。

日々の小さな肯定や言葉にしない思いやりの積み重ねが、人を前に進ませる原動力になる——。

森満さんが語る夫婦のあり方や転職の過程は、いま「このままでいいのか」と迷っている誰かにとって、大きなヒントになるはずです。

「なんとかなる」ではなく、「なんとかする」、そして、最終的には「なんとかなる」

そんな前向きな覚悟とともに、自分らしい道を模索し続ける森満さんの生き方は、公務員という枠にとどまらず、多くの人に勇気を与えてくれます。

「お互いに楽観主義なんです」

さらっとこんな言葉が出る感じ最高だ!そう感じた今回のインタビューでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

また次回、お会いしましょう!

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